第一部 世界征服を目指す物語
第十一章 貴方のことを愛してます Part3

Part3



突然始まるポケモン娘と世界征服を目指す物語

第一部最終章 貴方のことを愛してます



美陽
 「……ここは?」

山田美陽はゲノセクトエースに拘束され、何処とも知れない場所に運ばれた。
今はPKMの力を制御する檻の中に入れられた。
どうやらこの扱い、美陽は信用されていないらしい。
美陽は人間相当の力まで制限されては暴れても仕方がないと、ゆっくりと腰を下ろした。
檻の向こうでそれを見るゲノセクトエース、いや山田紫穂は悲しそうな表情をした。

紫穂
 「ごめんなさいお姉様、今はまだお姉様に辛い思いをさせてしまうわ」

美陽
 「……全くですね、当夜様の為とはいえ信用されていないようで」

紫穂は何も言わなかった。
ただ、美陽程完璧に自分を制御出来る訳じゃないらしい。
僅かに手を強く握ったのを美陽は見逃さなかった。


 「ゲノセクトエース君、良くやった」

美陽は声の方を見た。
真っ白な階段を降りてきたのは白衣を来た50代の男だった。
厳つい顔をしているが、眼鏡を掛け、どことなく雰囲気はドクタータキオンに似ている。
紫穂はその男に向き直ると、背筋を正して敬礼をする。

紫穂
 「は! 光栄であります! 司令長官殿!」

美陽
 (司令長官?)

司令長官と呼ばれた男は美陽の前までやってきた。
身長は180はある、紫穂や美陽よりも大きい。
しかしその顔を見た時、美陽は訳のわからない感情が浮かんできた。

美陽
 (なに? この人……私は、知っている?)

司令長官
 「やっと……やっと会えたな美陽」

美陽
 「あ、貴方、は……」

美陽はその感情を強く否定したかった。
しかしそれは不可能に近い、美陽は知り得ないが名の呪縛がそうさせる。
司令長官は眼鏡を取ると、涙ぐんだ。
ただ、優しげな顔で美陽を見ていた。
美陽はそれを嬉しいと感じていた。

司令長官
 「私の名前は山田裕次郎、大きくなったな美陽……」

美陽
 「あ、貴方が……裕次郎……?」

それは美陽の父親、山田裕次郎だった。
美陽は訳がわからなかった。
ただ、心がその男を受け入れていた。
美陽は裕次郎に対する好意を否定したかった、それでも出来ないので身体を震えさせるしかない。

紫穂
 「お姉様、分かるわよね? 貴方はどちらにいるべき存在か」

紫穂の言葉はそれだけで、美陽を大きく揺さぶった。
まるで今まで美陽は空虚だったのかと錯覚する程に。
それだけ、今美陽は満たされた気分なのだ。

裕次郎
 「記憶を弄くられたのだろう? 私が分からないのは無理もない……だが安心したまえ、その記憶の鍵は私が解ける」

美陽
 「ち、近寄るな……わ、私はデスリーの怪人、き、貴様らには屈しない……!」

紫穂
 「クス」

紫穂は顎に手を当て笑った。
美陽には意味がわからなかった、それは言葉とは裏腹に美陽の表情に答えがあった。
美陽は、笑っていたのだ。
あの鉄面皮が初めて剥がされたのだ。



***



ドタドタドタ!

