第三章、東州中部編
4話
〜1〜

その後、残った4名はくじを引くために近くの小屋に呼び出された。もちろん、俺とユーリもその4名の中に入っている。

「ささっ!準決勝の対戦相手を決めるから、このくじを引いてくれ」

そう言って、ハムライバッチは4つの紙を出してきた。どれを引いても地獄しかない 俺にとって、残ったもので別に良かった。
どうしてみんな俺を場外に出してくれなかったんだ…。

「同じ番号の奴が対戦相手だ。開いたら、俺にくれよ?」

4つ折りにされた紙を開くと、2と書かれていた。って事は、2回戦目にバトルって事か?
ハムライバッチに開いた紙を戻した。

「よーし。それじゃあ対戦相手を発表するぞ?先ず一回戦目!レインvsユーリ!」
「お、なかなか良さそうだな」

ユーリの相手はあの“リザード”か。うん?って事は、俺の相手って…。

「まぁ、分かると思うが一応発表するぞ。2回戦目!ソルトvsサーペン!」

なぁーーーー!!!!!!

「あの時と小僧か。まぁ、楽しくやろうぜ?」

サーペンはそう言って、外に出ていった。
みんな、今の俺の顔がどうなっているか分かるか?下顎が床につきそうなぐらい、口が開いてる。
最悪だ…。誰とあってもきっと言っていると思うが、これこそ絶体絶命ってやつだ。もはや俺には逃場なんかどこにもない。進んでも進んでも、地獄だけだ。

「頑張れよソルト。決勝戦で戦おうぜ?」
「なら言っておくよ。絶対ムリだから!」
「なんで無理って決めつけるんだ?やってみなきゃ分からないだろうが」
「やってみなくても分かるだろ!?初心者の俺に勝ち目なんかねぇって!それでなくても、ここにいること事態がラッキーなのに…」

すると、ユーリがいきなり頭を撫で始めた。頭を撫でられた事なんて、もう何年ぶりだろう。

「そうだな。確かにそうかもしれない。それでも、やらずに後悔するよりも、やって後悔した方が、お得だと思うけどな」
「お得?」
「そうだ。やらなかったら得るものは何一つ無いが、やってみて、ボロボロになって負けたって、きっと得るものはあると思うぞ?まぁ、どうするかはお前次第だ。俺の戦いを見て、よく考えてみな」

ユーリはそう言って、外に出た。今小屋の中にいるのは俺だけ。ユーリが初めてこの祭りに出たとき、俺と同じ感じだったんだろうか?……取りあえず、ユーリの応援をしよう。決めるのは、その時だ。
扉を開けると、ちょうどバトルが始まるところだった。

「さぁてまたせたな!これから準決勝の始まりだー!先ず一回戦目は、去年の準優勝者!今年はますます強くなって帰ってきた!ユーリ・スティス!」

ものすごい歓声の中で、ユーリはゆっくりとステージに上がった。

「続いて!その対戦相手はー!今年の新人候補!その実力はいかに!レイン・エスペント!」

あの“リザード”も、ゆっくりとステージに上がった。この目でバトルを見るのも初めてだ。一体どんなバトルなるんだろう。

「さぁて、ここでルール説明!ルールは2つ!相手を場外にだすか、参ったと言わせるだけだ!お二人さん!みあってぇーーー!!バトル、スタート!!!!」

カーン!と言う鐘の音と歓声が混ざりいながら、バトルが始まった。
先ず最初に仕掛けたのはユーリの方だった。

「先手必勝!“電光石火”!!」

速いスピードでレインの方に向かっていく。
本来、“電光石火”は、絶対に相手に当たる技として有名だが、レインはそれをなんなく避けてしまう。

「その程度か?」
「チッ!“十万ボルト”!!」

それも難なく避ける。ユーリの攻撃が全く当たらない。それどころか、余裕の表情だ。

「次はこちらが行かせてもらうぞ。“火炎放射”!!」
「よっと!“アイアンテール”!!」

“火炎放射”をジャンプして避け、落ちてくる勢いを活かして“アイアンテール”をくり出した。これはレインも避けきれず、命中する。
すごい、2匹とも一歩も引かない。それどころか、俺なんて遥かかく下だ。絶対に届かない。

「“炎のパンチ”!」
「“雷パンチ”!!」

炎と雷が同時にぶつかり、爆発が起きた。
ものすごい爆風が起こり、飛ばされているポケモンもいる。威力も桁外れだ。煙が消えると、2匹の身体はボロボロになっていた。

「あんた、結構やるじゃねぇか」
「お前もな。流石は去年の準優勝者って所か。でも、俺はまだ本気は出してないぞ」
「だろうな。でも、俺もまだ本気は出してねぇぜ?もう小手調べは良いだろう。そろそろお互い本気で行こうぜ!」

(なんだ?この違和感?こいつ…どこかで…?)

