103 キノ
「いらっしゃい」
今、ボクの目の前にいるのは少年がいる。銀の髪をポニーテールにしてるんだけど…そっちより右目を隠すくらい長い前髪が鬱陶しい。それに加えて大きな丸メガネ。う〜ん…そこまでして目を隠したい意味がわからない。左は普通に赤色だし。
「まぁいいか」
服装は和服。アンバランスなのは変わんないみたいで、右の上だけ脱いでる。不思議だ。その下になんか着てるから問題ないけどさ。
「あのっ!」
お、声聞けた。案外高めというか、やっぱりまだ子供って感じするなぁ。
「おれ、キノって言うんだけど…ここに、兄ちゃん来てない!?」
「兄ちゃん…?」
ふむ…ここにいるのはボク以外に燈だけだけど、絶対違う。
「ごめんね。ここにキミのお兄さんはいない。…でもさ、ここにいればいつか会えるかも知れないよ」
「ほんとに!?」
「うん♪」
「いて、いいの…?」
もちろん、とボクはキノを屋敷へ案内する。中で燈が待っててくれてた。キノは燈を見て驚いた顔をしてたけど、逆に燈はキノのことを見ようともしてなかったなぁ…
「ここ、広いな〜…」
「あはは、まぁこれからもっとポケモンが増えるからさっ!じき狭くなるよ♪」
部屋は…そうだ。燈の隣、103が空いてたっけ。
部屋に案内してしばらくすると、聞こえていたはしゃぎ声も消えている。寝ちゃったのかな?
見た目も性格もどこか不安定な少年、キノ。燈とは面と向かって話しさせてみたいな。どんなことになるのか…楽しみだね。