第二十六話 もう一つの激闘
※ 注意
・今回の話はグラス達は一切でてきません
・ガチで酷い描写が存在します。
・なのでそういった描写が苦手な方はそうそうにブラウザバック推奨です。別に見なくても本編には密接に関係があるというないので
--多くの御尋ね者を収容する牢獄。地区の保安官達が彼らを管理してはいるが、犯罪者を大量収容している場所。爆薬倉庫のごとく危なっかしく争いが耐えない場所である。
しかし時はグラス達がカエル屋敷へ向かっている最中、普段の争いとは比にならないほどの事件が勃発していた……。
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「へへへッ!!牢獄の看守っつても大したことねーんだな!!」
看守のコマタナ達を容易く蹴散らしながら柄の悪いルカリオが口を開けた。ルカリオの後ろには血走った目でルカリオの戦闘を眺めているリザードンの姿があった。
調子に乗って戦闘を続けるルカリオだがリザードンが"グルル"と唸り声をあげ、ルカリオを止めた。"すいませんっした!"と大げさに謝る辺り相当リザードンに畏怖しているのだろうか。戦闘を止めて一体のコマタナの胸ぐらを掴み無理やりに立たせる。
「--おい、ここにブラッキーが収容されてるだろ?オイラ達にそいつの居所をさっさと教えな」
「だ、だれが……お前らなんかに……」
「……グルル……」
「はい?なんすか?」
再びリザードンに制止されてコマタナを乱暴に突き放した。リザードンが指さした先に視線を移す。そこにはニヤニヤしながら自分達のやり取りを見届けていたポケモン--ブラッキーが檻越しに姿を表す。ブラッキーは手招きをし、ルカリオ達を呼んでいた。呼ばれたルカリオは"チッ……"と舌打ちをしつつ攻撃の構えをとる。
「全く……能天気な奴だぜ……"はどうだん"!!」
ブラッキーの元に駆け寄り、即座に彼等とを遮っている檻を破壊する。ブラッキーは"助かったぜ"と喜々としてルカリオ達に近寄る。
「久しぶりじゃねぇかシャドー」
「サスケか。まさかお前らが来てくれるとは思わんかったぜ」
シャドーと呼ばれたブラッキーとサスケと呼ばれたルカリオ。相変わらず目が血走っっているこのポケモンの様子を見ても何も思わない辺りこの3体は仲間なのだろう。喜々とした表情でシャドーは"ずらかろうぜ"と提案。
しかしサスケの態度は歯切れの悪いものだった。アイツ等は自分を助けに来て、一緒にここから逃走する為に来た筈。--なのに一体この歯切れの悪い態度は何故なのか。
「--!!?」
--シャドーの体が轟音を立てて壁に叩きつけられる。シャドーには何が起こったか分からずに戸惑っている。ゆっくりと顔をあげるとサスケが"はどうだん"をうったかの構えをとっていた。何故だ……?シャドーはサスケを睨む。
「サスケ……どういうつもりだ……」
「ぶぁ〜かかおめぇは!?ボスに歯向かった挙句無様に捕まったテメェをオイラ達が助ける訳ねーだろーが!!」
「それじゃ一体何をしにきた……!!」
懐から銀の針を取り出してシャドーに詰め寄る。明らかに自分に対して向けられた殺意にシャドーは戦慄する。
--間違いない、奴らは自分を助けにきたのではない。組織の口外を防ぐ為に始末しにきたのだ。怯えきった彼の表情を見てサスケはニヤリと笑みを浮かべ--
「テメェを始末しに来たのさッ!"インファント"!"」
無数の拳と蹴りが雨のごとくシャドーの体に降り注いだ。あっという間にシャドーの体が崩れ落ちる。意識さえ飛びそうな激痛が走るがブラッキー持ち前の耐久力でそこはかろうじて持ちこたえる。
元々ブラッキーがルカリオを相手するのは無謀極まりない。こうなるの至極当然なことである。喜々としてシャドーをいたぶるサスケの姿に気持ちが高ぶってかリザードンが唸り声を上げる。
「ひいぃッ!すいませんッス!!オイラばっかり目立っちまって……!!」
ドスのきいたその唸り声はサスケさえも戦慄させた。サスケを押しのけてシャドーに詰め寄るリザードン。
「……ゆる……し……」
「流石だぜ……裏切りものは絶対に許さない精神……流石っす!!」
初めて言語らしい言語を発したリザードンだがとても正気を保っているモノが発する言語ではない。サスケには理解できたのかリザードンを賞賛。"やっちゃってくだせー!!"とはやしたてる。
じわりじわりとシャドーに詰め寄る。サスケ以上に狂気じみたその顔にシャドーは足を竦ませて動けなくなっている。
「あ……あああぁ……ッ」
「…………」
リザードンは最後にニヤリと笑い、大口を開け--
--シャドーの悲鳴と共に彼の体が血飛沫と共に肉塊へと変わり果てていった。リザードンの大顎は瞬く間にシャドーの体を引きちぎらせる。
「ひえええぇぇ……やっぱあの殺戮劇はいつ見てもおぞましいぜ……」
味方ながら容赦のないリザードンの殺戮にサスケも背筋を凍らせる。その光景を目撃したポケモンが一人。保安官のキリキザン--ムラサメだ。サスケに悟られぬように背後に近寄り--
「----!!」
