疾風戦記















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五章-真実は嘘が語る-
七十話 焼け付く志(こころ)
===前回のあらすじ===
 カロトが目指すパーフェクトゲームに向け、僕らは眼前の敵に立ち向かう。



 あ、危ない……。ライの掛け声がなければほとんど直撃だった。炎タイプの多いこのダンジョン、高火力の技はもちろん高火力で通される。効果の薄い僕やライでも、連続で耐えきるのは難しい。赤みを帯びた壁に『大文字』が焼き付けられる。あんなの受けたらたまったもんじゃない。

『何より、地震とかが使えないのが痛いですよねー』
(全くそれだよ……)

 フィレンがいるのは出口側。僕は右側の敵担当。位置関係的にも近い。それに仮にも室内。周りのこと考えると、まだ地震は嫌煙される。
 接近あり。ブーバー。腹に一発、『ドラゴンクロー』から畳み掛けてノックダウン。

(あーあ、どうにか、範囲を小さくとかできたらなぁ……)
『あれ、言ってませんでしたっけ?』

 ……はい?

『手で地震の拡散力は変えられますよー?』

 ……初耳だよ!!

(何それ!!聞いてないよ!)
『だって地震は使えないで自己解決しちゃってるサンさんが面白……いや〜言い忘れてましたか〜)

 こいつ……顔が目の前にあったら殴りたい……。

『ああっと、サンさん。後ろですよー』
(了解)

 早速試そう。手は少し小さめ、閉じ気味で。地面に力を送り込む。ガガガッという音から少しずつ地盤が揺れ動き出した。揺れは、遅いペースで拡散されていく。しかし、ヒビができ、転がっている石がブルブル震え、揺れが伝わったポケモンは立つのも難しい。火力は上等。というか、最高火力。自分の力を最大限に解放できている……きがする。

 もっと早く教えろよ、これ。もっと使える場面あっただろ。左から接近するチャオブーに、『ドラゴンクロー』で起こした『地震』をお見舞いする。

『戦術のレパートリーが増えましたね〜』
(今まで削られてたんだよ!)

 こいつの悪どさっぷりにはため息すらでる。あれ、サポート役って自分で言ってなかったっけ。


〜〜


 『サイコキネシス』を解除。左へ体躯を動かして『暴風』を回避します。体を切り裂く突風が掠ります。完全に回避することは不可能でしたが、ダメージ自体も抑えられています。『サイコキネシス』から解除されたカロトは四つの足で着地します。味方の『暴風』をモロに受けている様子で、踏ん張るのも厳しい状態のようです。

「何をしている、セレア!早くカロトを始末しろ!」
「で、ですが……」

 なんでしようか、何か_______



「……!」


 そうです、暴風で木の葉が舞っています。もっと厳密に言えば、風によって細かく切り刻まれています。空気中に、ピラピラ……よりも、パラパラと舞い上がっています。
 粉塵爆発という現象があるのを、武器開発班から聞いた覚えがあります。粉末状の物が、空気中を漂っている状態では、固まっている状態よりも炎の回りが早く、連鎖的に燃え上がるのです。
その勢いは、まさに爆発と呼ぶに相応しいものだそうです。この場合、粉末状のものは木の葉。部屋の大半を覆い尽くす形で舞い上がっています。

(……まずい……!)

 いくら私でも、焼かれるのと爆破とでは話が違います。倒れかねません。何としてでも逃げなければなりません。出口までは少し近いです。まだ間に合うでしょう。

「……うっ!」

 体は前進しません。『サイコキネシス』と、先の【暴風』の巻き添えで、立っていられるのもあり得ない、なのに、まだ彼は私にしがみついています。

「離しなさい!」
「……僕は、昔から役立たずだったんだ」

 体をよじりますが、どうにも離れる気はないようです。足を地面にどうにかくっつけて、踏ん張っています。

「何やっても中途半端で、だから、こうやって、どうにか、何かの形で頑張れるって、すごく嬉しくて……」


 『サイコキネシス』も効きません。全く私から剥がれようとしないのです。焦っても状況は変わらないのです。まだ、木の葉は空気を舞い散っています。

「だから、役に立てるなら、どんな形でもいいんだ」

 ゲーヴェの様子を見ました。息を吸っています。準備完了、といったところなのでしょう。もう逃げられない……。

「僕がどうなってでも……」






 火炎放射は、内壁を抉る勢いの爆発を起こした。空気中の木の葉が焼け、酸素は急激に減少する。
発生した爆風が、全てを吹き飛ばしていく。

閃光が眩しすぎた。

■筆者メッセージ
即時書き、推敲ゼロで相当短いです。来週はきっとさらに短くなります、春休みにはいっぱい書く……きっと
フィーゴン ( 2017/02/12(日) 23:13 )