第三章、東州中部編
10話
〜1〜

次の日、ユーリはどこか浮かない顔で一緒にご飯を食べていた。

「ユーリ?どうしたの?」
「……うん?あぁ、大丈夫だ」

いや、大丈夫じゃないだろ。返事するのにワンテンポ遅かったよ。ご飯も全く手をつけてないし、昨日の事をまだ引きずっているみたいだ。
そこに、宿のオーナーが声をかけてくる。

「あの…。ご飯、美味しくないですか?」
「え!?あ、いや!美味しくないから食べない訳じゃないんです!ちょっと悩んでて…」

ほら、オーナーに心配されてんじゃねぇかよ。ご飯が美味しくないって勘違いしちまってるし。
ユーリは、ものすごい勢いでご飯をたいらげていく。

「うっ…」
「あ!ユーリ!み、水!誰か水!って、僕水タイプだった!“水鉄砲”!」

そんなにかきこむから、喉つまりしてる!サファイアが、必死になってユーリの救命活動をやっているところに、シュトゥルムが外から帰ってきた。

「やぁ!おはよう。ちょっと良い話があるんだけど…それどころじゃないね」
「ユーリ!!戻ってきてー!!!」
「あ…。死んだ母さんが手を降ってる…」
「ユーリ何言ってるのさ!そのポケモン違うから!ユーリのお母さんまだ生きてるよ!ついてっちゃダメ!!」

何やってんだよ…。
ユーリが大きなこんにゃくを吐き出して、なんなくこの事件は終わった。それよりも、シュトゥルムが持ってきた良い話を聞きたい。

「で?良い話ってなんですか?」
「うん。メラニウス帝国の宰相が、西州に行くみたいだよ?」

その話…どっから持ってきたんだ?ちなみに、俺はまだシュトゥルムを信じきってない。

「西州に!?なんで今になって…」
「さぁ?憲兵からくすねた情報じゃ、どうしてかは言ってなかったよ?」
「て言うか、障壁をどうやって越えるの?」

みんながう〜ん。と悩む。って!みんな、先に気付かないといけない事があるでしょ!!憲兵からくすねたって、何なってんだよ!

「そう言えば、ソルトとラピスはどうやって東州に来たんだい?」
「私たちは、パパの特製ダイナマイトでドカン!と…。でも、軍のお偉いさんを別荘を壊すのに全部使っちゃって…」
「へぇ、ドカン!とねぇ。その特製ダイナマイトをラピスは作れないの?」
「パパの特性だから、私は作れないです。やっぱり帝国もドカン!とやるのかな?」
「あほ。お前じゃねぇんだから、そんな事しねぇって」

でも、不思議だ…。あの障壁をどうやって越える?
そこに、復活したユーリとサファイアが戻ってきた。あ、ついでにレインも今起きてきた。

「何だ?君らは知らないのか?障壁には扉があるんだぞ?」
「え!?」

レインが落ち着きはなった口調で、平然と話してきた。
障壁に扉がある…!?今までそんな話出てきたことがねぇよ!!

「いつ使われるか、誰も分からないような感じだからな。聞いたことが無いのは当たり前だ」
「じゃあ、西州に行こう!」
「なんでだよ?」
「一番偉いポケモンなら、いっぱい軍人さんも行くんだよね?それなら、追っかけた方が何をしに行くか見に行った方がいいんじゃない?…って言ってて、本当は私が西州に行きたいだけなんだけど…」

それじゃあダメだろ…。でも、行ってみる価値はあるか。うん?どうやって?

「どうやって行くんだ?」
「…忍び込もう!」
「バレたらシャレにならねぇぞ?」

…扉を先にくぐっちまうか?でも、何気にそれが一番無難な気がする。

「先回りしよう」
「先回り…?」
「そう、先回りして俺たちが先にくぐるんだ。それが一番安全な気がする」
「なら、そうするかい?僕らのリーダーが言ってるんだしね?」

うん?リーダー…?誰がだ?

