02 ノモセシティ2
マキシはハンサムに向けて怒鳴ると、少し落ち着いたようだ。
「で、その子は何をしに?ジム戦か?」
「ああ、そうだ」
「すまないが今はそれどころではないんだ。別の……トバリシティとかナギサシティのジムに先に行ってはくれないか?」
それを聞いてサンはあっさりとうなずいた。
「いいのか?」
「最後に回ればいいだけのことです」
サンは特に何も思っていないような表情でそう言った。
「マキシさん!」
一人の大柄な水夫がこちらに向かって走ってきた。
「どうした!」
「ギンガ団の残党を捕まえました!」
その報告にハンサムとマキシは目の色を変えた。
「すぐに行く、案内しろ!」
ハンサムとマキシはサンに付いてこないように言って、その水夫に付いて行ってしまった。
だが、サンは二人が走っていく後ろから一定の距離をつけて付いて行った。
彼らが走っていった先には何人かの水夫に取り押さえられた二人のギンガ団員がいた。一人の顔にはアザができていて、逃げようとして殴られたのだろう。
「こいつです!」
ハンサムはそのアザのあるギンガ団員に歩み寄り、胸ぐらを掴んで問いかけた。
「湿原を爆破した理由はなんだ?」
「あんたにゃかんけーね話だろ。手放せ」
ギンガ団はハンサムから目を逸らしながら言った。
「いいから言え!言ったら手を離してやる」
ギンガ団員は無言でハンサムを睨んだ。
何も話す気はないと察したハンサムは、その団員の胸ぐらを掴んだまま、横のもう1人のギンガ団員に目を向けた。
「私は何も聞かされてないわよ!」
その様子を木陰から見ていたサンは、向こう側の空から誰かがこっちに向かってきているのに気付いた。
クロバットと青い髪の男。ギンガ団幹部のサターンだった。
サターンはその騒ぎの中心に降り、ハンサムとマキシの方を見て笑った。。
「国際警察にジムリーダーか。まあ大した敵ではないな」
「サターン、何の用だ」
ハンサムはサターンを睨みながら言った。
「捕まった団員を連れ戻しにだ」
「……ずいぶん仲間思いだな」
「こちらも妙な情報を流されると厄介なんでね」
そう言ってサターンはエルレイドとレントラーを出した。
「1対2……いや2人プラスその他数名か。ずいぶん不利だな」
サターンは不敵な笑みを浮かべながら言った。
ハンサムもグレッグルとチリーンを出し、マキシもヌオーとネオラントを出した。周りにいる水夫もそれぞれのポケモンを出した。
「レントラー、放電!エルレイドはリーフブレード!」
エルレイドはその指示を聞いてすぐ攻撃し、彼らが気付くとエルレイドの前にヌオーとネオラントが倒れていた。
エルレイドが跳躍し放電の範囲から外れたタイミングでレントラーは電気を四方に走らせた。
残っているのはハンサムのグレッグルとチリーン、じめんタイプの入っている水夫達のドジョッチやヒポポタスだけになっていた。
「エルレイド、マジカルリーフ。レントラー、かみくだく」
サターンはその残ったポケモン達を片付けると、無言で捕まった団員の方へ歩いていき、彼らを解放した。