02 ちょっと前の話
国際警察のハンサムは、ギンガ団がこうてつ島でなにやら怪しい動きをしているという情報を聞き付けてミオシティを訪れていた。
「ギンガ団を襲撃するということは島の生態を変えてしまうだろう!やるにしても他の方法は無いのか?」
「我々は一刻も早くギンガ団を抑えたいのだ」
ハンサムはミオシティのジムリーダー、トウガンと揉めていた。
ギンガ団の動きを聞き出し、かつ彼らの活動を抑えたい国際警察はこうてつ島の襲撃をしたかったが、トウガンは島の生態系の維持もしたいと譲らない。なのでこうして揉めていた。
「あの島はなあ、俺らがずっと守ってきたんだ。後から来た国際警察がしゃしゃり出てくる必要はない」
「だがこのままではギンガ団の動きは止まらないだろう」
この会話は永遠に続くのではないかと思うほどだったが、トウガンが仕事に行くからと言って話は終わった。
無理矢理会話を中断されたハンサムは何もすることがなく、ぶらぶらとミオシティを歩いていた。
船着き場に行っても追い返されるし、海や空から行こうとすれば目立つ。どうにかしてトウガンを説得しなければならない。
ぼんやりと海岸沿いの大通りを歩いていると、カフェのテラス席に見覚えのある男が座っていて、コーヒーを傾けながら新聞を読んでいた。
ハンサムはその男がギンガ団の幹部であるサターンだということに気付いた。
(なぜこいつがここにいる?いるとしてもこうてつ島にいるものだと思っていたが……)
ハンサムはそのカフェで紅茶を注文し、それとなくサターンの前の空いている席に座った。
ハンサムの気配に気付いたのか、サターンは顔を上げてハンサムを見た。サターンは一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑みを浮かべ読んでいた新聞を畳んだ。
「ああ、国際警察のハンサムか。確か本名は……」
「それは今言う必要のないことだ」
「それもそうだ。俺がお前を識別できればそれで十分」
するとサターンはもう一度新聞を取り出しそれを広げてまた読み始めた。
「ここで話すことでもない。お前がそれを飲み終えたら別の場所で話すか」
「……わかった」
サターンがのんびり新聞を読んでいる間、ハンサムは出来るだけ早く紅茶を飲み終えた。
ハンサムが飲み終えるのと同時にサターンは新聞を置き立ち上がった。
「もっと味わって飲めばいいものを、別に俺はお前が飲んでる間にいなくなるつもりはないぜ」
「……どこに行くつもりだ?」
「あんただいぶせっかちだな。まあその辺に適当なところがあるだろ」
そう言って二人は黙って歩き出した。