05 古代の像5
星を眺めていたサンは、誰かが近寄ってくる気配に気付き、そちらに目を向けた。
「ジュピター、マーズ」
彼女は近付いてきた二人の女性の名前を呼んだ。
二人ともギンガ団の制服に身を包み、ゆったりとサンの方に歩いてきたって
「何で私の名前が後なのよ」
マーズは不満げに言ったが、すぐに表情をもとに戻しサンを見た。
「私達が何しに来たか解ってるわよね?」
サンは黙ってうなずいた。
「ギンガ団に戻ること自体は構わない。でもそこに私は必要?」
「ボスは計画を実行に移す気でいる、計画にはあんたが必要だとボスは言っていたわ」
「……解った。でも、ひとつ聞かせて。ジュピターとマーズはなぜアカギに従うの?」
突然の質問にジュピターとマーズは面食らった。
「何でって、あんまり考えたことはないけどボスがいなかったら今の私はないし、パソコン設備がそこらのIT企業より充実してるからね。こっちの方がやれる幅が広い」
ジュピターは言った。ジュピターはギンガ団のセキュリティ管理をしていて、彼女のセキュリティは破られたことが一度もない。普段はギンガハクタイビルで新たなセキュリティの基盤作りや遠隔操作でセキュリティチェックなどを行っている。
「私はボスがいなかったら路頭に迷ってた」
マーズは短くそう言った。
(……どちらも恩返しなんだろうか。私も恩返しのつもりなのか?)
ジュピターとマーズの返答を聞いて、サンはますます解らなくなった。
「まあ一旦戻るよ。といっても時間的に今夜はギンガハクタイビルに行くことになるけど」
そう言ってジュピターはボーマンダを出した。それにならってマーズもトロピウスを出してその背に乗った。
「行くよ」
マーズに急かされ、サンもカイリュー以外をボールに戻した。
(私が何のためにアカギに従うのかは、戻ってからでも考えられる。考えてそれに納得できなければ私はどうすればいい?)
彼女は小さく息を吐き、カイリューの背に乗った。
そして3人は闇の中をギンガハクタイビルに向けて飛んでいった。