04 212番道路
サンとシロナは濃い霧の中を手を繋ぎながら歩いていた。
視界が悪く、地面からは所々岩も飛び出ているので足元に注意しないと転びそうになる。
この先にカンナギタウンの近くまで行くことのできるロープウェイがあるので、彼らはそこに向かっていた。もうあと数十分で見えてくる頃だ。
一応道の横にはロープが張ってあり、所々に看板も立っている。
「ジムバッジ集めてるんだよね?いくつ集まったの?」
「6つです。あとはハクタイとキッサキのジムバッジが残っています」
「凄いわね、あなたと一度バトルしてみたいわ」
シロナがそう言ったとき、ぽつりと水滴がサンの額に当たった。そしてぽつぽつと水滴は勢いを増し、ザーザーと激しい雨になった。
「どこか雨宿りできるとこを探さないと」
そう言ってシロナはサンの手を引っ張り、近くの林に入ったが葉が落ちていて木々は雨を防いではくれない。
カサを取り出してさしたが、あまり防いではくれない。足元の泥が跳ねて足はもうベタベタになっていた。
「まずいわね……」
「あの岩の下なら雨を防げそうです」
彼女は雨で霧が消され、少し見やすくなった彼らの前方を指した。
崖から飛び出た大きな岩がある。雨を防げそうだ。
彼らはその岩の方へ早足で向かっていった。
岩の下は彼らが思っていたよりも広く、二人は地面にシートを敷いて濡れた靴や靴下を脱いだ。
サンはウインディを出して濡れた体と荷物を乾かしてもらっていた。
「私も一緒に乾かしてもらっていいかな?」
サンの衣服はだいたい乾いてたので、サンはウインディにシロナの体を乾かすように言った。
ウインディがシロナの体を乾かしている間、彼女は降りしきる雨を見ていた。
「まだしばらく降りそうね」
だいたい乾いたのか、シロナが口を開いた。
「夜までに止まなかったらここに泊まりますか?」
「まあね。危ないし雨の後って霧が晴れることが多いから雨が止むのを待つのが一番ね。食料もあるし」
そう言ってシロナは自身のカバンをごそごそとあさってパンをいくつか取り出した。パンと一緒にいろいろ出てきて、ちらりと覗いた彼女のカバンの中はいろいろな物が乱雑に詰め込まれていた。
「カバンの中は見ないでねっ!」
シロナは慌ててカバンを閉めて、何事もなかったかのようにサンにパンを勧めた。
サンはパンを受け取ると、自分のカバンからポケモンのご飯を出して、それをポケモン達に食べさせながらパンを食べた。