「考え事か?でも、そんな余裕無いだろ!?“きりさく”!!!」
「が!!!っう〜!」

レインの“きりさく”が、ユーリの身体に傷をつける。ユーリの綺麗な黄色の毛に、真っ赤な血が広がっていく。

「ユーリ!!!!」

今叫んだのはサファイアだな。俺も叫びそうになったが、サファイアの声に先を越されてしまった。

「おーっと!ユーリが大ピンチだー!!この危機をどう乗り越える!!」
「やってくれたな。でも、このままくたばる俺じゃねぇぜ!“雷パンチ”!!」

サッとジャンプして避け、ユーリの後ろをとる。

「あんたには悪いが、これで終わりだ!“炎のパンチ”!」

炎をまとった拳が、ユーリの背中に直撃しそのまま場外に弾き飛ばす。ユーリは地面を転がり、そのまま倒れた。
あまりの出来事に、ハムライバッチも、観客もシーンと静まり返っていた。

「ユーリ…?ユーリ!」

サファイアがユーリに駆け寄り、ラピスがそれに続く。俺も、観客の波を掻き分けながらユーリの側に寄り添った。
そこでようやくハムライバッチは話始める。

「ユーリが場外…と言うことは!決勝戦に進出したのはレイン・エスペント!!」

ワァワァと観客が歓声をあげた。
そんなことを他所に、サファイアは涙を流していた。

「ゆ、ユーリ…血が…」
「泣くなって。別に死んでねぇんだからよ」
「僕、ユーリが傷ついてるところ見て、すっごく辛かった。ユーリが負けた事なんかより、ユーリが傷ついてる方が僕は嫌だ」
「……ありがとな。でも、本当に大丈夫だって。相手もかなり手を抜いてたみてぇだし。だから、もう泣くなって」

ユーリはそう言っても、サファイアの目から流れる涙は止まらなかった。大切な物が無くなる痛みは、俺がよく分かってる。だからこそ、もう誰かが死ぬのはいけない。なら、どうする?

「自分が強くなれば良いだろ…!」
「ソルト?」
「続きまして!2回戦目!今年の優勝はやはりこのポケモンか!サーペン・アレイン!」

サーペンがステージに豪快に乗る。それに対して、歓声もかなり大きくなった。

「その対戦相手はー!もう1匹の新人候補!ソルト・カーテリアス!」

名前を呼ばれて、ステージに上がる。その時に、ユーリに呟いた。

「ユーリ。俺、戦うから。勝ち目とかそんなの気にせずに、暴れてくる。だから、俺が勝ったって、言いに来るまで。安静にしてろよ!」

その時の歓声も大きかった。本人に聞こえていたかは分からないが、そう呟く。さぁ、大暴れする時間だ!






〜2〜

ステージに乗り、サーペンと睨みあう。
心の火が付いた俺にはもう、迷いはない。さぁ、バトルが開始だ!

「さぁ、お二人さん準備は良いか?それじゃあ、バトルスタート!!!!」

鐘の音がなるか鳴らないかで、飛び出す。
なるべく飛ばないように走り、相手に隙を見せないようにした。

「“シェルブレード”!!」
「“ヘドロ爆弾”!」

いきなりの遠距離攻撃か。相手との身体の大きさは…言わなくても分かるよな?まぁ、断然相手の方が大きい。でも、チビにだからこそ出来ることがあるんだぜ!?
“ヘドロ爆弾”を切り裂いて、“シェルブレード”を相手に命中させる。

「ぐ!やりやがったなこのガキ!!“しめつける”!!」

サーペンの尻尾が身体を取り巻き、一気にしめつけられた。身体がビキビキと言っているのが聞こえてくる。

「おーっと!サーペンの必殺技が炸裂したー!これはピンチだぞ!どうする?ソルト!」
「ほら、参ったって言っちまいな!そうすれば楽になれるぜ!?」
「ぐ…。誰が言うかばーか!!“冷凍ビーム”!!!」

“冷凍ビーム”がサーペンに直撃した。その時に、尻尾が緩まった瞬間に逃げ出した。
ちなみに、この“冷凍ビーム”は、父親から伝授した必殺技だ。

「俺は、まだまだやれるぜ?」
「コイツ!いい気になりやがって!!!ぶっ飛ばす!」

頭に血が上っているのか、目が赤くなっていた。って、ピンチ!!

「“シェルブレード”!」
「“どくどくの牙”!!!」

左腕に牙が刺さった状態になっても、気合いで相手を吹き飛ばした。
あー。技を使いどころ間違ったなぁ。“水鉄砲”にしておけばよかった。あれ?なんか、目の前が…暗く…なってく?

「ソルト!!」

身体がどさっと倒れた時には、もうすでに意識は無くなっていたが、ラピスが俺の名前を呼ぶ声だけは、しっかりと聞こえた。

■筆者メッセージ
うわぁぁあ!!ユーリに血が!血が!
と、言っても。本当に死んでないのでご安心ください。おかしいなぁ、血が出てくる予定無かったんだけどなぁ。
はじめのやつは気にしないでください。
すみませんでした。
星夜 ( 2015/04/06(月) 19:26 )