04 こうてつ島4
「行けっ!ドーミラー」
「ルカリオ」
2匹のポケモンが対峙した。
「ドーミラー、サイコキネシス!」
「はどうだん」
どちらも命中したが、ルカリオには大してダメージが与えられていない。
ふらっとしたドーミラーにサンはすかさずもう一弾はどうだんを撃ち込んだ
たまらずドーミラーは倒された。
「行けっ!ジバコイル」
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
「でんじほう!」
ルカリオの投げた骨がひとつでんじほうとぶつかり、残りはすべてジバコイルに命中した。
「嬢ちゃん強いな、戻れジバコイル」
トウガンはジバコイルを戻してそのまま次のポケモンを繰り出そうとしなかった。
「続き、しないんですか?」
「……どうもな、どうせ負けると思ちまうんだよ」
「やってみないとわからないでしょう」
トウガンは肩をすくめた。
「あんたは規格外だよ。強いを通り越して。ジム巡りする必要はないと思うぞ」
「確証は無いでしょう」
「俺は断言できる。あんたはチャンピオンより強い」
そう言うとトウガンはポケットからバッチを取り出してサンに渡した。
「3匹皆倒されちまったら万が一ギンガ団が戻ってきたときに戦えねえからな。お前の勝ちだよ」
サンは納得がいかないというようにバッチを強く握った。
「嬢ちゃんは自分より強いトレーナーを探してるんだろ?違うか?」
「なぜ解る?」
「全然本気じゃないからだよ。違うって感じの目してたろ」
「……私は今までバトルをしていつも同じ感覚しか感じたことがない。やる意味が見つけられなかった。負ければ多少は変わるかと思ったけれど負けようとして負ければ意味がない。普通に戦い普通に負けたい」
「全国のトレーナーが聞いたら泣きそうなセリフだな……」
ゲンは彼女に聞こえないよう小声で呟いた。
「まあ世界は広い、いつか見つかるだろ」
トウガンは彼女を慰めるようにぽんぽんと彼女の肩を叩いた。
「ギンガ団はどうするつもりなんですか?」
「奴等はまた来るだろうが、俺達が抑える。嬢ちゃんは心配せずに次のジムに行ってみろ。チャンピオンに挑んでみるといい」
「……おそらく次に来るのはギンガ団の幹部でしょう。あなたが勝てる見込みは……ゼロです」
「はっきり言うじゃねーか。さっきの嬢ちゃんのセリフじゃないが、何で解るんだ?」
「あなたより強いトレーナーであることは確かです。その上普通のギンガ団員もいます」
「じゃあ嬢ちゃんが戦ってくれるのか?」
「……いいえ」
その会話を聞いていたゲンはあわてて言った。
「君なら勝てるんだろう?」
「勝てるでしょう、でも彼らと戦いたくありません。どうせ勝ってしまいますから。ではこれで」
そう言うとサンは出口へと歩いていった。
トウガンとゲンは何も言わなかった。