102 燈
コンコン…
「いいよ〜」
「失礼します」
入ってきたのは緩いウェーブのかかった紫の髪を二つ括りにした子。袖なしのシャツ、だけど袖の広いアームカバーっていうのかな?を着けてて、下は半ズボンを履いている。
この子は
燈。シャンデラだ。ボクが招待状を送った次の日、ここに来たんだ。
基本喋ることは少ないけど、それなりに面白い子だね。…色々と。
「マスター、お味は如何ですか?」
艶のあるアルトで訊ねてくる燈。燈は、生活力がすごいある。ボクの部屋の掃除を頼んでみた時なんか、屋敷中きれいにしちゃって。
ボクは燈の淹れた紅茶を一口。…うん美味しい。
「やっぱり燈の紅茶は美味しいね…♪」
「ありがとうございます。ところでマスター」
燈はボクのことをマスターと呼ぶ。別にキミと主従関係を結んだつもりはなかったんだけど…?
「新しい、客人が来たようですが?」
「本当?」
……ホントだね。あの服の感じだと…ニダンギル、かな?なんだか野暮ったいメガネをかけているけど。年もかなり若そう。12、3歳くらい?でも特に気になるのは…
「あの目、だよねぇ…」
ボクは余所行きの格好をして部屋を出る。あぁ、またお客さんだ。
少年の前でにやりと笑い、こう呟く。
「いらっしゃい…♪」
キミはボクの、何になる?