4話
〜1〜
遺跡の地下で謎の扉を見つけた俺たちは、ここから先にはどうにも進めない状況にあった。
マームが扉を押したり、引いたりしたけれども開かない。
「“リーフストーム”!!!」
試しに技をぶつけてみようと試みたが、傷ひとつ付かなかった。一体何の素材で出来ているんだろうか?
「う〜ん。やっぱりその仕掛けをどうにかするしかないのかぁ」
「みたいだね。この3つの窪み…一体何なんだろう?」
台座には、丸、ひし形、そして6角形の形をした窪みがある。きっと何かをはめるのは間違いなさそうなんだけどな…。それっぽいような物は…持ってないし。
「今の俺達じゃ、この扉をどうこうできそうにもないな」
「もうー!!!後ちょっとでお宝なのにーー!!」
「じゃあ帰るの…?」
「そうだね。マーム、帰ろ?」
「はぁ〜。なんかショック〜〜〜」
うなだれるマームと一緒に、出口に向かおうと歩き出したときに、ものすごい悪寒が背中をかけた。ゾクッとするような、そんな感じ。急に空気が張り詰め、冷たく感じる。
みんなそれに感ずいたのか、後ろを振り返る。すると地面に穴みたいなのが開いていて、そこから大きなポケモンがゆっくりと姿を表す。
「な、なになになに!?」
「誰だ貴様ら。ここはあのお方が眠る神聖な場。貴様らが来ていい場所ではない、即ここから立ち去れ!」
ものすごい威圧感。しかも、言葉の一つ一つが冷たくて…まるで氷のような感じがビリビリと感じる。
「ギラン・メラニウムス…」
ラピスがぼそっとそう呟いた。そう言えば、声を聞いたって言ってたな。て事は…こいつが帝国の宰相!
「あんた、メラニウムス帝国の宰相か!?」
「そうだ。私はメラニウムス帝国宰相、ギラン・メラニウムス!!」
この種族は…伝説のポケモン“ギラティナ”。まさか…本当にいるなんて…。しかも、メラニウムス帝国の宰相。
知らない間に、ギランの周りには軍人達が取り囲んで守っていた。あの穴から出てきたのだろう。
「なんで!?西州の王国と対談じゃないの!?」
「あれは、西州に行くための口実にしか過ぎぬ。私の目的は…そんなことではないのだ」
そういって、台座に近づいた。穴から出てきた影のような物には何か握られている。そのうちのひとつには見覚えがあった。間違いない、しらたまだ!
「あれ!しらたまだよね!?なんでこんなところにあるの!?」
「貴様らが知ることではない」
なにがなんだか知らねぇが、とにかくマズいことをしようとしてるのは分かった!あの扉を開けるのが目的みたいだな、なら、先に止めるが勝ちだ!
「ソルトどうする!?」
「そりゃあ止めるしかねぇだろ!行くぞ!」
「「「うん!!」」」
「宰相閣下をお守りしろ!」
俺たちが飛び出すと、軍人も一気に飛び出してきた。
とりあえず、数で言えば負けてるが、力ではこっちが確実に上だ!どんどん攻めまくってなぎ倒してやる!
「“シェルブレード”!!」
「リーフブレード”!!」
外側から攻めていき、敵を出来るだけ真ん中に集める。そして、ラピスとヒカミが一気にかたをつける。
「「“ダブル火炎放射”!!」」
ふたつの“火炎放射”が、どんどん軍人をなぎ倒していった。もちろん、瀕死にする程度に加減はしている。
しかし、その間にもギランは窪みにキラキラと輝く宝石を嵌める。
そしてすべてを嵌め終わると、遺跡全体が大きく揺れ始めた。
「うわぁ!!」
「遺跡が…揺れてる」
「これ避難した方が良いじゃない!?ソル君!早く行こ!」
もと来た道を急いで走り抜く。真っ暗なのは仕方がない。とにかく真っ直ぐ進めばいいのだ。
上から降り注ぐあの光は、どうやら俺たちが落ちた穴のた頃まで来てしまったみたいだ。それでも容赦なく遺跡は揺れる。
「マーム!」
「まっかせておいて!“蔓の鞭”!」
マームの“蔓の鞭”で、上の方に急いで上がる。
眩しいぐらいの光が、出入り口の方からさしてきていた。って!早く脱出しねぇと!!
外に出た瞬間に、遺跡が中に浮きまるで巨大な要塞のような形に変わる。俺たちはただただ見上げるだけでしかなかった。
太陽を隠し、西州が夜のように暗くなる。そして、その要塞は真っ直ぐ東の方に向かっていく。あっちは…中央州の方角だ!
「ねぇ!早くみんなと合流した方が良いんじゃない!?」
「そうだな。とりあえず、王都に戻るか。話はそれからだ!」
4匹全員が今までよりも速いスピードで走り抜ける。今までよりももっと大変な事が起ころうとしている。それだけは、誰しもが思っていたことだ。