6話
〜1〜
次の日。目が覚めると、もうすでに太陽が高くなっていた。あれから丸1日ずっと寝てたらしい。
起きあがると、身体のあちこちに包帯が巻かれていた。それでも、痛いところはどこにもない。
「あ!ソルト!おそよう!」
おそよう!ってなんだ?って言うか、枕元にあるこの巨大なトロフィーは…いったい。
「すっごいよねこのトロフィー。まさかこんなに大きいなんて思ってなかったよ」
「だな…これどうしよう」
「預けておけば?ここの宿、預かり屋もやってるんだって」
そうするか。いつ取りに来るか分からないけれど…。すると、部屋の中にぞろぞろといっぱい入ってきた。もちろん、サファイアとユーリ。それとレインだった。
「って、なんでレインさんまで!?」
「うん?あぁ、久しぶりにユーリに会って、思い出に浸ってたんだよ」
「ユーリ、レインさんと知り合いなのか?」
まぁ…な。と言って、目をそらす。何か、ヤバイことでもあるのか?
「なんだ知らないのか?ユーリは、元メラニウス帝国の中佐で俺の部下だったんだ」
「「「えーーーーー!!!!!」」」
「ユーリ、元軍人だったの!?」
「あ〜。言いたく無かったんだけどな…」
「て言うか、レインさんも軍人!?」
「あぁ。元だけどな。大佐をやってたんだ。ユーリは、軍のやることがいやになってやめたんだぜ?カッコいいだろ?」
大佐だったのか…そりゃあ強い訳だ。
あれ?でも、元って言ってたな。止めたってことか?
「レインさん。軍を止めたんですか?」
「まぁな。まぁ、飽きたからなんだがな」
飽きた…!?飽きたから止めたって…まるでヒビキを見てるみたいだ。
なんでもできる男ってやつ?
「そこでだ!君たちに相談がある!私を君たちの旅に加えてくれないだろうか?」
「え?あ、是非どうぞ!」
「それは良かった。それよりも、傷は大丈夫のか?」
「あ、それが…。全然痛みが無くて。て言うか、直ってる…かも?」
包帯を全部解くと、傷跡さえも残ってなかった。
昨日出来きたはずなのに、こんなに早く治るなんて絶対に無い。
「キレイに治ってる!なんで!?」
「知らねぇよ。こんなの初めてだし…」
取りあえず、すっかり動けるようにはなったけれども、ユーリの傷は完全に直りきってはいない。
そこで、しばらくこの町に滞在することにした。その判断が、とある事件を巻き起こすとは知らずに。