疾風戦記















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五章-真実は嘘が語る-
六十四話 猛暑の中で
===前回のあらすじ===
 僕等は、トレジャーアイランドにある伝説上の石の一つ、『熱の石』の様子を見に『根源の洞窟』へと足を運んだ。参ってしまうような暑さに、フィレンもメグも苛立っている。ここは、まだ平気な方の僕が、上手くサポートしなければ。


 『地震』の一掃は不可能。でも、『ドラゴンクロー』は狭い洞窟内では命中率が高く、『岩雪崩』も調整を利かせば有効な打点になる。背中の翼は、こうも狭いと役に立たなさそうだが、低空飛行による急接近、強襲の流れは顕在。とりあえず、敵なし。だけど、向こうもそれが見えているのか、僕への攻めの集中が強い。結局、『地震』で一掃したい。でも、それが不可能な以上、他の戦い方を見出すしかない。ここは、技を組み合わせて能率よく戦うべきか。
 『岩雪崩』、同時に『ドラゴンクロー』を発動する。紫色のオーラが、降り注ぐ岩の一部と腕を結びつけた。成程、岩タイプの『ドラゴンクロー』、といったところ。しかし、安易にこの技を使ってはみたことに後悔。岩の重量で腕が思うように動かない。僕の体重より重いとさえ思える岩の爪は、振り上げると共に腕ごと持っていかれる。

『何してるんですか!早く早く!』
(分かってるって……そーれっ!」

 偏向的にかかる大きな負担に耐え、真正面、マグカルゴに向けて腕を振り下ろす。鈍い攻撃だったが、相手も鈍かったため助かった。脳天に命中。鈍い音と共に、どうやら戦闘不能。けど、今の衝撃でこっちの脆い岩の爪も潰れた。連発はリスクを負いそうだ。手を振り、痛みを紛らわす。『ドラゴンクロー』と『岩雪崩』を単一で使う他なさそう。でも、この数には……。


〜〜


 いきなりの戦闘でした。なるべく焦らずを意識はしていますが、難しいものがあります。私は、戦うのは苦手というか……慣れていませんので、接近して来たポケモンは『サイコキネシス』で受け流しています。遠隔的な攻撃は回避、誰かが致命的ダメージを受けたようでしたら、『癒しの波動』で回復。誰かの補助として戦っていますが、果たして役に立っているのか、実感がないのが痛いところです。感謝されていますし、重要な役割であることは間違いありません。私もそれは充分理解しています。
 しかし、やはり決定的な繋がりを持たない点、どうしても役に立っているのか不安で仕方ありません。ので、果敢に……というよりは、臆病ながらも前に進み出て、1匹でも多く倒したい、の一心で攻撃をしてはみますが、当たるはずもなく。おかげでもっと焦ってしまうのです。

「ええっと……こ、こっち!」

 みんなさっさと動き回ってて、『竜の波動』も外れてばかりです。いっぱいいるのに、私の技の照準には、誰も収まってくれません。

「……ひゃあっ!」

 ゆ、油断……。後ろから近づくバンバドロには気付きませんでした。『ヘビーボンバー』は地面に大きなクレーターを作ります。受ければ、ひとたまりもないでしょう。しっかりしなくちゃ。私だって出来ることをしなくてはなりません。でも、何だか不安というか、大丈夫なのか心配というか……。弱音を吐くのは良くないことですが、こんな性格なので、感じずにはいられません。その不安が伝わってしまっているのか、ますます向こうは好戦的に。『炎のパンチ』、『原始の力』、こっちは……。


 上の方から聞こえた、ガラガラッという岩石音で、私は後ろのポケモンに気付かされました。あぁ、だから、しっかりしなくちゃ、って、思ってたのに……。バクーダの『岩雪崩』はすぐにでも当たりそうなそんな位置に見えました。





 ……あれ?無傷です。思わず閉じた目をゆっくり、おずおずと開くと……。

「はぁ……はぁ……」
「……ゲーヴェさん……!」

 肩で息をしているようでした。飛行タイプであるゲーヴェさんは、岩タイプの岩雪崩は、私よりも多大なダメージが積まれます。翼が、岩の衝撃でうまく機能していないようです。私を庇ってこんな……。

「ごめんなさい……私のために……本当に……」
「いいからよ!!早く!」

 謝る私に、ゲーヴェさんは怒鳴りました。でも、怒っている、という風はではありません。

「は……早く……と、いうのは……」
「『癒しの波動』!!早く頼む!」

 そうだ!そうです!私は両手で波動の力を集約します。青色の波動を徐々に弱め、ポケモンが癒しを感じる程度に合わせると、波動は桃色の優しい色になりました。それを、ゲーヴェさんに向けて放ちます。黒い翼の傷もみるみる癒えていきます。完全に回復したようではありません。しかし、意思を固めたように息を吐くと、翼を広げ、羽ばたきました。
 片翼を振り上げます。狭い洞窟内で、上昇気流が発生し、目の前のポケモンを飲み込んで一掃します。『暴風』。飛行タイプトップクラスの技は、眼前に敵を残しません。

「ほらな?続いて『癒しの波動』、頼むぜー?なんせ俺は探偵だからな!助手は必要ってわけだ!」

 わっはっは!と笑います。ドヤ顔付きです。頼もしいったらありません。さらに、私の役割も、しっかりさせてくださいました。気持ちが楽になりました。こういう、あんまり考えていないような方に影響されやすいのは、私のそういうところがあるからなのでしょう。強い決断をして、私を導いてくださる方はきっと素晴らしい方ばかりです。

「ゲーヴェさん、そういえば、さっき、少しキャラクターというか、何だか別のポケモンのようでしたが……」
「ん?それはな、何たって俺が探偵だからだな!」

 わっはっは!とまた笑い飛ばしました。そうですよね、やっぱり私の考えすぎだったみたいです。彼がかいている汗が冷や汗に見えたのも、多分考えすぎです。

■筆者メッセージ
あけましておめでとうございます。元日には仕上げていたのですが、二本立てで送ろうとして色々あるうちに投稿が遅れ、結局一話だけの投稿になりました。すみません。
今年の抱負は、週2投稿です。実現できるかは別として
フィーゴン ( 2017/01/04(水) 01:46 )