疾風戦記

















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プロローグ
あの日の記憶
 セミの声がうるさい夏、僕は外にいた。

 今日は大学の講義があるはずだが、行ってもどうせ毒をはきまくられるだけに決まっている。かといって、家にいても両親がうるさい。

 公園のベンチでもう二時間は座っている。目の前では、子供がわいわい騒いでいる。砂場で山をつくったり、滑り台を反対側から登っていたり、ブランコをこぐのを競争しあっていたり…。

 僕にもあんな頃があったなと思う。懐かしい。だけど、今はポケモンとかモンハンとかゲームばっかやっている卑怯者だ。


 スマホを片手に立ち上がった。そろそろ講義も終わっている頃だろう。公園を出て街路樹の下を歩く。太陽の光に照らされてプラタナスの木が一層眩しく見える。だけど、今の自分にはそれすらも鬱陶しく見える。

 交差点で立ち止まる。信号が青になるまで目線をスマホに向ける。普段ずっと使っているので、馴れた手付きで操作する。

 人が動き出したのを感じ取り、僕も前方へ進む。スマホに顔を向けながら。歩く人が僕をどんどん追い抜いていく。それにしても、今日は暑い。セミがうるさい。そう思いながら僕は顔をあげた。真っ青な空がビルのガラスに映っている。街路樹の緑も混ざり、とても清涼感のある風景だ。






 信号の色が赤だったこと以外は。
 横から大きな震動と音が僕に伝わってきた。

■筆者メッセージ
こんにちは!やっと投稿できた...。仕組みがわからず二日ほど闘ってました。いまだによくわからないところは多いですが、こんな初心者をよろしくお願いします。
フィーゴン ( 2015/09/02(水) 18:55 )