デスリー秘密基地、僕はモアナさんの言葉を聞いて初めて覚悟を決めた。
僕はそれを知らせるため、タキオンさんのいるラボへと急いだ。

当夜
 「タキオンさん! 僕は決めたよ!」

僕はラボへと踏み込むと、真っ先にそう言った。
するとそこにはタキオンさんを含め三人いた。

シャーク将軍
 「デスリー総統」

当夜
 「あ、シャーク将軍……」

タキオン
 「決めたとは?」

ジバボーグ
 「デスリー総統……」

僕は三人の下に向かった。
三人の顔は様々だった。
シャーク将軍とジバボーグさんは不安げで、タキオンさんは僕を見極めるようだった。

当夜
 「僕、正直ペレさんに会いたい、ペレさんの気持ちとか、その家族の気持ちとか色々悩んだけど違うんだ……僕はペレさんの気持ちを聞きたい、その上で奪う……これが僕の覚悟、です」

タキオン
 「なるほど、ね」

ジバボーグ
 「奪う、ですか」

シャーク将軍
 「あの当夜様が……」

僕は言いたい事は言った。
後はタキオンさん次第だ。
僕はもう一度彼女にお願いをする。

当夜
 「ドクタータキオン、僕にペレさんを奪い取れる力を!」

パチパチパチ!

タキオンさんは無言で拍手をした。
僕は呆然とする、しかしタキオンさんは。

タキオン
 「私はね? ペレ君の事を信頼しているんだ、そんなペレ君が君を裏切るか? もしそんな事があれば全力でぶん殴るつもりだった。だってなぁ? 彼女は君にこんなにも愛されている、それを無下にするような畜生なら私自身絶交だと思っているんだ!」

タキオンさんの本音、それを聞いたシャーク将軍は腕を組んで微笑を浮かべ、ジバボーグさんも微笑んでいた。

タキオン
 「受け取れ! デスリー総統!」

タキオンさんはテーブルに置いてあったそれを僕に放り投げた。
僕はそれを受け取る、それは一見すると普通のスマートウォッチだ。
しかし僕はそれを右腕に巻いた。
そして固定するバックルにあるスイッチを押す。
すると、僕は一瞬でデスリー総統へと変身した。

ジバボーグ
 「私も付き合いは浅いですけど、ペレさんは大事です、それに彼女は私にとってライバルでもありますから!」

シャーク将軍
 「ペレは小さな頃から私は知っている、あの子の事なら心配あるまい」

皆様々だ、それでも皆ペレさんを大切に思っているんだ。
僕は嬉しかった、僕だけじゃない、ペレさんはやっぱりデスリーにとって必要なんだ。

当夜
 「それにしても問題はペレさんの居場所か」

シャーク
 「それについてはある程度は把握しています」

当夜
 「え? もう分かっているんですか?」

ジバボーグ
 「美陽さんには通信機がありますから」

タキオン
 「最も通信機は簡単に遮断されたがね、まぁそんな事されてもこの天才を欺ける訳もないが」

タキオンさんはそう言うと「フフン」と鼻を鳴らした。
ペレさんの居場所は分かっている……それならば後は取り返すだけだ!



***



都心の一角、超巨大なビルがいくつも乱立する摩天楼。
僕はペレ奪還作戦を実行するため、この街へとやってきた。
僕たちが目指すのは先端科学ミュージアムという施設だ。
僕は変身アイテムの持つ機能の一つ、ミラージュスキンという光学迷彩技術で別人に変身してビルに入った。
今僕は周りからは全く違う人物に見えている筈、これで一先ず監視カメラは突破した。

睦美
 「やあ、コノカ君」

当夜
 「あ」

突然声を掛けられた、今の僕の偽名コノカを知っているのはドクタータキオンだ。
最も今は牧村睦美としてだが。
今この先端科学ミュージアムには、それぞれ別々の方法で各員がペレさん奪還のために潜入している。
睦美さんは私服、珍しく眼鏡をしているが身嗜みはキッチリ整えられている。
僕は睦美さんを見ると小さく頷いた。
作戦は今の所問題なし、睦美さんも笑顔を浮かべる。

係員
 「あの、もしかして牧村さんですか?」

睦美
 「ああ、私だが?」

突然後ろから白衣の男性が睦美さんに声を掛けた。
白衣の男性は睦美さんだと確認すると、笑顔を浮かべる。

係員
 「牧村さんの論文PKMの能力定義とその数値化、読みました! 今日制御装置の小型化への貢献は間違いなく牧村さんの功績かと! お会いできて光栄です!」

睦美
 「ああ、あれは白君との共同論文だよ、私はシステムエンジニアとして参加した程度で、大まかな理論は白君の功績さ」

……なんか知らないけど、睦美さんの知り合い、なのかな?
随分僕の分からない言葉を並び立てていて、僕にはちんぷんかんぷんだ。
そういえば、睦美さん表の顔は大学の研究員なんだっけ。
いくつか有名な賞を受賞した論文があるって聞いていたけど、その話?

