疾風戦記















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二章 -バカに薬は効かない-
十四話 男卑女尊
私まで乗せてもらうわけにもいかないので、私とノンは別れて帰った。あそこからならソアと私の家の方が近かったので、そっちに運ぶことにした。もちろん、あのバカは今も野ざらし状態である。いや、もうそろそろ起きていてもおかしくないか。
家に戻ると鍵が開いていた。空を使っている分、ノンが先に着くのは当然だろう。私は中に入り、鍵を閉めた。

「あ、おかえりなさいです。」
「ただいま。」

ナエトルはまだ白目を剥いていた。こいつもオスだってのにだらしない……まったく……。初対面だったし、主犯があれってこともあったので、放っておくことができなかったのが辛い。

「あ、そういえば大丈夫だった?」
「はい?」
「コミュ障でしょ?知らないポケモン大丈夫だったの?」
「はい!眠っていたので。ではタオル替えてきます。」
「はぁい。」

よかった。私の不安のうち片方は拭えた。問題はこっちだ。こういうとき、あのバカの方なら一発殴ればすぐ終わるのだが、あれの頭突きで十分も気絶しているようでは悪化するだけだ。目を覚ませばいいのだが……。

「ん……うん……。」

少しずつ目が開いていく。これで殺ポケは免れた。

「えっと……。」
「目ぇ覚めた?ここは私ん家よ。」

厳密には『私が住ませてもらっている家』だが。もうこの際言い張ってもいいだろう。

「……なぜ僕はここに…?」
「うちのバカがあんたにぶつかりにいったの。先に謝っとくわ。」
「はぁ……。」
「じゃ、歩けるんなら帰って。」
「え!?」

ノンが十分に看護はしてくれた。起きてくれたのならもうここに居させる理由はないだろう。オスだし。

「は……はい…。とりあえず看護ありがとうございました……。それでは……。」
「またぶつかったらごめんね〜。」

適当に会話を済ます。勧誘?あんな弱そうなやつ要らないでしょ。戦力にならなければ足を引っ張るだけだ。
ったく……。だからオスは嫌いなのだ。偉そうにしてるくせにビビっているようなやつばっかで。あいつらみたいに………。

「あのー。」
「あ"?何?」

色々と考えていたせいで声を荒らげてしまった。それに反応してナエトルが「ひぃっ!」と情けない声を上げる。玄関に向かったはずなのに、どうしたのだろう。

「え、えーと……。ドアの前に誰かいるみたいなんだけど……。」
「あ"あ?ったく……。」

ナエトルの声は震えっぱなしだった。ドアの前にポケモンがいるだけでどうしてそこまで動揺するのだろう。まったく情けない。玄関に向かい、ドアスコープから外の様子を見た。視界に黄色いものが映った瞬間、見るのをやめた。

「えっと……。」
「……やっぱ帰んないで。」
「え!?」
「このドア開けないで。」
「でも……、それじゃ外のポケモンが……。」
「ただの新聞の売り込みだから。放っておいて大丈夫よ。」

何としてでもあいつを中に入れたくない。また話がややこしくなる。

「え、でも『開けてー。』って言ってるよ!?」
「あいつはあまのじゃくだから。開けてほしくないのよ。」
「でも、ドアをガンガン叩いてるよ!?」
「ドアが開かないように固定してくれているのよ。」
「いや……じゃあ僕はどうすれば……。」
「そっかー。じゃあ……。」

私は考え込む。すぐに追い出すことは諦めよう。あいつがどっか行くまで暇していればいいのだ。その暇潰しをこいつにさせよう。

「じゃあいままでの半生を全部語りなさい。」
「え!?」
「いいわよね。」
「い、いや、でも……。」

バリバリィ!
ナエトルが音に反応してビクッと体を動かす。私の足が木の床にめり込んでいるのを見て冷や汗を垂らしている。

「い・い・わ・ね?」
「は…はぃっ!」
「じゃ、リビングに戻るわよ。廊下でつったってるのもあれだからね。」
「は…はぃっ!」

リビングに戻った。話が終了した瞬間に、「つまんない半生ね。」と吐く予定なので、あまり期待していない。ノンが「えぇ!?ねねねねてたんじゃないででですすすか!?」と驚いている。

「まずは、自己紹介ね。私はメグ。で、あの子がノン。コミュ障だから気を付けてあげてね。で、あんたは?」
「え…えーと…。」
「早く!」
「す、すみません!カロトです!」

■筆者メッセージ
スミマセン。テストとかテストとかテストとかで遅れてしまいました。ので、今後は念のため日曜投稿にします。毎週水曜はムリでした(泣)。
小説を書いていると、知らない言葉をたくさん知れますね。あのドアの覗き窓、『ドアスコープ』って言うんですね。普通に覗き窓でもよかった気が……。あと、声を『荒げる(あら-げる)』ではなく『荒らげる(あら-らげる)』なんですね。“ら”がひとつ多いとは……。
っと、作者のつぶやきに付き合わせてしまってすみませんでした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
フィーゴン ( 2015/11/29(日) 20:52 )