第六章、中央州中部編
8話
〜1〜

「はぁ…。はぁ…」

エレスとの戦いで、身も心もボロボロになってしまった。伝説のポケモンに、勝てるわけがない。そんなの…分かってるのに…。なんでか分からないが、ここで倒れるのは、俺のプライドが許さなかった。

「もう終わりか?」
「まさか!まだまだ…。これからさ!」

戦っている間に、みんなの足音が聞こえる。声が聞こえる。つまり、みんな生きている証拠だった。それ以上に俺を勇気付けてくれるものはない。
みんな頑張ってんだ。こんなところでくたばれるかっての!

「“冷凍ビーム”!!」
「“チャージビーム”!」

2つの技はぶつかり合うが、一瞬でソルトが押し負けてしまう。
くそ!“冷凍ビーム”で相手の動きさえ止めれれば、少しでもダメージを与えられるかもしれないのに!
俺が冷や汗タラタラな所に、“ニャルマー”が後ろの道から現れた。

「失礼いたします。エステール大将」
「タラ・リフォルダ中将…。どうした?」
「宰相閣下がお呼びです。ここは、私にお任せください」

そう言ってタラは、エレスの前に立つ。クソ!行かせるかっての!!

「行かせるかぁぁぁ!!」
「ダメですよ。貴方の相手は…。私です」
「ここは任せた。けして、通らせてはならないぞ」
「分かっています。それが、閣下の為になるならば、私は…この命すらも投げ出出す覚悟が出来ていますから!“シャドークロー”!」

ギリギリの所で避けるが、エレスはもう姿が無かった。どうしても退かないなら、無理にでも退かせてやる!

「“アクアジェット”!!」
「クッ!」

この時の為に、新しく覚えた技が2つある。1つは“リベンジ”の代わりに、“アクアジェット”。もう1つは、“水鉄砲”の代わりに覚えた技。これは必殺技として残しておこう。

「“アイアンテール”!」
「“シェルブレード”!」

近距離での攻防が続く。体力が限界に近いからこそ、早々に倒さないといけない。と言う焦りが脳内を駆け回っている。

「考え事は…命取りですよ!!」

タラの“シャドークロー”が肩をかすっていった。そのせいで、少しだけよろけてしまう。

「これで、決める!“十万ボルト”!」

なぜか、その瞬間がゆっくりに見えた。死ぬ直前の光景はスローモーションになるって言うけれど、こう言う事なんだろうか?

「“火炎放射”!!」

“火炎放射”が“十万ボルト”を相殺した。その時に、やっと現実に引き戻されたような感覚が襲う。

「ソルくーん!!」

右側の方の道から、マームの声が聞こえた。やっと追い付いたらしい。

「ギリギリセーフ…と言うやつだな」
「レーさんナイスセーブ!見直しちゃった!」
「マームはいつも元気が良いね…」
「ウフフ。それが、マームの良いところよ?」

レインとマーム。それに、ヒカミとシャナが右側の通路から現れる。さっきの“火炎放射”はレインの技だったのか。

「ソルトー!!」

今度は左側の通路からラピスの声が聞こえる。こちらも到着したようだ。

「はぁ…。はぁ…。やっと追い付いたー!」

シュトゥルムを背負ったラピスと、ユーリを支えているサファイアが到着した。
シュトゥルムはお腹に、ユーリは右足に包帯が巻かれていた。も何があったのか分からないが、ものすごい死闘を繰り広げたことが分かる。

「これでまたみんなそろったね?」
「うん!でも…みんな無事じゃないね」
「そうだな。しかし、今は雑談している場合ではないようだ」

みんなでタラを睨み付ける。しかし、タラは誰かと連絡を取っているようだった。

「はい…。かしこまりました」
「な、なんだ?」
「宰相閣下がお呼びです。私についてきてください」

そう言ってタラは、奥の道へと進んで行った。これは…。

「ついていった方がいいよね?」
「だな。じゃあ…行くか」

みんなが頷いて、奥の道に進んでいく。これから何があっても、怖くない自信があった。だって、俺には側にいてくれる仲間がいるから。

星夜 ( 2015/05/15(金) 19:29 )