おまけエピソード1
時はまだディーザとリンが出会う前。リンが森の集会所を初めて訪れようとした時の話。
「うーん、ここら辺に集会所があるはずなんだけどな〜。見つからないし、とりあえず疲れたから一休みしよっ」
リンはそう言うと木陰に座った。その時の森は、いつも通りの光が差していたが、肌に感じる程の風はなかった。
「なんか、眠たくなってきちゃったな〜」
気持ちよくなってきたリンは欠伸をし、気がつくと目を瞑って寝てしまった。
そして、しばらくして声が聞こえてきた。
「あのー…、こんな所でどうかしたんですか?」
「え…ぇ…?」
木の根元で寝ていたリンに声を掛けたのは、森の集会所で受付をしているレアンだった。
「どうしました?」
「なんか…座って休んでたら…眠くなっちゃって…」
「そうなんですか。どこかへ行く途中とかですか?」
「んん? えーと…集会所…に」
「そうなんですか? わたし、その集会所で働いているので、もしよかったら一緒に行きます?」
「え? あっ、はい…お願いします…」
声を掛けられて、寝ぼけていたリンがレアンと歩き出して数分後。レアンはリンに質問をしてみた。
「名前は何て言うんですか?」
「リンって言います。あなたは?」
「レアンです。よろしく」
「こちらこそ、迷ってたところを、ありがとうございます」
「迷って…たんですか?」
「あれっ? 言ってませんでしたっけ?」
少しの間、こそばゆい沈黙が流れる。
「プッ、フフ」
「フッ、ぁは!」
「「あははは!」」
決して頭がおかしくなったわけではないが、二人はおかしくなって笑い出した。
その後、お互いタメ口でのガールズトークが弾み、二十分程で集会所に着いた。そして、リンがディーザと出会うのは、もう少し後の話…