02 古代の像2
ハンサムはちょうどジムから出ていくサンの姿を見つけた。
日は沈み、街灯に照らされた道をサンはすたすたと東の方に歩いていく。
ハクタイシティの東のはずれには古代の神の像が2体あり、時の神ディアルガと空間の神パルキアが向かい合わせに建てられている。ハクタイシティの観光名所だ。
サンはそこに行くつもりだった。
ハンサムは彼女の後ろをこっそりと付けて歩き、像がある小高い丘の階段を上った。
階段を上った先は小さな林になっていて、木々に隠れて明かりに照らされた像の台座が見える。
サンが林を抜けるのを見届けた時、ハンサムは不意に後ろから声をかけられた。
ハンサムが振り返ると、そこには薄明かりに照らされたギンガ団幹部、サターンが立っていた。
「なぜお前がここにいる?」
ハンサムがそう尋ねると、サターンは小さく笑って言った。
「幼い子供の後をこそこそ誰が付いてきてるのかと思ったら国際警察のハンサムだったんでね」
「やはりあの子がサンなのか?」
サターンは笑っただけで肯定も否定もしなかった。
「さあどうだかね。知ってるんじゃねーの」
ハンサムはその返事を流し、サンが向かったところに行こうとすると、不意に手首を強い力で掴まれた。
「手を放せ」
ハンサムは空いた手でボールを掴み、ビーダルを出した。
「ドクロッグ、ドレインパンチ」
サターンが言うと、なにもいないと思っていた暗がりからドクロッグが出てきてビーダルにドレインパンチを当てた。
「ビーダル!」
「付いてこい、中途半端に知られて変な誤解受けるのは困る」
「変な誤解?」
「あんたサンのこと知りたくないのか?」
ハンサムは耳を疑った。サンのことはギンガ団にとって最も隠したいことであるはずだ。
「どういう意味だ?あれほど隠したがっていたことだろう」
「言ったろ、変な誤解されんのが困るからだ」
サターンは付いてこいとでも言うかのように林を進んでいった。
ハンサムは目を回しているビーダルをボールに戻し、少し迷ってサターンのあとに付いていった。