第二章・解説
☆第二章-暗躍する影
ここからシリアスな場面が出てくるようになる第二章。伏線が多いのも特徴です。
テーマは「物語の予兆」
・第十話-森の中で
まだ旅立ってすぐですので、ほのぼのとしたものを書こうとしてこうなりました。
だからと言って捨て回ではないんです。かなり重要だったりしますが、敢えて明言はしません。というかネタバレなので出来ません。
もう一つ役割があって、それは目的地の指定、明確化です。前回は旅立ちがある意味でのテーマでしたので、次回の予告的なものを入れませんでしたので、そういうところでも必要な回でしたし、リンの、周りに気を配れる面も垣間見れたと思います。
・第十一話-図書館
まともな街としては、初の場所になるレーガシティに到着して、リーフに図書館のことを聞いて調べものをしにいく話。
街に入った時の一悶着で、リンは感情が表に出やすいというのを描写しています。そのあとすぐに謝って反省するところで、素直さなども表したつもりで、それが伝わっていればと思います。
それと一緒に、仲を持とうとするディーザの性格も伝えるという意図の場面でした。
次の図書館に着いた場面。警備員役をグラエナにした理由は、完全なイメージです。群れで狩をする要領で追い詰めるような感じです。そして、ここでもディーザに不遇な対処をしますね。これもネタです。少しでも笑いが起こっているとディーザが救われます。しかし、ただのネタではないです。テントを買わせるタイミング作りや、この後の展開のためにリンと離す目的で入館拒否をしました。
四階建て図書館の内装については、やはり名目は図書館ですので、一般客が利用しなさそうな公共施設はダメだろうということで、一階は普通の町の図書館風に、二階は学校の調べ学習で利用出来そうな感じにしました。その次がいきなり重要な文献クラスになると突拍子がなさすぎるので、ワンクッション置いたという形ですね。
館長さんを登場させようと思ったのは、アミュレットの重要度を象徴する意味合いでした。大切に管理されていれば、何か凄いことがあるのではないかと思わせられるのではないかという意図です。
・第十二話-古い文献
図書館で本を読ませたのは、アミュレット探しに宛を見つけさせるためです。ただ、序盤で全ての位置、詳細を知ってしまうとそれも面白くないので、あの二人に奪ってもらいました。しかし、ただ奪ってもらうだけではないです。それが敵対する相手に情報を与えることで、物語の展開をしやすくするためです。
その後の展開は、ディーザをレベルアップさせる動機付けのためのバトルでもあり、相手がただの咬ませ犬でないことを書いたわけです。ただ、咬ませ犬ではないですが、落下の場面のように少し間が抜けたようなイメージを持たせて、本陣ではないんだなと思わせられたらと描写しました。
それにしても、図書館なのに社宅があるなんて中々ないですよね。
・第十三話-二人の秘密
いつになったら元人間であることをパートナーに明かしてくれるのかと思っていた人もいると思いますが、やっとそのタイミングがきます。書くタイミングを逃したかのように聞こえると思いますが、これがもともとの予定通りです。
何故かと理由を聞かれると、原作のポケダンでは、目を覚ましてすぐに、よく知りもしない相手、しかもポケモンに対して「僕は人間です」って言ったって普通は通らないだろうという、思いというか何と言うか…。パニックのようなのを起こして、わけがわからなくて言ってしまうというのもあると思いますが、自分にはそういう考えがあったので、時間が経ってから明かす流れを想定してました。
ちなみに、リンの過去の話ですけど、あれも数少ない最初からあった設定です。その意図は、また後ほど書きます。
あとは、出だしの月と、終わりの方の風の描写は意識して書きました。月は今後も出てきますが、満ち欠けをしっかり書いて、時間の経過を表します。あれから経った時間はこれぐらいかな、というようにその都度読み取ってもらえると時間経過を感じやすいかと思います。風は、気持ちの緊張が解ける様子、描写になってます。
