疾風戦記

















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四章 -夢幻は儚く-
五十話 月の唄とペンダント
===前回のあらすじ===
 ギルドの前を偶然にも通りすがっていたヒトカゲのラウスは、ライとボーバンに発見され、そのままバトルを持ち込まれる。ランペアも加わり、ラウスとライがタッグを組むことになったのだが、均衡する戦況の中、いまいち作戦が思いつかない。その時、ライとラウスのとった行動は……。


 精神一到。
 一息炎を吐く。
 集中は充分。

 眼前は暗がり。仄かな色を頼りに。
_______________草が騒めく、そのときに。


 再開の合図は『流星群』。誘導には火力が勿体無いが、闇夜の閃光はランペアのみならずボーバンにも『火炎放射』以上の影響が出る。同時にラウス。火炎放射で地面を焼き払う。草が黒く燃え盛る。火柱を置き、閃光が目を塞げば……。

 ライが『サイコキネシス』でラウスの跳躍を補助。それから『瞑想』に移る。
 閃光で時間は稼げている。すぐにでも完了した。手を一振り。『サイコキネシス』で土柱を突き上げる。視力を回復したランペアは、前後左右に、多方向に回避。ライの周りで柱が並ぶ。死角も増える。
 土柱の後ろから柱を破壊しつつ、ライを狙撃。確認して『サイコキネシス』で上方へ流す。連続。死角からの攻めに全て対応していく。対応を迫れば……見失わせられる。瓦解した柱の土煙が消えたとき、ランペアは後ろに回り込んでいた。


〜〜

 上をとったラウスは、手を前にかざして『大文字』の構え。隙は取れた。反応遅延。重力も含めて加速がかかり、直撃。火力は高いが立て直しにかかる。『燕返し』。斬撃は『守る』で受け切られ、交代される。火炎放射で炎を再設置。消えかけた火柱に盛りを戻す。

「……『地震』!」

 ボーバンが前足で地を叩く。亀裂。火は一瞬で全て消え失せ、さらにラウスへと差し掛かる。受けきれない。『守る』は不可能。後方の、ライの作った土柱を踏み台に大きく跳躍。回避に出る。だが、空中は彼のテリトリー。逆鱗が眼前に迫った。









 眼光が死角を捉えた。

 ペンダントがキラリと光った。







 ゼロ距離は、遠隔攻撃最大のアドバンテージ。


 裏打ち『流星群』。
 反撃『カウンター』。


 見事に決まり、ランペアとボーバンは倒れた。戦闘不能。



〜〜


 ギリギリの体力ののラウスに、オボンの実を渡した。「助かる」と言って受け取った。

「……にしても、よくあいつの『逆鱗』を耐え切ったな。俺でも厳しいぞ」
「守りたいものがあるんだ。そのためなら、意地でも押し負けたりはしないと、心に決めている」

 オボンの実をかじる。月光はこれからも降り注ぐ。

「そっちこそ、あの土柱……『地震』は読んでいたのか」
「ボーバンの技は把握していたからね。何処かのタイミングで隠し玉として出してくるとは思っていたよ」

 星空を見上げれば、過去の自分を振り返る。

「さぁ、休憩はこのくらいにしよう。この二匹を中に運ぶとしよう」

 ライはギルドの方を見て、ラウスに向き直った。

「手伝ってくれるかい」
「……もちろんさ」

 夏の夜は、まだ終わらない。

■筆者メッセージ
行間を利用して長いように見せました。1300字ちょうどしか有りません
ここ最近、やけに文が伸びなくて困っています。
と、そんなことはいいとして、「ポケモンアスールアトライア」の登場キャラクター、ラウス君とのコラボでした。コラボをしていただいたアラン様、ありがとうございました。これでコラボ編は終了となります。次から新章です。次に投稿するのが新章かは知りませんが、バトル続きだったのもあって、日常編を書くのが待ち遠しい限りです。
余談でした。すみません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
フィーゴン ( 2016/08/21(日) 14:33 )