疾風戦記















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四章 -夢幻は儚く-
三十九話 鋼鉄の流星
===前回のあらすじ===
戻ってみれば、ノンとソアがクレセントの幹部に連れ去られてしまった。ボーバンの怪しい行動も気になりはするけど、まずは二匹を助けに行かないと………………。



 カロトから各自に詳細な指示を受けた後、俺たちはギルドの基地を出て、上空に舞い上がった。乗る組み合わせと攻める側は、俺がボーバンに乗って前方から、カロトとノンがサンに乗って後方からだ。前方から行く俺たちは、とにかく敵に遭遇したら何が何でも足止めはする。これによって後方からの攻撃を容易くする。もちろん、立場が逆転して俺たちが本陣に切り込む可能性も否定できないが、相手が戦力を後方に固めるとは考えにくい。囮役というのも気が進まなかったが、これがあいつの「最善」。やるならばこれがいいと思って言ったものだ。試す価値はある。
 森の手前でサンたちと別れ、俺達は真っ直ぐ飛ぶ。残暑の季節にありがたい、清涼とした空気が体全身を貫き通す。ボーバンの体につかまっていないと吹っ飛ばされそうな風圧は、かいた汗を吹き飛ばしてくれる。

「………フィレン………だよな」
「あぁ……………。どうしたんだ?」

 ボーバンは急に口を開いた。まだギルドに来て日が浅いからか、名前もあやふやらしい。

「………ノンに相当行為があるみたいだな」
「まぁな。メグっていう障壁がなけりゃあ今頃、告白も成功してたろうにな」
「………障壁………か」

 ボーバンは突然寂しげな声で呟いた。

「障壁は時に、社会事情であったりもするんだがな………」
「はぁ?それってどういう………」

 俺がボーバンに問いかけようとした時、鋼鉄の竜が目の前に姿を現した。どうやら一体目らしい。やれやれ、それでは相手をしよう。ボーバンとの連携が重要視されるため、頼むぞっという意味を込めて背中を二回、軽く叩いた。が……………。

「………ボーバン?おい、どうした?」

 ボーバンはそれに反応しなかった。


〜〜


 見間違いじゃないかと疑った。『あいつ』はやはりそこにいた。外見については、前に話に聞いた通りだ。冷徹さと、そして殺気を持った目。『あの時』見た『あいつ』とはまるで別物だ。どうする…………交渉なんかが成功する訳ではないのは知っている。かと言って倒せる自信はゼロ。あの様子では俺の攻撃は歯が立たない。でも、これはチャンスでもあるのだ。これを逃せば次はいつになるかもわからない。だとしたらどうする………。何も思い浮かばない。どうすればもっとも都合よくことが運ぶんだ………。何か…………。

「おい、ボーバン!聞いてんのか!おい!」
「あ、あぁ………すまん…………」

 そうだ。まずはフィレンにこのことを話しておくべきだろう。

「実は………前にいるあいつはだな……………………」
「前じゃねぇ!」



「上だ!」



 俺は上空を見上げた。流星が俺に向かって降り注いだ。


〜〜


 どうでもいいことなのだが、このは僕が転生して降り立った森だ。懐かしいような、そうでないような感覚だ。フライトは順調だが、カロトからも言われたようにこの順調さはフィレンとボーバンが敵を引きつけてくれているからだ。油断はできない。もしかしたら、フィレン達は既に倒されているかもしれない。
 とはいえ、実際のところは僕がやられたら終わりという訳でもない。メグならこの高さから落ちても平気だろうという推測から、僕がやられたらメグが単独で地上から本陣に突入する。要は、この方法でうまく行けばいいだろうという、半ば諦めがちな作戦だ。だが、成功した時のリターンは、制空権とメグの送り込み。賭けるにはもってこいだ。
 時々出てくる鳥ポケモンをメグに退治してもらいながら進むと、森の中でも開けた場所が見えてくる。中央付近にはノンとソアらしき影。ロープでぐるぐる巻きにされている。隣に立っているのは、刃の体を持ち、その出で立ちは騎士を連想させるポケモン、キリキザン。おそらくは首謀者を名乗ったアインツだろう。その三匹を囲む形でポケモンが並び、その外れには………………………あれはまさか…………………!

