02 配慮
昨日は夜まで吹雪が降り続ていたが、今日は朝からすっきり晴れている。
ハンサムはキッサキシティのホテルを出て、どこへともなく歩いた。
サンを追いかけてキッサキシティまで来たはいいものの、キッサキシティにまだサンは来ていなかった。
彼女ならキッサキシティに来てすぐジム挑戦の手続きを済ませるはずだからだ。
知らぬ間に追い抜いてしまっていたようだった。
ハンサムはキッサキジムを訪れた。
サンが来ているかどうかを確かめるためにここ数日毎日訪れている。
受付の女性は何度も訪れるハンサムを覚えたようで、彼が来るとまだ来ていないと教えてくれる。
今日も来ていないのだろうかと思いながら人混みを掻き分けてハンサムは受付に訪れた。
「今日は……」
「来ましたよ」
受付の女性は微笑みながら答えた。
「姪っ子さんでしたっけ?女の子がお昼頃に」
「そうですか、ありがとうございます。いつバトルなんですか?」
「今日の分はいっぱいだったので、明日の朝一の枠です」
サンが無事見付かり、ハンサムは安堵のため息を漏らした。
ハンサムが出ていってから、受付の女性は横にいた同じく受付嬢に尋ねられた。
「ねえ、なんで一緒にいた男の子のこと言わなかったの?言ってあげれば男の子のバトルの時に会えるかもしれないのに」
「わかってないわね、あのおじさんは姪っ子さんのこと大好きでしょ」
受付嬢は先程のハンサムの様子を思いだしながらうなずいた。
「なるほど、そういうわけか」
「でしょ。大人が邪魔しちゃったらねえ」
「そういえば大変だったんだっけ、あんたのお父さん」
「品定めされるみたいな目で見られてた彼が可哀想だったもん、ちょっとかさねちゃった」
「あのぉ、ジム挑戦の受付を……」
二人が話していると、新しい挑戦者が二人を不思議そうな顔で見ながら受付の前に立っていた。
「あっ、すみません。ジム挑戦ですね?」
二人の受付嬢は、再び仕事に戻り、その話題はもう出ることはなかった。