番外編!頑張れサファイア!
〜1〜
このお話は、ソルトとラピスとはじめて会ったときのお話…。
サファイアは身体が弱いと言っても、無理な運動とかが出来ないだけで、ユーリの手伝いはよくやっていた。それは、彼なりの恩返しなのだ。
「ユーリ。洗濯物持ってくるね」
「ありがとな。でも気を付けろよ?転んだりでもしたらシャレにならないからな?」
「ユーリ心配しすぎ。僕だってそこまでドジじゃないよ」
そういい残して、サファイアは外に干してある洗濯物を籠の中に入れていく。毎日やってると、スピードもかなり出てくる。あっという間に全部入れてしまい、ついでに洗濯物を畳んで家に戻った。
「終わったよユーリ。ついでに畳んでおいたから」
「ありがとな。あ、スパイスと薪切れてたんだった。やっちまったな…。サファイア。俺、ちょっと薪を取ってくるから、スパイス買ってきてくれないか?」
「うん。分かったよ」
「あ、じゃあ私も行きたい!サファイア、一緒に行こ?」
「じゃあ、俺はユーリの手伝いでもするか」
「助かるぜ。じゃあ、サファイア。ちゃんとエスコートしてやるんだぞ?」
「うん!行ってくるね!」
そうサファイアは言って、ラピスと一緒にかけ出した。
町の中をラピスと歩くついでに、少し案内もまぜながら話をしていた。
「サファイアは、ユーリの手伝いをすっごく頑張ってるよね?」
「僕がユーリに出来ることは、これぐらいしかないんで。すこしでもユーリが楽になってくれればいいな〜と思ってて」
「へぇ〜。サファイアは優しいんだね。それに比べて、私…。ママの手伝いすら、またにしかやってなかったよ」
たはは…。と、ラピスが笑う。すると、サファイアが不思議そうな顔でラピスをみていた。
「私の顔に何かついてる?」
「あ、いえ。ラピスさんは、ソルトさんといいコンビだなぁと思って」
「え?そうかな…?でも、一緒に生活してもう10年になるからかもね」
「家族同然ってことですか?」
「まぁ、そんなところ。でも、ソルト私に全然頼ってくれないから、私が勝手にやってることが多いな。って、サファイア。敬語じゃなくていいんだよ?」
「え、しかし…」
「もう、友達に年上とか関係ないから!ね?」
「そう…言うなら…分かった!」
サファイアとの打ち解けもなんなくこなしてしまうラピス。サファイアは、そんなラピスが少し羨ましく感じていた。
スパイスを一通り購入して、家に向かって歩き出す。もうすでに夕食の時間だったからなのか、ラピスのお腹がなる。
その時丁度、ユーリとソルトたちも帰ってくるところだった。
「あ!ユーリ!」
「お、戻ってきたか。スパイスあったか?」
「はい、これ。あ、野菜取ってくるね」
「じゃあ頼むよ」
「いってきまーす!」
サファイアは籠を手にとって、畑に向かって走り出す。
ラピスは、本当に頑張り屋なんだなと思いながら、サファイアの後を追う。そのときに小さな声でぼそっと呟いた。
「頑張れ、サファイア」
その言葉は、彼を勇気づける唯一の言葉。この言葉は、サファイアに大きな影響を与える。もちろんそれは───彼自身が一番よくわかっている。