一番最後の二人を後押しする日の光は、昨夜のモヤが晴れた気持ちと意気込みの象徴です。
・第十四話-道場
序盤ですので、バトルはまだ弱い。ならば修業あるのみ。ということで、道場を目指します。
回の始めは、アミュレットの話題になりますね。道場の件の後に確認するのでは今更感があるので、その前に確認させました。それで、リンの一瞬の沈黙から、まだ事件のことは気にしていることがわかる。
その後の切り替えで、二人の仲が縮まったことも描写した場面となります。
すると、道場が見つかるわけですが、想像より大きい建物であることをだんだんと認識していったり、門が軋むところなどで緊張が高まる場面。この後あのムンナにふっ飛ばされてたりするネタがくるわけですが。
このムンナは小学校の中学年のイメージ。ちゃんとしている面はあるけど、自信がないことになると途端に対応が幼くなる感じです。リンに自己紹介をさせた時の態度と、建物の話の時の態度がその対比的なものになってます。あとは、知らない人を勝手に中にいれてしまう辺り、幼さ故の警戒心のなさを出したつもりです。
お兄さんのムーナは、しっかり者(もどき)のアームと対になるような性格にしました。おっとりしていて頼りにならなそうだけど、実はしっかりしている。このもどき感が対になってる感じです。
あと、ドリームトレーニングは、ムシャーナの夢の煙とトレーニングの組み合わせで、ドリームトレーニング。そのまんまです。道場と聞いて、ポケダン赤青のマクノシタの道場を思い出した方もいるかもしれないですが、それとは違う形にしたくてこれが出来ました。
・第十五話-ちょっとした騒動
ストーリーばかりガツガツ進んでいくのもあれだったので、間話のつもりでちょっとした騒動を起こしましたが、当然ただの間話にはしません。ただでドリトレをしてもらえるわけがないので、ムーナがディーザとリンに借りが出来るようなシチュエーションを作れば、そのお返しにと自然な流れになると思ったからです。
ちなみに、この場所がギルドであることは、後々関係してくるのでチェックです。
・第十六話-ドリトレ
さて、騒動の後はドリトレということになります。ドリトレで登場するポケモン達は本物ではなく偽物であるので、感情はない、ということにしていて、それ故無言です。これはよくある設定ですね。
後半でいきなりバンギラスが出てきますが、何故バンギラスをチョイスしたのかは忘れてしまいました。確か深い意味はなく思いつきだったと思います(笑)
ガスバーナーは完全にネタですが、これは伏線込みです。
ドッコラーの「仲良いんですね」の件で二人がむせる場面は、そういう場面です。他人にそう言われると照れ臭いですよね。それが男女となれば・・・。
アミュレット→アミューズメント/アウトレットのネタは、ディーザは時より人を和ませようとする面があるので、その描写にもなるので咄嗟に思いついたのを入れたくなって入れてしまいました。
バンギラスの「グガァァァ」→「具がぁぁぁ」は、予測変換で出てきたのが面白かったので予定外でしたが追加しました。
・第十七話-水源
幻想的な空間をイメージした水源。思い返してみると、ポケダン時闇空に出てくる熱水の洞窟の目の前のようなイメージに近いことに気がつきました。ですが、それよりは霧も濃くて、滝は大きなもの一個のみです。そこは違います。
霧の濃さについてのディーザの言葉に対して、リンの返答が食い違っていることに関して、「そういうことじゃないんだけど」と言っていましたが、あれは"それぐらい霧が濃い"という意味であり、"元の景色がどんなものなのか凄く気になる"という意味ではないということを表しています。
そして、入口の捜索となるわけですが、"壁に隠れスイッチがありました"パターンは割とベタですが、これが雰囲気的にもマッチしていたので採用しました。砂山に落ちて無傷というのは、"ウインドバレーの今鹿"のイメージで合ってます。
というわけでダンジョン突入ですが、なんとこれが二つ目のステージ。二つ目で重要なステージに入るなんてハイスピード展開過ぎる気がしなくもないですね。
途中で仕掛けられる攻撃の描写は難しいということも、ここでわかりました。精進します。
