03 こうてつ島3
こうてつ島にやって来たサンのことは瞬く間にギンガ団員に伝わっていった。
「ばかみたいに強いガキがいる」と。
彼女はその話を聞いてやって来たギンガ団員を次々瞬殺していた。
彼女が女ギンガ団員を相手にしていると、横からはどうだんが飛んできて彼女が相手にしていたポケモンを倒した。
「……あなたはギンガ団員ではありませんね」
そこに立っていたのは一人の青年とおじさんだった。
「ああ、俺はミオのジムリーダーのトウガン、こいつはこの島に住んでるゲンだ」
彼女は先ほど見た小屋の表札を思い出していた。
「あの小屋の?」
「ああ、私の小屋を見たんだね。こいつが私のパートナーのルカリオだ。君もルカリオを?」
「はい。ところで、この島になぜギンガ団が来ているのですか?」
「ここは良質な石がたくさんあってね。それを取っているようなんだが……勝手に取るのは泥棒だ。それに彼らはここに住むポケモン達の生活も壊している」
ゲンは渋い顔をして言った。
「君はなぜここに?危ないだろう」
「ジムリーダーを探しに」
「俺か、ジムリーダーがジム業をほったらかすのはまあ……あれだが。ここのギンガ団をどうにかしないとおちおちジム業にも戻れねえ」
「要は、ここのギンガ団員を全員倒せばいいんでしょう?」
「嬢ちゃん……かわいい顔して恐ろしいこと言うな」
「まあ、ここの様子を見れば彼女の実力はよくわかります」
そう言ってゲンは彼女が倒していったギンガ団員を見た。
受け答えをしながらも、彼女はやって来た新手のギンガ団を瞬殺していく。
「隊長がやられた!」
「はあ?ウソだろ!?」
「一時撤退だ!戻るぞ」
ギンガ団員は我先にと逃げていった。
残された彼らは呆然とその様子を眺めていた。
「……君はいったい何者なんだ?」
ゲンはサンに訊ねた。
「ジム挑戦しているただのトレーナーです」
「君の実力は……いや、わかってるか」
「まあギンガ団もいなくなった事だし、ジム挑戦は受けるが……」
「彼らはまだここに用があるはずです。また戻って来るでしょう」
「じゃあここでジム挑戦ってことにするか」
不意にトウガンはこんなことを言った。
「ここで……ですか」
「あれだけのギンガ団を倒したんだ。ジムトレーナーと戦う必要はないだろ。ジムバッチはいつも持ってるしな」
「いいんですか?彼らがまた戻ってくるかもしれないのに」
「いや、今日のところは大丈夫だろ」
「根拠はあるんですか?」
「勘だ」
そうトウガンが言うと、ゲンは小さく吹き出した。
サンは不思議そうにゲンの様子を眺めていたが、すぐトウガンと向き直った。
「ではここでジム挑戦します」
「よしきた。ゲン、お前審判やってくれ」
「わかったよ。じゃあお互いポケモンを3匹ずつ選んだ……ようだね」
「さて、久しぶりの本業だよ」
そう言ってトウガンは1匹目のポケモンを繰り出した。