02 ノモセの湿原2
ギンガ団幹部、マーズは爆破地点の横にに立って新しく開発された爆弾の威力をデータに書き込みながら団員の報告を聞いていた。
爆発の威力は凄まじく、近くの木は黒焦げ、爆発によって飛ばされた泥は水分が飛び砂のようになっている。
「幹部様、あっちに馬鹿みたいに強い子供がいます!」
「何とかして持たせなさい!」
マーズは書き込みの手を止めずに言った。
「しかしあの子供強いです!」
「データの書き込みが終わったら引き上げる!それまで持たせるの!」
「はいっ!」
マーズの剣幕に圧され、団員はあわててその場から走り去っていった。
マーズはその団員がいなくなったのを確認して、データの書き込みの手を止めた。
(たぶんサンよね……あの子と戦ったところで勝てるはずがない。どちらにせよここは早く離れるのが一番ね。言ってもあの子は聞かないだろうし……)
その時、また一人の団員がマーズの方へ走ってきた。
「じき引き上げる!それまで持たせなさいと言ったわよね!」
「ここの爆破の目的は何だ?」
マーズは団員の方を向いた。
「あんた誰?」
そう問われた団員はおもむろに髪に手をかけ、それを剥がすように外した。
「あんた……国際警察の」
マーズはハンサムの姿を見てにやりと笑った。
「ハンサムだ。なぜここの爆破をした?」
「ボスの命令よ」
「アカギの命令なら何でも聞き、ここまでするのか!?」
マーズは一瞬動きを止めたが、すぐにまた言った。
「私だって好きでこんなことしないわよ……でもボスの理想のためにやってるの」
「なぜそこまでする必要があるんだ!?」
「私を逮捕する気?」
ハンサムが訊ねると、不意にマーズはそんなことを言った。
その瞬間、マーズの横にいた影がのそりと動いた。
ハンサムはそれがマーズのポケモン、ブニャットだと認識するとボールを手に取りグレッグルを出した。
「ブニャット、つばめがえし!」
「リベンジだっ!」
グレッグルはブニャットの攻撃をなんとか耐え、ブニャットにリベンジを撃ち込んだ。
「もう一回つばめがえし!」
その一撃でグレッグルは倒された。
「その程度で私を逮捕しようだなんて甘いわ」
「くっ……」
(最年少幹部だと聞いていたが、やはり強い……)
ハンサムは他にもポケモンを持っていたが、出して倒されてしまっては意味がないと考え、グレッグルをボールに戻すだけにとどめた。
「記録は完了した。引き上げるわよ!」
マーズはインカムで団員達に指示を出し、自分はブニャットを戻してトロピウスを出し、その背に飛び乗った。
「言っておくわ、ギンガ団……いえ、アカギ様は止められないわよ」
マーズはそう言い残し、トバリシティの方に飛び去っていった。