ディーザがリンの攻撃と動きを見て、"いきいき"していると言っていましたが、これはアリアドスとの戦闘の時点ではまだ慣れていなかったバトルに、ドリトレによって慣れてきたんだよ、という描写になります。
その後はサクサクと進んで問題の地下十階。何故か扉が開くんですよね〜。詳細はまたの機会に。
それで、地底湖までの道のりは、ポケモン映画、ラティアスラティオスの秘密の庭に続くあのトンネルのような道をイメージしてもらえれば近いです。
ここであの二人がまた出てくるんですよね。ドクロッグとラッタ。図書館で相手を誰にするかは凄く迷いましたね。最終的には技から逆引きして絞り込んだぐらいです。
"目的の〜"の場面での"趣旨が違う"ってどういうことだろう? と思わせることが出来ていれば自分としては満点です。
あとは、カロートが"どくばり"を吐いて終わることで続きが気になるように終わらせられたのと、当時流行っていたある銀行員のセリフも使えたので結構満足している回です。
・第十八話-黒幕
「えっ、もう黒幕出るの?」と思った方も多いかと思います。この題名には後々意味がありますので覚えておいて損はなしです。
というわけで、バトルをするわけですが、やっぱりピンチがないと面白くないので、"どろばくだん"をチョイス。ディーザにもリンにも弱点の技なので、ピンチになって緊迫しますよね。そこから逆転していくわけです。"ガスバーナー"からの成長で、この土壇場で"かえんほうしゃ"に仕上げる辺り、やっぱり主人公です。"ガスバーナー"はなくても良かったのではないか、と思う方もいるかもしれないですが、元(兆し)がないのにいきなり出来るなんて都合のいい流れは書きたくなかったんです。"ガスバーナー"がいきなり"かえんほうしゃ"になるのも十分都合がよ過ぎる気がしないでもないですが、火のない所に煙は立たないわけで。"ガスバーナー"はそのためのワンクッションというわけです。"かえんほうしゃ"が連続して何回も使えないようにしたのも、覚えたてで使いまくれるのも都合がよ過ぎると思っていたからです。
さて、バトルに決着が着くと、エムリットが登場します。かなり冷たい感じを出していて、[感情]消しますよ? という厨二的な発言。緊張感があっていいなと思っています。この場面で顔が引きつらせる描写ですが、それは単なる未知なるものへの怖れというのもありますが、ドリトレで[無感情]の相手を見ているので、[感情]を消された後を容易に想像しやすかったことによって余計に表情を強張らせる要因になっています。
ここで二人が引き下がろうとするわけですが、ただでは終わらなかった。そう、リタイレムの登場です。我ながら黒幕感がかなり出ている気がするのですがどうでしょう?
そんなことは置いておいて。
リタイレム、通称リタイによって、アミュレットのことがいろいろとわかるわけです。願いが叶うとか、世界のバランスが崩れるなど。比較的、この回は厨二要素が多いですね。
リタイは圧倒的な力を見せつけ、難なくアミュレットを持ち去ってしまうわけですが、消える直前にディーザを一度見ます。もしかして何か感じたのか?ぐらいに思ってくれていれば成功です。
そして場所は外に移ります。ディーザはやられた時の様子を夢に見てうなされてます。それぐらい圧倒的であったことを思わせますね。ここでは、ディーザに初めて焦りが出て、闇落ちしそうな雰囲気が出てます。しかし、リンになだめられることで落ち着きを取り戻します。これは、レーガシティでの二人の立場(落ち込む側となだめる側)との対をなしているわけです。お互いに助け合う様子を演出したつもりです。
・まとめ
第二章では、物語が軌道に乗ることもあって文章量が増え、ここに書く内容も多くなっています。
最初に述べたテーマ(物語の兆し)ということで、二人が旅をしていく上での道筋がここで出来ていくわけです。本家のポケットモンスターシリーズでいうと、悪の組織と対峙して大きな出来事に関わっていくことになる、みたいな流れが出来るのがこの第二章です。
この時点での未回収の伏線も結構あるので、期待していて下さい。