01 ヨスガシティ
彼女がヨスガシティの外れに降り立つと、ちょうどテンガン山に夕日が半分ほど沈み、ヨスガシティの街並みがオレンジ色に染まっていた。
ジム挑戦の受付時刻は過ぎているので、ジム挑戦することはできない。
彼女は特に行きたいところもなくぼんやり立っていると、町の方から3匹のミミロルが走ってきた。その後ろからミミロルのトレーナーらしき少女がミミロルを追いかけていた。
「その子達を止めてー!」
彼女はポケモンを出してミミロルを囲むようにして捕まえた。
「ありがとう、助かったよ」
少女はハアハアと息を切らしながら言った。
捕まったミミロルは2匹はサンに、もう1匹はサーナイトに抱き抱えられている。
『もっと走るのー』
『遊ぶのー』
彼女が抱えている2匹のミミロルは口々にそう言った。
「公園にいたら急に走ってっちゃって……ありがとう」
そう言うとミミィはペコリと頭を下げた。彼女も小さく頭を下げ、ミミロルを少女に渡した。
「私はミミィ、コンテストの審査員をやってるの、あなたは?」
「……サン」
「ヨスガには何をしききたの?コンテスト?」
「ジム挑戦にきました」
「へぇ……でももう受付時刻は終わってるから……そうだ!コンテストに参加してみない?」
ミミィは何かを思い付いたように言った。
「コンテスト?」
「来てみれば解るって!会場はこっちだよ」
ミミィはサンの手を掴むと、大きなドーム状の建物に彼女を連れていった。
「ここ、ここがコンテストホールだよ」
サンがミミィに連れられたどり着いたのは、ピンク色を基調とした内装に、たくさんのポケモンの写真が飾られた広間だ。
着飾られたポケモンがトレーナーの横で踊ったりしてコンテストに備えている。
「ミミィ君、どこに行っていたんだ?もうすぐ審査委員会が始まるぞ」
「あっ、すみませんすぐ行きます会長」
どこからか一人の中年男がやって来てミミィに声をかけた。
「ん?ミミィ君、横のお嬢ちゃんは……」
「外でミミロル達と遊んでいたら逃げ出してしまって、この子……サンが捕まえるのを手伝ってくれたんです」
「だから来るのが遅れたのか。ところで……サンといったか、君、コンテストに参加してみないか?君と君のポケモンなら素晴らしいステージになりそうだ。このルカリオ、たくましさ……いや、かっこよさ?うーん、うつくしさでもいけそうだ」
「いいえ、そのつもりで来たわけではないのでお断りします」
男は残念そうに言ったが、すぐ立ち直り立ち上がった
「ではミミィ君、先にいくからできるだけ早く来るように」
「あっ、はい。すぐ行きます」
男はどこかに立ち去っていった。
「参加しないなら見学だけでもしてくれない?きっと興味わくよ」
サンはルカリオと顔を見合わせた。
『どうする?』
『今後の予定もないから、皆がいいなら見る』
『俺は構わない』
こうして彼女はコンテストを見ていくことを決めた。