疾風戦記















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六章 青い波動
八十一話 再開の貴方へ
===前回のあらすじ===
 急に真剣に語り出す天使さん。そして僕は、ガブリアスのルートを命じられるがままに森の中へと連れ込まれた。意味を結局理解してないまま時が過ぎると、空からフライゴンが降って来た。彼女はこう言った。私は……。


「天使……さん……なの……?」
「はい!頭に黄色のリングは付いてないタイプの天使さんでした!」

 ま、まぁ……僕くらいしか天使さんの存在は知らないはず。本人も隠そうとしてたし。空から降って来たことも含めて考えると、やっぱり天使さんだろう。そして名前が、

「……フゥ……って」
「はい!……うーん……サンさんからそう呼ばれるのは少し違和感ありますね」

 さっき以上に頭が真っ白。ひとつひとつ、起こったことを処理してみよう。
まず、僕が天使さんと出会った。僕が長い月日を過ごして、今日に至った。ガブリアスのルートを発見し、天使さんの指示により森の中に連れ込んだ。天使さんが堕天した。

 結論は案外すんなりと出た。実は天使でもなんでもなかったんじゃね、こいつ。ホントに自称だったオチじゃないのかこれ。そして、ドヤ顔。やけに似合うと思うのはなぜだろう。あ、でもなんかこう可愛い。ドヤ顔の奥に愛嬌と苛立たせるものがある。

「はは〜ん?サンさんまさか、私のこの可愛さ爆発のフォルムに見惚れちゃったんですね?」
「なっ、違うって!」

 ポジティヴシンキングはまさにそれ。天使さんしてる。再現率は四〇〇パーセントくらい。

「……フゥ、かなり変わったな。昔はもっと縮こまるタイプだったろ」
「ええ!主にこの方のおかげです!」
「……なるほどな」

 何を理解したのだろう。

「色々ご迷惑おかけしました。私のことはもう忘れてるものかと思っていたのに……ひゃうっ!」

 天使さんが改めて、って感じで話をしてる、ところをルートが抱きかかえる。身長差には目を瞑ろう。ほとんど同じ背丈だけど、それとなく気になってしまう。フゥさん、顔赤らめてる。恋沙汰は見ていると少しモヤモヤする。まさか、此の期に及んで天使さんを抱きかかえるルートが羨ましいと……!

 ……いや、ないない。それはない。

「こっちこそすまない。何もできなくてな……」

「寂しかったろ?長い間、ずっと一匹で苦労したんだろ」
「……うん……うんっ。……ぐずっ……ぅう……っ……」

 訳ありっぽい。僕がやや空気……うん、空気の方が良さそうだ。

「辛かったよぉ……苦しかったよぉ……」

 泣きじゃくって、涙を流して、ルートの胸に体を預けていた。ルートは、自分の手の爪で傷付けてしまわないように、優しく頭を撫でる。
 ……何があったのか説明お願い……。


〜〜


「お前が連れてかれた時、俺もこっそり跡をつけてたんだが……まさか、気付いてたのか」
「いいえ、でも、ダメ創造神様からあなたの話は聞いてたので……サンさんに呼び止めてもらったのはそれです」
「ああ、あいつ繋がりか……」

 苦笑い。この世界の権化の頂点のイメージがさらにさらに壊れていく。

「あのダメ創造神様のお話だと生きているそうですが、エルドさんは本当に生きているのですか?」
「まぁな。星の洞窟探索の話は振られたが、全員断ったから諦めたらしい」
「よかった……」

 胸に手を添え、ホッと吐息をつく。奇跡という確率は、案外にも起こりやすい確率なのかもしれない。特に、こういう世界だと。僕を助けるために恋人救われるとは、ドラマチックも過剰だって気もする。森林地帯から元の遺跡の順路へ戻り、その帰路をてくてくと歩いていた。道草は食ってないのだけれど、ギルドの大テントが見え始めるまでは相当な時間をかけた。

「あそこか」
「はい!皆さん、お察しするところ親切ですので、私のこともあなたのこともすんなり飲み込んでくださるかと」

 うん、ルートもこの性格ならメグの逆鱗には触れまい。天使さんに至ってはメス(仮)だし。

「いや、悪いが俺はもう少しこの島をブラつく。お前を探してはいたが、もとより、俺自身を鍛えるためでもあったんでな」

 かっけえ。僕はこんな台詞は絶対言えないと思う。天使さんの天使化に際して、ルートもルートの中で何かの変革を求めているのだろう。英雄みたいだ。

「そうですか……では、一晩だけでもいかがですか?」
「……なら、お言葉に甘えよう」

 一考の後の返答。いつの間にか入口の手前。僕等は、テントの布をめくった。

「あ、おかえりなさいませ、サンさ……は、はわわわっ!」

 入口のカウンターのノンは、雑多な書類で顔を隠した。人見知りは当に治ってるものだと思っていたけど、そもそもそう簡単に治るものでもなかったと気付いた。

■筆者メッセージ
雑です。遅れてます。反省です……

風邪気味に加え、ちょっと日曜は用事が入ってて……ゴールデンウィークはいつの間にか終わってました
フィーゴン ( 2017/05/08(月) 07:34 )