係員
 「あの、良かったら……!」

睦美
 「ああ、済まない連れを待っているんだ、ここで失礼するよ?」

睦美さんはそう言うと話を切る。
そして直ぐに僕の方に向かった。

睦美
 「やれやれ、有名すぎるのも問題だな」

当夜
 「やっぱり天才なんですね」

睦美
 「私なんてまだまだだよ。天才はいる、悔しいが」

うしお
 「○ウカイテイオーか貴様は」

うしおさんだ、鮫島うしおさんもやはり変装済みだ。
今は青桐イズミという偽名で変装している。
普段のマッシブさとは違い、クールビューティーな大人の女性に見えた。
僕同様あくまで光学的にそう見えているだけで、実際はゴリゴリのマッスル女性うしおさんなんだけど。

睦美
 「……役者は揃ったな」

ジバボーグ
 『こちらジバボーグ、所定位置に着きました』

ろとぼん
 『ポーン、ろとぼんもオーケーです』

耳の裏側に装備された小さなインカムから骨振動を通じてジバボーグさんとろとぼんの声が聞こえた。
ジバボーグさんとろとぼんだけは外にいる。
僕たちは全員所定位置につくと、僕は一度深呼吸をした。

当夜
 「皆、ミッションスタート」

僕は小さな声でそう言うと、睦美さん、うしおさんはそれぞれ動き出す。
先ず睦美さんは係員の方に向かった。

睦美
 「失礼、ここの所長と話をしたいのだが、どこに向かえばいい?」

係員
 「えと、失礼ですがアポイントメントの方は?」

睦美さんは無言で一枚の用紙を差し出した。
係員はそれを見て驚く。

係員
 「え!? あ、はい! 大丈夫です、お通り下さい!」

睦美さんは自分の立場を利用して、一般客の入れない所謂スタッフルームへと入っていった。
僕達はその後を追う。
睦美さんの仕事は秘匿された内部の解析だ。
睦美さんの周囲30メートルは、ろとぼんが中継して3Dマッピングに変換していく。

睦美さんはここである予測を立てていた。
必ず解析できないブラックボックスのエリアはある。
そこを当たればペレさんはいる。

当夜
 「カードキー? この程度なら」

スタッフルーム前の扉はカードキーで入出を制限していた。
だけど、僕はスマートウォッチ型変身ツールの機能、ハッキングを用い、僕がカードキー端末に指で触れると、自動で認識端末が誤認識する。
扉はあっさりと解錠された。

うしお
 「コノカ様、ここからはあのゲノセクトエースの秘密基地、ゆめゆめ油断なきよう」

当夜
 「わかってる、勿論万が一は信用しているよ、イズミさん?」

うしお
 「……出来ればその御身を危険に晒したくはないのですが」

うしおさんは頭を掻いた。
僕は直ぐに睦美さんが取得した内部データを参照する。
すると早速、空白エリアが見当たった。

当夜
 「ジバボーグさん、監視カメラは?」

ジバボーグ
 『現在ハッキング中……30分程度なら偽装できるかと』

ジバボーグさんは遠隔で監視モニターをジャックしていた。
今や僕たちの姿は監視カメラには映らない。
だけど、有視界だと別だ。
そこで僕たちはミラージュスキンの出力を変更し、光学的に透明になる。

