原因
「博士、遂に判明しました!」博士の助手を長い間つとめている男が、研究所の扉を勢いよく開けて言った。
博士は言った。「おお、君か。確か君には、大気中の二酸化炭素の量が減少している原因を調べてもらっていたな。で、何かわかったのか」
「ええ、原因がばっちり特定できましたよ。無論、政府の地球温暖化対策がうまくいったからでも、炎タイプのポケモンが乱獲されたからでもありませんでした」
「では、真の原因は何だ」
「ある草タイプのポケモンが大量発生したんです。そのポケモンがやたらと光合成をするもので、二酸化炭素が減っていたんですよ」
「ほう。そのポケモンというのは、草タイプ、ということしかわかっていないのか」
「あ、いいえ、そうではなく……。恥ずかしながら、実は名前をど忘れしてしまいまして。図鑑ナンバーなら、印象的だったので覚えているんですがね……」
「それは、何番だね」
「001番ですよ。うーん、本当にどういう名前だったかな。それにしても、ここは炎タイプが多い地域だというのに、どうして草タイプが大量発生したんでしょう」
博士は首を傾げながら、しかし確信をもって言った。「それは、ふしぎだね」