疾風戦記















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六章 青い波動
八十九話 歪む空
===前回のあらすじ===
 フゥの特殊な力を使って、効率よく、残る『石』のありかを探すことにした僕ら。とはいえ、見える、ってだけで本当に効率が良くなるかは分からないのだけど……


(ここもだめ?)
『はい、それっぽい建物も見つからないです』

 これで森は四つ目。洞窟はあと三ヶ所残っているけど、まだ見つからない。

「無かったってさ」
「了解っ……っと!」

 ちょうどいいタイミングで戦闘が終わったようだ。インファイトが今までで一番綺麗に決まっていると思う。波動をまとった拳が、エネミーを気絶に持ち込む。

「じゃ、次行くか?」
「次って……もうくたくただよぉ……お腹もすいたし……」
「俺に説教垂れたくせに俺より先にギブアップか?」
「うっ。……はぁ、分かったよ……」

 相手を元気付けたことさえ弱みにされるなんて……舐められ具合もいよいよだなぁ。フィレンはお決まりの通り僕の背中に跨り、肩に手をかけた。それを確認してから空を飛ぶ。一瞬で、僕らを見下げていた木々は僕らを見上げることになった。

『ラ〜ブラブで〜すね〜』
(ばっ……違うよ!第一、僕は男だし……)
『あれ〜?でも、サンさん、もしかしたら元から女の子だったりするかもしれませんよ〜?記憶違いって線で』
(んな訳ない!)

 口調は『僕』、生前も、男勝りな行動の数々は薄々と覚えてるし、何しろ、ハートが男……やばい、ちょっと自分でも不安になってきた。
 いやいやいやいや、ここまできて「本当は女の子でしたー(キャピッ!)」とかあり得ないし、キャピッとかその手の効果音が喋るたびに聞こえてくるようなわけでもないし、大丈夫だ、僕は男……男……今はメスでも、いつかオスとして降臨できる日が……。

「どうした、難しい顔して……あぁ、ファにからかわれてるのな」
「全くもってその通りだから困るよ……はぁ……」
「あ、当たってたか。本当にお前、元オスとしてどうなんだ、それは」

 こっちからも直球だよ!苛烈すぎじゃないかな!もう少し思いやりの言葉を投げかけて欲しいよ……。

(……天使さん、笑わない!)
『ハッハハハ!……だ、だって……ぐっ、ククッ……。正論……すぎて……プッ!アッハハハハ!」

 おそらく、僕の顔は梅干しよりも赤くなってることだろう。悔しい……やっぱり一発キツいの食らわせたい。

 頭の雲少し上を雲が渡って行く。フィレンの指示で、僕は右折を開始した。太陽の傾きが強くなっている。森からさらに川を飛び越える。その先は、岩肌の露出した荒野に差し掛かる。

『……!ストップです、サンさん!』
(ん、オーケー……見つけた?)

 天使さんからの指示で、僕は滑空をやめ、その場で羽ばたきを繰り返す。

「どうした?」
「フゥが何か見つけたみたいなんだ」

 とはいえ、荒野は荒野。何があるわけでもないような場所。うーん……実に怪しい。

「『閑古の丘』か……確かに、探検隊はおろか、付近のポケモンも好んでは足を踏み入れないと聞く」
「へぇ〜……詳しいね」
「これでも元はぶらぶら放浪旅をしていたからな」

 となると、ますます怪しい。大発見って、こういうところに限って起こるものだし。

    ___

─────
   _______

……ん?

  _____

      ───────────

 ──────

……あれっ……。

     ────────

『─────っ!──、──は───!』

……だれ……なの……?


_____

            ───────

    ─────────



「────ン!」
「……」
「おい、サンってば!」
「……わっ!」

 み、耳元で急に大きな声を出されると……。

「『わっ!』じゃねーだろ、しっかり頼むぞ?」
「う、うん……ごめん……」

『全くです!さっきから呼びかけてるのに……』
(ほ、本当、ごめん……)

 気をつけなきゃ……さっきのといい、今のといい、ちょっと疲れが出てるのかもしれない。

『それと、見えたものの報告ですが……』


『近くで、クレセントの方々が動いてます』
(……!)

 ビンゴ……?動いているということは、まさか、もう石の場所を見つけて……!手遅れかもしれない、とは思ったけど、島に変化はないし、これから取りに行くところかもしれない。

(……詳しく)

 心の声で情報提供を求める。耳をすませるのとはまた違う感性。だけど、そんな感覚で、用心深く話を聞き取る。

「……何か、分かったのか」

 フィレンも、僕の顔つきから察したらしい。バサッ、バサッ、と羽ばたく音が周期的に響く。

「……行き先……うん、大体でもいいよ」


「……『大空の塔』……分かった」

 僕は、フィレンに向かって、「帰る」、と合図した。フィレンは背中を二回叩いた。同意見、ということらしい。

■筆者メッセージ
先週は投稿できませんでした……これ以上ペースは落としたくないものです
フィーゴン ( 2017/06/18(日) 14:39 )