レジェアル妄想ネタ
02 サブウェイマスターの復活
「ぜひ!ぜひ!またのご乗車をお待ちしております!」
ライモンシティ名物バトルサブウェイ。イッシュの様々な場所からポケモントレーナーの猛者達が集まる娯楽施設の1つだ。
サブウェイマスターと呼ばれるここの主は2人。丁寧な口調と豪快な戦術を得意とするシングルトレインのサブウェイマスター・ノボリと意表を突いた戦術で相手を翻弄するダブルトレインのサブウェイマスタークダリだ。
ちなみに最も恐ろしいのは双子であるこの2人を同時に相手にしなければならないマルチトレインなのは言うまでもない。
そんなバトルサブウェイだがしばらくの間シングルトレインとマルチトレインが運休していた。
世間ではサブウェイマスターのノボリが重病を患ったか失踪したかと色々噂が飛び回ったが復帰した今となっては真相は本人のみぞ知るである。
何人かのトレーナーはバトル前の会話でその事を尋ねたのだが決まって彼は決まってこう答えた。
「それが私もよく覚えていないのです。ですが戻ってきた私は以前よりも一皮向けたまさに新車輌となっておりますのでゆめゆめご油断なさりませんようにお願いします。」
自分で言う通り、復帰前と今とを比べると彼の戦闘スタイルは大きく変化している。
以前からパートナーのドリュウズやオノノクスなどによる豪快な戦い方を好んでいたが復帰後はこれに加えて新たに通常よりも大型のカイリキーを使うようになっていた。
どこで手に入れたか珍しい木製のモンスターボールから飛び出すそのカイリキーは体の大きさもさながら相手のポケモンどころかトレーナーまで射殺さんばかりの強い眼光で畏怖させた。
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「ノボリ、ずっと調子がいいね。やっぱり、そのカイリキーの、おかげ?」
クダリの問いかけにノボリは苦笑する。彼自身ここ最近の記憶に欠落がある事を自覚していた。
ある日気付いたら自分はこのバトルサブウェイにボロボロの帽子とジャケットを身につけて倒れていた。
手に握られていたこの木製のモンスターボールと中の巨大なカイリキーにも身に覚えはない。
ただ、それが自分の物であるというのはなんとなく覚えている。そんな状態だった。
「私にもよくわかりません。ただ何となくですが長い時間何処かで彼と過ごしていた気がします。」
ノボリが実際に失踪していた期間は1ヶ月も満たない。だが確かに彼と彼のカイリキーの間には少なくとも数年は連れ添ったような絆が見て取れた。
「よくわからない。でも、ノボリがちゃんと帰ってきてくれた。だから、もういい。」
感情を上手く言葉にするのが苦手な双子の兄弟にノボリは柔らかい笑顔をみせる。
「私はこのバトルサブウェイのサブウェイマスター・ノボリです。私の帰るべき場所は常にここですよ。」

■筆者メッセージ
ストーリー終了後、ノボリさんが無事元の時代に帰還したらという設定の妄想ネタ。
ただし、ただ戻ったわけじゃなくてヒスイにいる間の記憶を逆に失ってます。ただ手にはオヤブンカイリキーの入ったモンスターボールだけ。
こんな展開も面白いなぁと。
きょんきち ( 2022/02/18(金) 12:25 )