part3
「では、仲間集め頑張ばってくれ」
アルセウスはそう言って後ろを振り向くと映像はそこで途切れた。
まさか、髪と話ができるなんて……。
「しばらくは僕らも協力するよ」
クローは種族柄似合わない呑気な声で言った。
まぁ、そういうもんか。
「あぁー、疲れた!」
アルビダは人質になって長時間立たされていたせいかそんな事を言った。
「あぁ、そうだ。二人目の適格者はイース村にいるらしい」
ジャネールは貴重な情報をさらりと言う。
"らしい"と言うところからしてまだ真偽は分かってないみたいが……。
と、なればやることは決まった。
「貴重な情報ありがとう御座います。では、早速行こうと思います」
俺は早速地図を広げた。
現在地の森からそう遠くはない。
この位なら明日出発しても余裕で着く。
でも、一つ問題がある。
「お腹空いた」
この大食いをどうにかせんといかん。
コイツはお腹が空いたという理由で森の木の実を狩りに行く。
そのお陰でこの森で三回はぐれた。
その度に俺が波動で探すのですぐに見つかるから今までは問題はなかった。
しかし、そう頻繁に波動を使うのは疲れるものである。
この調子ではこの森を出るのにあと2日かかる。
最初は1日半で出れると高をくくっていた。
「今日は暗いし此処で野宿にしない?」
アルビダは俺の思考を遮るように話しかけてきた。
「俺達もそうさせてもらうよ」
ジャネールは割り込むように言う。
「そうだね」
俺は素っ気なく返事する。
明日のことは今考えなくてもいいや。
★
―そして、次の日の午後3時―
「やっと、着いたね。ところで……レオ、どうしたの?」
アルビダは何事も無かったかのように問い掛ける。
ちなみに、今はイース村の前に俺達はいる。
「てめぇ、とぼけんな!!森の中では急に迷子になって心配で探してみたら、風呂敷で包んだ大量の木の実を抱えたお前がいるじゃねえか!!しかも、怒ってるスピアー付きとはどういう事だ!!」
俺はガミガミとアルビダに説教する。
その隣ではジャネールがクローにお説教中である。
因みに、クローも風呂敷に大量の木の実を抱えながらスピアーから逃げていた。
「「どういう事か説明しろ」」
俺とジャネールは声を揃えて問い掛ける。
そんな俺達には沢山の虫刺されがあちこちと見受けられた。
「えぇーと、私とクローさんは確か甘い香りがすると思ってその方向に向かったら木の実が大量にあってクローさんが持っていた風呂敷で出来る限り包んだの。」
「そして、戻ろうとしたらアルビダちゃんが転けて大きい木にぶつかって、その木を住処とするスピアーが怒って仲間を沢山呼んできたんだよ」
「「「そして現在に至る」」」
「じゃねーー!!」
なぜか怒っていたはずのジャネールが奴らに合わせていたが、気にはしなかった。
俺はそう言って二連波動弾の準備を始める。
ジャネールはそれを見て俺を止めようと必死に「止めろ!」言いながらと焦っていた。
対する元凶たちは苦笑いをしながらそろえて「まぁまぁ、落ち着いて」と言っていた。
「お前ら、いい度胸じゃねかッ!!あぁん!?」
俺はついガラの悪い言葉を放つ。
そして、二連波動弾はジャネールと戦っていた時のそれより大きくなっていった。
その2つの波動弾は合わさり巨大な波動弾になっていた。
もちろん、アルビダ達は冷や汗をかく。
その波動弾は亀裂が入り大量の波動弾に分離した。
「喰らえ!!“流星波動”!!」
波動弾は流星群の如くアルビダたちに襲いかかって行った。
因みに“炸裂波動弾”がこの技に強化されていたのに俺は後で気づくことになったとは……。
ズドドドッ!!と爆音を立てて怒りで出来た新技“流星波動”はアルビダ達に直撃する。
それにはもちろん、アルビダ達はだらしなくのびていた。
「おいっ!!レオ、やり過ぎだろうが!!」
ジャネールは俺に大声で怒鳴りつけた。
その時、俺は少しふら付いてしまっていた。
「う…る……せー……よ………っ!」
俺はそのあとに力が抜けて倒れてしまった。
波動を調子に乗って使い過ぎたみたいだ。
「レオ、大丈夫か!!」
ジャネールは俺に相変わらずの大声で俺を心配していた。
「あの〜……大丈夫……じゃないですよね」
不意に高い声が聞こえてきてジャネールはその声の方に振り向く。
「アンタは?」
「私はマロンです。よかったら私が手当てしておきますので私の家にいらしてみては?」
ジャネールはよかったと思い何処からか取り出したひもで3匹をくくりつけた。
そこからは、言うまでもなく俺達を引きずり出した。
「まったく、俺に苦労かけさせといて……」
★
あれ?ここは何処?
