番外編!1日限定!ペインテット劇団!
〜1〜
このお話は、ほんの少しだけ先。未来のお話し。
すべての事が終わり、暇を持て余していたソルト達は、マームに呼び出されていた。
「で?用事ってなんだ?」
「フッフッフ。それはね?私、前から劇団をやってみたかったんだ!だから、私たちで1日限定の劇団をやってみない?」
「僕達が演技をするってこと?」
「そう!ラピスにがみんなが目立つような脚本を用意してもらったんだ!」
そう言って、マームは台本を皆に手渡す。えーっと…。題名は『勇者マームの大冒険』?主役は当然マームだよな。俺は…な!
「俺…。魔王ソルート?」
「私は…無能な魔法使いエスペラン!?一言多いぞ!」
「あ、俺。国王ユーリスなんだ」
「私はその妃のシャナルーン」
「あたし…ヒカミン姫なんだ」
「僕は弓使いのシュートゥなんだね」
「あ。僕、聖なる剣士サファン!カッコイイ!」
「そう!で、私はその名も…勇者マーム!」
「で、私が舞台監督ね?」
なんでなんだろう…。この小説の主役が一気に悪者か…。まぁ、たまには良いかもな。悪者も。
「さーてさてさて!早速だけど、もう時間が無いの!小道具とチラシ配り、音響関係はもう大丈夫だから、後は台本を覚えるだけ!」
「じゃあ早速練習しよう!本当に時間がないから、ある程度はアドリブで!」
「ちょ、ちょっと待った!」
「最初はシーン1!勇者マームが旅に出るシーンだよ!」
俺が慌てている中、練習がどんどん進んでいく。全く空気に馴染めていないのは、俺とレインぐらいだった。
「勇者マームよ!我が娘、ヒカミン姫が大魔王ソルートに連れ去られてしまったのだ!」
「そこで、貴女には仲間と共に大魔王を討ち取って、ヒカミン姫を助けていただきたいのです」
「はっ!この剣に誓って、必ずやヒカミン姫を救い、大魔王ソールトを討ち取って見せましょう!」
皆役になりきってる!しかも上手い!俺も負けてられねぇな!
「うん。なかなか良い感じ。じゃあ、次は…」
その後、練習は壮絶を極めた。
一人でも多くのポケモンに笑って貰うため、感動して貰うため…。マーム劇団は突き進む。
そして…本番当日。
〜2〜
お客さんは沢山入り、満席状態になった。これは…なによりも緊張する!
そこに、ラピスが始まりの挨拶をする。
「ようこそ。今回は1日限定の私たちの劇団を見に来ていただき、誠にありがとうございます。それでは、お楽しみください。『勇者マームの大冒険』です!」
会場から盛大な拍手を貰う。
ますます緊張してきた!
「勇者マーム!大魔王ソールトの所まで、後もう少しですね!」
「ここから先、何があるか分からない。サファン。シュートゥ。レイン。気を引き閉めていこう!」
この先は、レインが裏切って勇者を倒そうとするシーンだったな。俺の出番まで、後もう少し!
「はーっはっはっ!引っかかったな勇者マームよ!私は、大魔王ソールト様の右腕!無能な魔法使いレインだ!大魔王様の邪魔をするやつらは、ここで消し炭にしてくれよう!“火炎放射”!!」
“火炎放射”が、マーム達を取り囲んだ。そこにあるのは、黒こげになった身代わり人形。それが、隙を作るための作戦だった。
「ふっ。少しやりすぎてしまったか?まぁいい。これで、この国は我々の物だ!」
「残念でした!それは身代わり人形!私は…ここよ!」
仕掛けでいきなり登場したマームによって、レインは剣で切りつけられる。
「クソ…!大魔王様に…ご報告しなければ…」
そういい残して、レインは死んだ。マーム達は、魔王ソルートの神殿に到着する。
「魔王ソルート!ヒカミン姫を返せ!」
「そうはいかない!さぁ、いでよ!ドラゴン!全てを焼き付くすのだ!」
舞台から、ドラゴンが現れ、ヒカミン姫に炎をぶつける。そこに、盾をもったマームが守った。
「マーム様!お逃げください!」
「姫は私に、尻尾を巻いて逃げろと?貴女はいつも無理難題をおっしゃる!」
「はーっはっはっは!手も足も出まい!」
「クソ!魔王は弱そうだが、ドラゴンが厄介だ!」
「ドラゴンを操ってているのは魔王です!」
「ならば、そこは私にお任せください!魔王ソルート!そんなところにいたら、大物に見えないぞ!」
「誰がチビだ!」
「今です!マーム!行きますよ!」
サファンとマームの剣が、魔王に当たり。魔王はバタリと倒れた。
その後、無事にヒカミン姫を救った勇者マームは、英雄として語られた。そして、国は平和な日々が続いたそうです。
「「「「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」」」」
終わりに、挨拶をすると拍手がいつまでもなりやまなかった。
結果的に、ペインテット劇団は大成功!俺たちの思い出の1ページになる。やってみて良かった!
終わり!