文字通り"不意打ち"を叩き込もうとしたが寸前で感づかれて失敗に終わる。刀刃のような手をサスケ達に向け、威嚇する。
「そうか……貴様らがオレの部下を……」
「あぁん!?テメェがここの頭か?オイラ達を捕まえようったってそうはいかねぇぜ!」
両手を腰にあて、大げさなほどのがに股、ポケモンのズルズキンを彷彿させるポージングでサスケがタンカを切る。いかにも頭の悪そうなルカリオだが油断はできない。自分は悪と鋼を併せ持つタイプ。そして相手は格闘タイプだ。これ以上最悪の相性はない。
それに後ろにいるあのリザードン。奴からも得体を知らないオーラを醸し出している。ムラサメに迫ってくるがサスケが止める。"オイラに任せてくだせぇ!"と叫んで前に立つ。
シャドーに食らわせたのと全く同じ拳と蹴り"インファイト"が飛んだ。こんなものまともに食らったら戦闘不能さえ生易しい威力。肌に鋭い風を感じ、全身に悪寒が走る。
--あんなの食らったら間違いなくで死ぬな……。
攻撃をすかされてサスケはバランスを崩す。絶好のチャンスだ。見逃さずに"けたぐり"を入れる。元々バランスを崩した体が足をはらわれたらどうなるか。答えは簡単--サスケの体は重力に従い地面に叩きつけられる。
「いっでえええええええええええええええええええぇぇッ!!」
決して大げさに痛がっているのではない。一見すればただの転倒であるがルカリオは鋼タイプ。しなやかに見える体でも殴り合いをするには十分な重量はある。それが仇になり自分の体を強く痛めつけた。--やってくれやがったなと叫び鼻息を荒くする。
「なんだ?オレの部下を倒したわりにはずいぶんとよわっちぃんだな。とんだ肩透かしだぜ」
「な……なんだとおおおおおおおおおおおおおおぉッ!!」
--"ちょうはつ" 本来は相手を怒らせてダメージを与える技しか使えなくさせる技。見るからに補助技なんて無縁なこのルカリオに意味があるか。
意味は十分すぎる程あった。ただでさえ鼻息荒くしていたサスケはさらに顔を真っ赤にさせている。怒りに身を任せて"インファイト"を打ち込もうとするも先刻よりも攻撃が大ぶりになっている。そんな攻撃が当たる筈もなく軽くいなされる。攻撃が当たらずにサスケは一層逆上する。
相性の差はどこへ行ったのか、気が付けばムラサメが優勢になっていた。"インファイト"の乱発で著しく落ちた防御力は最早"ふいうち"さえ致命傷になる程紙っぺらなものだ。果てには頭に血が上っているサスケにそんなことを考える余地なんぞない。
「……サス……ケ……」
それを察したのかは本人しか知り得ないが、リザードンが"火炎放射"で二人を分散させ、仕切り直させる。自身の恐怖の象徴が動いている。今の今まで頭に血がのぼっていたサスケだがソレが嘘のように冷静さを取り戻す。"引く"と言い残してリザードンはその場から飛び去る。
「"しんくうは"!!」
冷静に狙いを定めた性格な先制攻撃。かわすことはできずに防御に切り替えるも格闘タイプの攻撃技、ムラサメの体を吹き飛ばすには十分すぎた威力。逃走する時間は稼いだ。
「へへへッ!覚えてろよ!今度会ったときはオイラと仲間が容赦しねぇぜ!!」
悪者のテンプレとも言えるセリフを吐き捨てるように言い残しサスケは"まってくだせぇ!"とリザードンのあとを追った。
今から追っても致し方ない。ムラサメはこの惨劇のあとを見渡す。シャドーを捕らえていた牢獄は檻を木っ端微塵にされて収容していたポケモンはただの肉塊に変わり果てている。そしてその諸悪の根源を取り逃がし、果てには部下達をも傷つけた。
保安官として最も犯してはならないタブーを一瞬にて三度も。ムラサメは悔いた。しかしどれだけ悔いたところでこの惨劇が戻とおりに戻すはずもなかった。
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本編は以上になります。こっからはどうでもいい話が続くのでそのまま見てるなり黙ってブラウザバックするなり "お前、なんて時間に投下してんだよw "と煽るなりお好きにしてください。
今年の更新はこれがラストになります。いやーはやいものですね。週一の更新を宣言してからはや何箇月になるのやら、正直ここまで続けることができるとは思ってもいませんでした。
コレが来年も続くかと聞かれると全くもって保証はできません、あしからず。
年末になんちゅー欝な話投下してんだがと我ながら思いました。しかしコレには前例があって初めてのことじゃないというのがノコタロウクオリティでございと。
悪役のポケ選が救いようがないのは今に始まったことじゃないのでそこはご容赦を。この物語だけで ピカチュウ ヒトカゲ系統 ブラッキー フラインゴ ルカリオと どいつもこいつも主役級のポケ達を揃いも揃って悪役にチョイスしているのは間違いなくノコタロウだけだと断言できそうです。そしてドクロッグやキリキザンを味方サイドに置くのもノコタロウという奴のやりかたです。
それでは今回はこのへんで。最後までお付き合いくださりありがとうございました!来年もよろしくお願いします!!