俺は確か何故か出した“流星波動”でアルビダ達をメッタメタにして……。
駄目だ、何にも思い出せん。
「おっ、目が覚めたか」
ジャネールは俺の意識が戻ったのを見て話しかけてきた。
シャリッ!
ん?なんか今音が聞こえたような……。
「あっ、目が覚めたんだね。シャリッ!」
「気がついたんだね、レオ。もうこんなことしないでよ。シャリッ!」
俺が目を向けた方向には呑気に木の実を頬張るクローとアルビダが居た。
俺はその様子を見て再び怒りがこみ上げてみたがもう出すまいと必死に抑えた。
「あっ、気がついたんですね」
俺は急に聞き覚えのない声が聞こえてきて少し戸惑った。
声の主は俺の覚えが正しければツタージャという種族のポケモンに見えた。
「私はツタージャのマロンと申します。もうケンカはよしてくださいね」
マロンと名乗るツタージャは笑顔でそう言う。
ケンカというのは間違いなくさっきの件だろう。
体を起こし少し準備運動をする。
なんだか、体の調子がいい。
「もう、動けるみたいですね。大分修行疲れというのが見られますから軽くマッサージをしておきましたよ」
へぇ、マッサージでこんなに良くなるんだ。
しかも、修行疲れというのも分かるなんてな。
「それは、どうも有り難う御座いました」
俺はマロンに一言礼を言う。
「レ〜オッ!面白い知らせがあるよ」
アルビダは俺に笑いながらそう言った。
“面白い知らせ”という単語に俺は少し興味が湧いてきた。
「まずは、ここはイース村なんだけど……そのイース村ではある大会が開かれるんだって」
“ある大会”?
俺は一瞬、大食いやクイズなどの類が浮かび上がったがすぐに違うと思った。
アルビダが“面白い大会”がるって言うんだからもっと変ってるんじゃないかと俺は考えてい“た”。
「で?その大会はどんな大会なの?」
俺はアルビダに問いかける。
どんな返答が来るか俺は少し待ち遠しかった。
「そこからは、私が説明しますね」
マロンがそう言ってうるビダは「お願いします、マロンさん」と言ってほほ笑んだ。
アルビダが“さん”を着けるからには年上なんだろうか?
「その大会はこの星を創造したというポケモン、アルセウスを称えて銅像の前で勝負をする大会です」
アルセウスか……、俺達はつい昨日映像越しだが見たというのは彼女に言ってよいのか……。
「勝負は勿論バトルで。トーナメント方式です」
バトルか……、普通だな。
アルビダは何が面白いって言うんだ?
「大会優勝者はなんと賞金10万ポケがもらえるんですよ!!」
マロンは興奮しながら言う。
その目はとても輝いて、俺には金の亡者の眼にしか見えなかった。
なるほど、金か……。
こいつはぜひとも優勝して今後の旅資金に回したいものだ。
「そして、その大会の名は“神前バトル大会”―――」
マロンが大会名を言った時には俺はぜひとも優勝したいとおもっておりその名前は耳には入っていなかった。
そのあとにグラスミキサーが俺に飛んできて賛辞たっだという―――。