02 コンテスト
コンテストの会場はあちこちに様々な色のライトが輝き、ステージにはかわいく着飾った人とポケモンが並んでいる。
コンコンとマイクをチェックする音の後に、会長の声がホールに響いた。
『ようこそいらっしゃいました!これよりかわいさコンテストグレートランクAブロックを始めます!』
観客は一斉に歓声を上げた。
『さて、こちらに並んでいるのは昼に行われたノーマル予選を勝ち進んだ選手だー!端から紹介していこう!エントリーナンバー21、ミナとラルトスのルル!』
一人の少女がぎこちない礼をした。
『次!エントリーナンバー15、ルイクとヒトカゲのヒート!』
ヒトカゲを抱いた少年が頭を下げた。
『次はー!エントリーナンバー29、フィナとピチューのピッチ!』
名前を呼ばれた少女は前の二人と同じように礼をした。
『最後はー!エントリーナンバー6、マールスとブニャットのブーニャ!なんと彼女はノーマル予選2位通過!』
マールスは慣れているように優雅な礼をした。
観客からはどよめきが起き、次にそれは歓声に変わった。
だが、サンはその選手、マールスを食い入るように見つめた。
帽子とメガネで顔が見にくくなっていてパッと見ただけではわからないが、その帽子から出ている赤い髪、女性はギンガ団幹部マーズだ。
「……なぜマーズが?」
彼女は思わず小さく呟いたが、その声は観客の歓声に掻き消され、誰にも聞こえなかった。
その後、ポケモンの衣装を変えるということで、マーズ達はステージ裏の控え室に入っていった。
数分後、ポケモン達が新たにドレスアップして控え室から出てきた。
すべてのポケモンが先程より可愛らしく着飾り、動きも可愛らしくなっている。
『さあ続いてはビジュアル&ダンス審査!先程皆さんにお渡ししたボタンを押して審査してくださーい!一人あたり5回ですよ!』
彼女は会場の入り口で渡された手のひらにすっぽり収まる大きさの機械を見た。
『選手が演技を終えたらその後10秒間の間に押してください。ではまずはミナとルル!』
拍手とともにミナとルルがステージの中央に向かい、ミナが中央に立つと同時に曲が流れてきた。
『ダンス曲は……パチリスの朝!』
ルルはくるくると回転し、それからステップを踏み始めた。ミナはカスタネットで指示を送っている。
サンはどこがいいのか、そもそもかわいさとは何なのかが解らず、ぼんやりそれを見ていた。
次の二人の演技も、ボタンを押すことなく見ていただけだった。
最後にマーズの順が回ってきた。サン前の3人を見るのと同じように見て、ボタンだけ押した。
その後の演技も彼女は特に興味を示すことなく、意味も解らず見ていた。
コンテストの一番最後に行われたアピールバトルというバトル競技も、彼女は一瞬興味を示したが、演技をしながらバトルをするという行為をわざわざすることが理解できず、結局何をするのか解らないまま、結果発表になった。
『結果の集計が終わりました!それでは結果発表!Aブロック優勝は……マールスとブニャットのブーニャ!マールスには記念リボンと今夜行われるハイパーランクコンテスト出場権が与えられます!』
彼女はマーズがリボンを受け取って、コンテストが終わると同時に会場を出た。
しかし彼女はコンテストホールからは出ず、マーズを探した。