02 ナギサの灯台2
サンとオーバはナギサの灯台にたどり着き、中のエレベーターを使って最上階の展望台にやってきた。
展望台では先ほどオーバと言い争っていた青年が熱心に望遠鏡を覗き込んでいた。
オーバはその青年に近づき、声をかけた。
「おい、デンジ、チャレンジャー来てるぞ」
デンジは仏頂面で振り替えると、オーバの姿を見てまた望遠鏡を覗き込んだ。
「おい、チャレンジャー来てるんだぞ」
デンジは再び振り替えると、オーバを見て言った。
「お前がバトルしてやれよ」
「……お前はジムリーダーとしての自覚があるのか!?」
「停電に関しては悪かったと思ってる」
「今はその話じゃねーよ!」
デンジは不意にサンの方を向き彼女の連れているサーナイトを見て言った。
「……ジム挑戦を受けよう」
デンジは望遠鏡から手を離すと、エレベーターの方へ歩き去って行った。
「あいつは、まったく……。まあジム挑戦受けるらしいし行ってこいよ」
「あの人は何を見ていたんでしょうか」
サンは先ほどまでデンジが見ていた望遠鏡を見た。
「ポケモンリーグだ。1か月後のポケモンリーグへの挑戦権を獲得するリーグトーナメントがあるだろ?あいつはそれが待ち遠しくて見てたんだ」
彼女は望遠鏡を覗き込んだ。城のような独特な外観の建物が見えた。
リーグトーナメントは2ヶ月に1回のポケモンリーグに挑戦するための予選みたいなもので、ジムバッチを8個集めたトレーナーだけが参加でき、トーナメントの上位3名がポケモンリーグの挑戦権を得る。挑戦権を得るために全国からたくさんのトレーナーが集まるのだ。
「強い挑戦者とは戦いたいが、弱いやつと戦うのは面倒くさいってあいつはどんだけわがままなんだ……」
「デンジさんは強いんですか?」
「ああ、変わったやつだが」
サンは望遠鏡から目を離し、エレベーターの方へ歩いていってしまった。
「あの子も十分変わってるな」
オーバは小さく呟き、彼女の後を追った。
ジムに到着すると、入り口のところにデンジが立っていた。
「中にいればいいだろ」
「今日ジムトレーナーはいない」
「ジムは日曜以外開けとくのが決まりだろ!今日は木曜だぞ」
「わかったよ。今日この子と戦えばいいんだろ」
デンジはそう言ってモンスターボールを取り出し、ライチュウを出した。