chapter1 最初のスリーステップ
トラブルな一日



 ワイワイタウンには『ポケモン調査団』がある。
読んで字のごとく、大陸の様々な場所に存在する『不思議のダンジョン』を解明する為につくられた組織である。なかでも、大仕事となるのは『ガショエタワー』の完成。『ガショエタワー』は世界地図であり、それを完成する為に調査団のポケモンは日々働いている。そんな調査団の建物の前にポケモンが一匹大きく伸びをする。
「ふあ〜 今日もいい天気だなぁ」
見た目は、まだ学校へ行く年頃。短い手足を懸命に伸ばし、朝日を存分に浴びる。ヒノアラシと呼ばれるポケモンだった。
「今日はどこ行こっかなー? ……ん? 何あれ?」
何気なく見た道の先。そこに砂埃を巻き上げて走るものがいた。
一匹は必死の形相で逃げるミジュマル。
もう一匹は半泣きでついていくナエトル。
「え?」
そして、更にそれを追いかけるコマタナの集団。ざっと十匹はいる。其々がまてーだの、逃がすなーだの、追えー等の安っぽいセリフを吐きながら走り去っていく。
「なあに、今の……?」
唖然として見送り、一つ重要なことを思い出す。
「あっちって確か…… 不思議のダンジョンだ! 早く止めないと!」
自身の使命感に背を押されヒノアラシは彼らの後を追った。








「なんで、なんで、なんでぇ?!」
「るっせー! てか、お前なんで着いてきてんだ!」
「知らないよぅ!!」
話ながら走るという何気に高等技術を発揮しながら二匹は不思議のダンジョンとなっている森を全力疾走していた。場所は腐っても不思議のダンジョン。町を逃げるのとは訳が違う。隠れられる場所は沢山あるが、デメリットが山ほどある。野生のポケモンが攻撃してくること。助けをすぐには呼べないこと。等々。また、経験のないものが入ると最悪遭難する恐れがある。加えてこちらは追われている身だ。呑気に救助を待っている余裕もない。それらの考えが頭を過り、ミジュマルは軽く舌打ちをする。今の状況は最悪だ。不思議のダンジョンに入り込んだ上、ワイワイタウンを通りすぎてしまった。その上、何故かナエトルがついてくる始末。
「やるしかないか……」
「え? なにをぉ?」
息も絶え絶えのナエトルが聞く。ミジュマルは急停止し、背後のコマタナたちを睨む。ナエトルは急停止に追い付けず近くのミキ幹に激突する。中々に痛そうな音がした。ミジュマルは心のなかで軽く合掌すると、腹のホタチを手に取る。
「もちろん」
ホタチから水色の刃が現れ、周囲の空気が少しずつ少しずつ重く変質してゆく。戦闘(バトル)のそれへと。
「戦う」
足が地面を蹴った。
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■筆者メッセージ
進級できますように……(切実)
琅珎 -amber- ( 2016/03/14(月) 17:14 )