おまけエピソード2
これは、ディーザが図書館で門前払いを食らってから、ドクロッグ&ラッタとバトルするまでの話。
「何だよ…。尻尾のせいで不利益ばっかりじゃないか…」
ディーザは町の大通りをとぼとぼと歩いていた。天気は少し暑いぐらいの晴れで、人々の活気で溢れていた。
そんな町をしばらく歩いて、店先に花が並んでいる所で足を止めた。
「フラワーショップか。どうせ暇だし見てみるか」
花屋の店先に並んだいろんな花を見ていた。
人それぞれ好みがあるけど、
どれもみんなきれいだね〜。
(あれ? このフレーズ聞いたことある気が…)
「あー! ちょっと待って!」
お店の中からロゼリアが出てくると同時に、ディーザを店から遠ざける。
「おっ、おい、何だよ!」
「かっ…火事になる…から…」
「入らないでくれと? わかりましたよ…」
「すっ、すいません!」
頭を下げるロゼリアを背に、ディーザはイライラしながらまた歩き出した。
「ヒトカゲになってよかったことがまだない! これ一つと言ってない! 不利益ばっかりだ!」
アース「まぁ筆者が意地悪なだけだからいじけるなって」
(うるさい!)
「って、今の声何だ…?」
………………………………………
「今度はデパートか。まさかここも入れないってことはないよな…」
ディーザは三階建てのデパートの前にいた。
「とりあえず入ってみよう…」
ディーザに反応して自動ドアが開く。
(ピロロンピロロン…)
「(なんだよこの電子音…。コンビニかよ…)」
そのコンビニのような電子音で向かい入れるデパートに入ったディーザの目の前には壁伝いのエスカレーターがあり、右を見ると野菜売り場や冷凍食品売り場が広がっていた。
「食品関係は関係ないから二階に行ってみるか…」
と、エスカレーターに乗ろうとすると、張り紙が視界に入る。
[この先、火気厳禁]
「あぁぁぁぁぁ! もうぉぉぉ!!」
ディーザがやり場のない怒りを拳に込める。しかし、ぶつける宛てがないので、握って終わり。
「もうなんか…、やだな…」
「只今から、タイムセールを始めます! 商品はいかりまんじゅう六個セット!」
その頃、食品売り場ではタイムセールが始まった。
「「「「それくださぁぁぁぉぁい!!!」」」」
「うわっ、何だ!?」
フロアの奥から買い物カゴらしきものを抱えたポケモン達が走ってくる。恐らく、というか間違いなく、主婦の皆様だ。
「すっ、すげぇな…。人もポケモンもやってることは変わんないな…」
「"よこどり"! やった、ゲットしたわよ!」
「えっ!? 今、技使った!?」
「何するのよ!? こうなったら"どろぼう"!」
「いやいやいや! それはまずいだろ!!」
「皆さん、技は使わないで〜」
主婦の皆様が技を使いまくり、ディーザがツッコミ、店員が可哀想なことになっている。
「人もポケモンやってることは一緒って言ったけど、取り消す…。人の方がまだ安全だ…」
(ピロロンピロロン…)
「だから何で音がコンビニ!?」
タイムセールの凄さに呆気に取られたディーザがデパートを出ると、コンビニのような電子音が送り出した。
「尻尾の火のせいで入れる建物がかなり制限されるな…。理不尽だよ…」
デパートを振り返って見ると、またも張り紙が視界に入る。
[身体から物質が出る方は、誠に申し訳ありませんが、お引き取り下さい」
その貼り紙の下辺部には、ベトベトンとダストダスの絵が描かれていた。
「俺より不遇な奴がいたわ…」
………………………………………
またしばらく歩いていると、ある看板が目に留まった。
[炎タイプは必見! 寝る時に火事にならないために!]
「これだ(キターー)!」
テンションの上がったディーザは、元気よくお店に入っていった。
「すみませーん」
「はいよ!」
奥から出てきたのはゴウカザルだ。
「お前ヒトカゲか! お目当てはこれだろ〜!」
と言って、ゴウカザルはお店の奥からテントを引っ張り出してきた。
「これはな、絶炎材質で出来たテントでな、この中なら燃え移るとかいうことはないんだ! 俺もこの通りだから苦労したんだ」
「はっ、はい…。あの、それ幾らですか?」
「ん? これか? これはな〜…」
その後、ディーザとゴウカザルは同じ境遇の持ち主どおしということでトークが弾んだ。いわゆるボーイズトークだ(ガールズトークみたいに言ってるけど、ボーイズトークって言うのか…)。
「じゃあ、ありがとうございました」
「おう、気をつけろよ!」
ゴウカザルに見送られて、ディーザはお店を出た。
(ティーロティーロティーロン、ティーロティーローロン♪)
「えっ、ファミマ!?」
………………………………………
お店から少し移動した所で、ディーザはさっき購入したテントを眺める。
「ちょっと高かった気もするけど、リンも許してくれるだろう」
上機嫌のディーザだった。
すると、彼の視界に屋根から屋根に飛び移る影が入った。
「何だ?」
ディーザは図書館に向かっていった影を追っていった…