疾風戦記

















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間章 -3-
三十五.七話 炎の意志
 厨房の右上にあるメモをちらりと見る。

(サラダ、ステーキ、アイス……)
 メモの内容を記憶しては、冷蔵庫を見に行く。野菜はあるが、肉類が少ない。今度頼んでおくべきだろう。レタスを頭に乗せ、厨房に戻る。水の入ったボウルの中に入れて、小さな椅子の上に乗って一枚一枚、一口サイズにちぎっていく。

「注文!ここ貼っとくよ!」

 サンがメモを切って貼り付けていく。今は昼。もう少し余裕があれば、そう思うばかりだ。

「メグちゃん、アイスクリームは私が作っておくわ。無理しないでね。」
「はい、どうも…ありがとう…です。」

 グレンから励ましの言葉を受け、少々固くなってしまった。
 それはいいとして、問題はこの現状だ。やはり厨房を五匹で回すのは不可能だろうか。いや、できるはずだ。

「メグー!会いたいってポケモンが…」
「はぁ?ったく、誰よ…忙しいってのに…」

 水道で手を洗い、厨房を出る。用があるなら早めに済ませたい。

「はいはい、なんの用で……」

 私が相手の顔を見たとき、呆然としてしまった。

「よっ!元気にしてたか?」

 懐かしい顔だ。ただでさえ嫌気が差すし、なによりもこんな有様を、一番見られたくなかったのに……。

「……何やってんのよ、兄さん」


〜〜


 お客さんの数が減ったあたりで、グレンやサンに後を任せて、兄を私の部屋に通した。彼はラーディア、ブースターだ。私がとにかく嫌いな奴だ。ソファに座っている彼にジュースを差し出し、向かい側に座る。喉が渇いていたらしく、すぐに飲み始めた。

「……店は?」
「ああ、それがな……」

 グラスを置いて、こちらを見た。

「フリットがお前を探してどっかに行ってな。一匹じゃどうしようもないから畳んだんだ。」

 フリットとは、私の義兄のブラッキーだ。相当な方向音痴だったはずだが。

「…で、あんたはこれからどうするの?」

 わざわざこんなとこに来たのだ。所持金だってゼロに等しいはずだ。

「そう!それ!俺、ここで働くよ!」
「……」

 だろうと思った。まぁ、正直なところ、こいつに来てもらって助かったと言えば助かった。

「天才コックの腕、なめんなよ!」

 得意げにこちらを見てきたので、軽く無視してやった。

■筆者メッセージ
どうも。携帯デビューしました。
慣れないうちは更新も遅めです。誤字脱字があったらすみません。
あと、まだ四章始まりません。次はメグの過去編です。なんとか次も投稿するぞ……!
ここまで読んでいただきありがとうござました!

追記:5/13 文頭のスペースを挿入しました。
フィーゴン ( 2016/04/24(日) 23:46 )