「な、何よ、あれ」
「さぁ……僕も初めて見るよ」

 やはり、この世界にはまだ"武器"という概念が浸透していないようだ。でも、僕は分かる。中央の円筒状の物体が本体。左右には車輪が備え付けられ、小回りは効かないが移動はできる。円筒の中に火薬と大きめの弾丸を仕込み、火薬の爆風を利用して弾丸を遠方まで飛ばし、建造物や敵を破壊、あるいは殺傷する兵器。
 何のことが言いたいかっていえば、そう…………。

『大砲…………………』
(……………だね……………)

 三十門はある。砲弾はどうやって運んだのか、大砲に隣接する形で各二十発分ずつは見受けられる。すると、アインツがこちらに気づいてか、手を振り上げ、振り下ろす動作を行う。
 その瞬間、最も右の砲門が火を吹いた。とっさに左に回避。すると、連続してまた砲弾が飛び込んできた。次々に来る砲弾を体をよじって回避していく。カロトとメグは、大砲の性能について認知したらしく、僕の背中にしっかりつかまり、鉛色の雨の中に振り落とされないように必死だ。

『次左からです!』
(オーケー………)

 時間をうまくずらすことで隙を与えず攻撃してくるため、回避が精一杯で進めそうにない。

『あ!そっちじゃ……………………』
「………しまった!」

 避けた方向に砲弾が飛んできた。体を大きくひねり、態勢を大きく崩して回避を試みようとする。それがいけなかった。

「きゃぁっ!」
「はっ、メグ!」

 メグが切り離され、砲弾に直撃した。そのままなすすべなしというふうに自由落下していく。
 空を切り、落下するメグの下に回り込んでなんとかキャッチ。

「大丈夫、メグ?」
「えぇ……大丈………痛っ!」

 メグが足を押さえる。さっきので左右の前足が出血したようだ。これでは歩けそうにない。つまり…………。

「サン!逃げて!メグが自力で動けない以上、サンがやられたら終わりだ!」
「分かった!」

 カロトの指示で僕は砲弾に気を遣いながら背を向け、後退し始めた。



        ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンン!!!!



 その時、突風が吹いた。一匹のポケモンが姿を現す。

「ったく…………こんな時に敵さんだなんて………あいつら何やってんだか……………」

 全身鋼鉄。だけど、その面影はどう見ても**だった。

「サン!とにかく今は逃げて!フィレンたちが大丈夫だとしても、明らかにこっちが不利になる!なんとか戻って作戦を立て直そう!」
「分かった………分かってるんだ………けど………………!」

 間合いは完全に把握された。自由に動けそうにない。後ろから来る砲弾にも気を配らないとだから余計に前の敵に集中できない。**は、絶えずこちらを睨みつけ、僕が避けた砲弾を簡単に躱しながらもジリジリと近づいてくる。


 突然、**は消えた。………いや、正確には、目で追えなかっただけだ。あたりを見回すが、気配すら全く感じない。そう………………………………………………………。








『サンさん!危ないですよ!』







…………………………………………………背後を取られていることにも気づかないくらいに。

■筆者メッセージ
どうも。
それでは!テスト期間中ではありますがコラボ募集です!
現在、フライングに近い形でお二人程キャラシートまで頂いていますが、まだまだ募集します。あ、でも、お一人あたり一匹としますので、そこはご了承ください。そして、次の投稿、もしくは次の次のどちらかで締め切らせていただきます。拙い筆者ですが、誰か構ってあげてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました!

追記:5/22 天使さんの会話を追加しました。
フィーゴン ( 2016/05/22(日) 21:36 )