第壱部
参 最強の二人
「あっ!見て杏ちゃん」

凌羽に言われ彼の指差す方向を見てみると、先程会ったジュプトルと横にもう一匹、バシャーモがいた。

「あの二匹がどうかしたの?」

「えっと…ジュプトルの方は霧矢慧さん。国軍直属夜警隊一番隊隊長を務めてて、二つ名は「断罪の射手」。バシャーモの方は、鬼龍火焔さん。同じく夜警隊一番隊の副隊長を勤めてるんだ。二つ名は「業火の打ち手」だよ」

「え、二つ名とかあるの?」

「おう、かなり有名だからな。新聞とかじゃ二つ名で呼ばれることのほうが多いらしいし」

「二匹合わせて最強と言われるぐらいなんだよ。その二匹が揃ったところを、しかも間近で見られるなんて…僕達って幸せだなぁ」

そう話す凌羽の顔はキラキラ輝いている。そういうところは男の子らしいのだ。

「まぁ、こんな国を挙げての一大イベントだしな」

といいつつ真緒も、とても嬉しそうな表情だった。




成人の儀の後――

「いやぁ〜」

四人はそれぞれの感想を口にする。

「疲れた〜」

「いや、お前は何もしてないだろう」

「でもでも、緊張はしたよね〜」

「ははっ、そうだな!」

「よし!」

そんな中、朱李が大きな声で音頭を取る。

「職探し行くぞーーーっ!!」

その声に対し、凌羽はごく普通に、

「おー!」

雪蛍はバカバカしいといった様子で

「おー(棒)」

真緒はそのノリに少し戸惑いつつ

「お、おー?」

と、各々のやり方で応えた。


それを見ていた杏は言う。

「ごめんね、私…ちょっと行く所があるから…」

すると、くるりと朱李が振り向き、満面の笑みで

「そっか!でも、お別れは言わないね!」

それに応じるように杏も笑顔でこう言った。

「「またね!」」

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■筆者メッセージ
短め。
京花 ( 2016/11/05(土) 13:11 )