オープニング
ノク
僕はノク。自分で言うのもなんだけど、少年。
でも僕は人間じゃない、ポケモンでもない。
お母さんに聞いた。僕は『ポケモンと人間』の子どもなんだ、と。
ずーっと昔、ポケモンと人間が結婚したんだって。今じゃあり得ないことだけど本当なんだって。
だから僕にはポケモンと人間の血がどちらも流れてるんだ。
僕はちょっと力を込めた。
一瞬ぐにゃっと視界が歪んで、すぐにもとに戻った。地面が近くなった。成功だ。
僕はもう少年の姿じゃない。1匹のキバゴの姿になった。
僕はポケモンでも人間でもないから、どっちにでもなれる。
前まではちょっとした感情の起伏で姿が変わっちゃったけど、今はもう十分に制御出来るようになった。だから人間の姿で街を歩いたり、森で他のポケモンとポケモンの姿で遊んだり、ポケモンと人間両方の生活を楽しんでいる。
お母さんにはそろそろポケモンか人間、どちらの姿で生きていくかを決めるように言われてるけど、まだ決まってない。こうして両方の生活を楽しむのが好きだから。
お父さんはずっと前にどこかに行ってしまって僕は姿も見たことがない。お母さんが言うにはとってもカッコいいハクリューだったんだって。どこかでポケモントレーナーと旅をしているのか、ただいなくなっちゃったのかはわからないけど、僕はお母さんと2匹で暮らしてる。
ちなみにお母さんが『ポケモンと人間の子どもの子孫』で、お母さんのお父さん、つまりおじいちゃんがその子孫で人間と結婚したんだって。お母さんは人間じゃなくてポケモンとして生きてきてポケモンと結婚したんだけど……僕はどうしようかなぁ。
ポケモンとしての生活は楽しい。もちろん人間としての生活も楽しい。
ポケモントレーナーに付いていくのって楽しいのかな?それとも僕がポケモントレーナーになって旅をしようか……
どっちかしか選べないなあ。何で選択肢が2つもあるんだろう。もとから1つならこんなに迷わないのに。

■筆者メッセージ
SUNとはまったく関係のない小説です。
アイデアがふっと浮かんできたのと一人称で小説を書いてみたかったから出来上がりました。
アリデーハン ( 2014/02/26(水) 21:52 )