「何ぽへらっとしてるのさ?これだけのポケモン達をまとめられる君が、リーダーに調度いいよ」
「昨日、話して決めたんだ。ソルトにリーダーをお願いしてもいいかな?」

みんなの視線が一気に俺に集まる。え?え?な、なんだよ。俺が…リーダー?そんなこんな雰囲気じゃ、断るに断れねぇじゃねぇか。

「わ、分かった!やれば良いんだろ?やれば!」
「そう来なくちゃ!さ、そうと決まれば障壁に急ご!」

宿賃を払って、外に出てから走る。
なんか走ってばっかだな。この調子なら直ぐにつくか?門を通って、障壁の扉がある森の中に入っていく。大きく果てしなく広い森だ。迷わないようにしないと…。

「うふふ…。みーつけた。あの子が最後の生き残り…。さっさと片づけて私が昇進」

誰が見ているか分からないから…。





〜2〜

「うわぁ〜。なんかやな感じの森」

森の中はどこかどんよりとした雰囲気が出ている。確かに、なにか出てきそうな感じの森だな。注意しないと…。

「はべ!!」

こういう風に、木の根本で転ぶはめになる。ちなみに転んだのはラピスだ。おでこが赤くなっていた。

「大丈夫ラピス!結構派手にいったけど!」
「いたたた。なんとか…大丈夫みたい」

さっさと抜けないと、帝国に先を越される。
うん?何だ?この感じ…。殺気…?

「“バブル光線”!!」
「な、何だ〜!!!!??」

草むらの中から、いきなり“バブル光線”を放たれる。ギリギリ避けられたが、当たったらどうする気だよ!って!違う違う!

「ソルト!“火炎放射”!」
「“十万ボルト”!!」

レインとユーリが草むらに向かって攻撃した。
そこから黒い影が飛び出し、太陽と重なって顔は見えなかったが、あのフォルムは“マリルリ”だな。

「“ギガインパクト”!!」

今度は“ギガインパクト”で、こっちに向かってくる。
なんで俺を狙うんだよ!あんたの事俺知らねぇって!恨みを買った覚えもないし!

「よっと!」
「“アイアンテール”!!」

直ぐに避けても、“アイアンテール”がしっかり俺の身体を捕らえた。
脇腹に直撃し、木に叩きつけられる。

「ガっ!!っう〜!!」
「あんた誰だ!?俺たちになんの用がある!」
「私はスイミル。帝国にそこの最後の生き残りを殺す様に依頼された、暗殺ギルド三鬼門の1人。大海のスイミル」
「あ、暗殺!?」
「そう、あなたは依頼人の敵。つまり私の敵。ただそれだけよ」

そう言って、スイミルは“バブル光線”を放ってくる。
スイミルだかイカスミだか知らねぇけど、俺達は今それどころじゃねぇってーの!!
脇腹を押さえながら避けるが、かなり効いている。

「“冷凍ビーム”!!」

スイミルの足下を氷らせて、逃げられなくする。それを見て、レインとユーリが一気に畳み掛ける。

「“炎のパンチ”!!」
「“雷パンチ”!!」

2属性の攻撃が、スイミルに直撃する。
爆発を起こして、そのまま木に叩きつけられた。んにしても、暗殺ギルドか。これじゃあおちおち寝てもいられねぇよ。

「行こう!っ!」
「ソルト、無理しないの。かなり強力だったし、後でアザができるかも…」
「俺なら大丈夫だ!それよりも、早く行くぞ!」

急いで障壁に向かう。
帝国も慌てているのかもしれない。そうそうに西州に行かないと!
かなり無理はしているが、そんなの今はどうでも良かった。みんなで束になって障壁に向かっていった。

■筆者メッセージ
コラボキャラ、スイミル登場です!
何気に強力な技がいっぱい出てきて、強敵ぽくても案外やられる。
三鬼門と言っていましたが、三とついている通り、あの二匹でてきます!お楽しみに!
星夜 ( 2015/04/09(木) 07:19 )