番外編!教えて!フェル先生!(合成編)
〜*〜
「ねぇフェル。教えて欲しいことがあるんだけど」
僕はふと思ったことを、フェルに聞くことにした。この世界に来てから、新しく知ったことだ。
「何?」
「あのさ。合成って…何?」
僕は巷で良く聞く合成と言う言葉を気にしていた。しばらくはこの世界で生きていくんだ。知らないことも、知らないといけないよね。
「合成は合成だろ」
そんな声が僕の後ろから聞こえてきた。後ろにはランドが木の上で自分の爪をきれいに研いでいる。
「それじゃあ分からないよ」
「人間の世界に、合成はないの?」
そう言ってきたのは、ランドのいる木の下で剣を手入れしているアヤだった。毎日磨いている剣は、常にピカピカだ。
「ないよ。科学の世界なんだから」
「魔法と科学が入り交じってるこの世界とは、話が違うのよ」
「ふーん」
興味があんまりないのか、アヤは剣を空に掲げて輝き具合を確認した。青と赤の龍がキラキラしている。
まぁ、アヤもランドもこういうのことに興味があるような性格じゃないしね。仕方ないのかも。
「で、合成って言うのは、単純に言えば物質と物質を合わせて、魔法の力で違う物質に変えることね」
「へぇ。そんなことができるんだ」
「オレンの実と、オボンの実を合成すると強力な薬になったり、鉱石を合成したり、料理も作れるわ」
薬に…鉱石…あと、料理もか。うん?て言うことは…僕が今まで食べてきた料理は、全部合成して作られたもの?そう思うと、魔法もまだまだ捨てた物じゃないって、みんな分かってるみたいだ。
「合成するのに必要なレシピとかも、普通に売ってるよ?」
「アヤもやるの?」
「私は、剣を鍛えるのに鉱石を合成したりすることの方が多いかな?ま、最初は失敗して、ゴミになったりしてたけどね」
必ずしも全部が全部うまくいくと言う訳では無いんだね。ランドも、そう言うことするのかな?あんまりイメージはないけど…。
「ランドもやるの?」
「ランドは、料理が上手なのよ?」
「そうは見えねぇな」
ちょうど買い物から帰ってきたレヴェンテが、話を聞いていたのかそんなことを言った。
「くさい飯の間違いじゃないか?」
「うまい!と、言いたいところだが…残念ながらこれが旨いんだなぁ」
「まぁ、お前の食えない飯よりはマシだろうな」
アヤは怒ったのか無言でそう言ったランドに、剣を向ける。その顔は、絶対叩き切ってやるといってるように見えた。
「おっと、これはヤバイ」
「そう思うなら、最初から言うな!」
いつもの喧嘩がまた始まった。ランドはアヤから逃げる。アヤはランドを追いかける。もちろん、それを止めるポケモンはいないし、止めようとするポケモンもいない。そのうち終わるからね。
「僕にも合成できるかな?」
「練習すれば誰だって出来るわよ。みんな、初めは出来ないんだから」
そう言われると、なんとなくできる気がする。そう思うと、フェルは何でも知ってるし、強い。かなり心強い味方だ。ある意味、みんなの先生になるんじゃないかとその時思ったことは、フェルには内緒。