ひっこし
お家におばさんが来ました。
お兄ちゃんはおばあちゃんとお家にのこるけれど、わたしはタマムシのおばさん家に行くそうです。
わたしはそこの学校にかようそうです。とかいの空気は体にわるいので、お兄ちゃんは行けないそうです。
タマムシで友だちできるかな。ちょっと不安です。
今朝からずっと、おばさんとおばあちゃんが話していました。
お父さんとお母さんのいひんをどうするか、話していました。
この家にはお父さんとお母さんが作ったけんきゅうきざいがたくさんあるので、それをどうするか、話しているみたいでした。
おばあちゃんは、しきりに、べんごしさんを呼んだ方がいい、と言っていました。
お父さんとお母さんのものは、すてないでおいてほしいな、と思いました。
今日はウパくんをどうするか、お兄ちゃんと話し合いました。
お兄ちゃんはつれて行っていいよ、と言ってくれました。
わたしはいいの? とききました。お兄ちゃんはいいよ、と答えました。
ウパくんがいれば、タマムシのあたらしいお家に行ってもさびしくありません。
ウパくんみたいに体がじょうぶなら、お兄ちゃんもタマムシに行けるのになあ、とお兄ちゃんが言ったので、お兄ちゃんも行けたらいいのにね、とわたしは言いました。
ウパくんをつれて家の中をたんけんしていたら、おばさんにこらっとおこられました。
お父さんとお母さんのけんきゅうしつに入ってはいけないよ、とおこられました。
なんでも、けんきゅうしつに入ったら、ポケモンといしきが合体するそうです。人のいしきをポケモンにうつす、そういうけんきゅうを、お父さんとお母さんはしていたそうです。でも、まだ、ポケモンと合体したいしきを元にもどすことができないから、いちど合体したらそのままで、とてもあぶないのだそうです。
ちょっとこわいけど、ウパくんになるのならいいかな、と思いました。でもやっぱり、もどれないのは困ります。
今日はおばさんに手伝ってもらって、わたしのにもつをまとめました。
お洋服と本をつめたら、はこがいっぱいになりました。
お気に入りのププリンの手さげかばんに、ハンカチとティッシュと、ウパくんのモンスターボールを入れました。
ボールがあるけれど、ウパくんが入っていなかったので、ウパくんをさがしに行きました。
ウパくんは、けんきゅうしつの前でたおれていました。コンコンとせきをして、くるしそうです。ウパくんはびょう気になったみたいです。
ぼくはウパくんじゃないよ、お兄ちゃんだよ、とウパくんが言いました。コンコンせきをしているのは、お兄ちゃんのびょう気がウパくんにうつったからだそうです。
わたしはコンコンせきのウパくんをつれて、おばさんの所に行きました。おばさんはけんきゅうしつに入って、まっ青な顔をして出てきました。
その日は夜中までずっと、おばさんとおばあちゃんが話しこんでいました。
わたしは今日、タマムシに行きます。
お気に入りのププリンの手さげかばんに、ハンカチとティッシュと、水とうを入れました。わすれものはない? とおばさんにきかれました。わたしはないよ、と答えました。
おばあちゃんが見おくりに来てくれました。お兄ちゃんも見おくりに来てくれました。ウパくんがいないと、あたらしいお家でさびしくなるかもしれないけれど、だいじょうぶです。
タマムシで友だちできるかな。今からたのしみです。