02 こうてつ島2
サンは走って船着き場に向かった。
「こうてつ島にはどうやったら行けますか?」
船着き場にいた船乗りは怪訝そうな顔をしながらも応えた。
「2時間に1本くらいで船が出てる」
「ありがとうございます。どの方角ですか?」
「あっちだけど……お嬢ちゃんあそこに用事かい?今危ないから嬢ちゃんみたいな子が一人で行くのはおすすめしないがな」
「失礼します」
そう言ってサンは一瞬でカイリューをボールから出し、飛び乗って飛んでいってしまった。
「なんだありゃ?」
船乗りは首をかしげた。
サンは船乗りに教えられた方向に飛んだ。
しばらく飛ぶと、小さな島々の中に、明らかに人の手が加えられた島を見つけた。
彼女はその島に降りて、近くにあった小屋の戸を叩いた。
返事はなく、扉は固く閉ざされていて人の気配もない。
ちらりと郵便受けを見ると、そこにはゲンと書かれている。
彼女はその小屋の前の道にそって歩いた。ゴツゴツとした岩が無数に転がり、地面には比較的新しい足跡がついている。よく見るとその足跡は彼女もつれているルカリオのもののようだった。
彼女はルカリオを出して、もう一匹のルカリオの波動を探るよう命じた。
『こっちだ』
そう言って歩き始めたルカリオについて行くと、そこには大きな洞窟の入り口があった。自然にできた洞窟に人の手が加えられ動きやすそうだ。入り口にはトロッコとそれが走るレールが整備されていた。
今も掘られている鉱山だと聞いていたが、そのわりには人がいない。
彼女はルカリオについて、鉱山に入っていった。
「おい、これはどうだ?」
「いや、ダメだ。それでは足りん」
ひそひそと囁き会う声がサンの耳に入ってきた。
岩影から見ると、そこにいたのは彼女がよく見てきた服装、ギンガ団の制服に身を包んだ男二人が岩を見てなにかをしていた。
「なにをしている?」
彼女は彼らに訊ねた。
彼らは一瞬ぎょっとしたが、声をかけてきたのがまだ幼い子供だとわかると彼らは獲物を見つけたかのような目で彼女を見た。
「なんだ、ガキじゃねぇか。見ろよ、ルカリオなんて連れてるぜ」
「こんな配給されたポケモンよりいいぜ」
彼らは彼女に目を向け、言った。
「おい、そのルカリオ、俺達にくれよ。お前より上手く使ってやるよ」
「嬢ちゃんにはもったいない」
「……弱いくせになにを言っている」
彼女は彼らを睨みながら言った。
「あ?何て言った!もういっぺん言ってみろ!」
「あなたが私に勝てるわけがない」
「舐めやがって、やっちまえ!ヘルガー!」
「ボーンラッシュ」
彼女はルカリオに呟くように指示を出した。
ヘルガーは命じられる暇もなく倒された。
「嘘だろ」
「俺がやってやるよ!ヤミラミ、おにびだ!」
「しんそくで避けてみやぶる」
ルカリオは彼女の指示通り動き、彼女が「はどうだん」と言うと同時にはどうだんを撃った。
「なっ……なんだよこいつ」
「強い」
「もう終わり。島から出ていけ」
「俺ら以外にもこの島にはギンガ団がいる」
「お前がいくら強くても意味ないぜ」
「弱いものが何人集まっても意味はない」
彼女はそうとだけ言うと鉱山の奥に歩いていった。