当夜
 「ペレさん……待ってて」

僕はペレさんの事を考えながらろとぼんが解析できなかった秘匿エリアに向かった。
秘匿エリアにはカードキーの他に網膜認証のようなシステムがあった。

当夜
 「ちょっと厄介かもね」

うしお
 「ジバボーグ、認証突破いけるか?」

ジバボーグ
 『やってみます!』

ジバボーグさんは認識装置のハッキングを開始する。
カードキーは兎も角、網膜認証のようなシステムはいくら偽装できるとはいえ、危険がある。
僕たちは認証システムの前で待つこと数分、ジバボーグさんは認証システムを突破したらしく、扉の上についていた細長いランプは赤から青に変わった。
僕たちはそっと、静かに扉を開くと、その中は研究所だった。

当夜
 「これって?」

うしお
 「恐らくゲノセクトエース用支援機器の開発室か」

僕たちは窓の無い開発室を隈なく見る。
中には以前ジバボーグさんを倒した支援機器ブレイズカセットや、同型を思わせる青い飛行ユニットや白い飛行ユニット等も確認できた。

当夜
 「すごい、ここで開発されていたんだ」

うしお
 「全く頭の痛い事だ、いっそここで破壊してしまうか?」

僕はメラメラ闘志を燃やすうしおさんを必死に宥めた。
確かに後顧の憂いは断つべきだけど、今は優先順位が違う。
いくら透明になっているとはいえ、ここは正義の秘密基地、どんな侵入者対策をしているか分からないんだから。

当夜
 「ペレさんいないね?」

うしお
 「となると……別のエリアか」

僕は時間を確認する。
既に潜入して10分。
今頃睦美さんは先端科学ミュージアムの『表』の所長と会っている頃だろう。
残された時間は多くない、僕たちは急いで開発室を出た。

当夜
 「上……小さなブラックボックスのエリアがありますね」

うしお
 「ふむ、それ以外にもいくらかありますな」

当夜
 「時間がない、二手に別れよう、見つけたら直ぐ連絡を」

うしお
 「畏まりました、どうかお気をつけて!」

うしおさんはまず先行した。
僕はその後ろを追いかける。
ビルの上階、エレベーターは使えないから非常階段を使いつつ、秘匿エリアを目指す。

ガチャリ。

僕はある小さな部屋に入った。
扉はロックもなく、不思議な事に僕は簡単に潜入できた。
でも更に不思議なのは、直ぐに階段があった事だ。
下り階段を降りると、僕は真っ白な空間にやってきた。
目の前に牢屋がある。
でも、そこには誰もいない。


 「そこに誰かいるのか!?」

当夜
 「っ!?」

僕は咄嗟に振り返った。
するとそこには変身前のゲノセクトエース、つまり山田紫穂がいた。
山田さんは怪訝な顔で階段を降りてくる。
だ、大丈夫……気づかれていない。

紫穂
 「変ね……足音が聞こえた気がしたんだけど」

僕はじっと息を殺した。
光学迷彩で僕は見えていない。
更に電波赤外線でも僕は認識出来ない筈だ。
あくまで僕はタキオンさんが開発してくれたこの力を信じるだけ。

紫穂
 「……早くお姉様のところへ行こう、そろそろ矯正は終わっているはず」

当夜
 (矯正?)

山田さんは牢屋内を一瞥すると、直ぐに階段を登って行った。
僕は気づかれないように山田さんを尾行する。
今僕は無性に嫌な予感がした。
山田さんについていけば、ペレさん居場所は分かる。
でも矯正って……一体なにを?

山田さんは扉から出ると、更に上を目指した。
そろそろ最上階の筈だけど、僕はある程度距離を取りながらも気づかれないよう気を付けながら、尾行しているとある部屋の前で止まった。

当夜
 「研究室?」

扉の前に掛けられていたプレートにはそう書いてある。
僕は無性に不安になりながら、ゆっくりと扉に隙間を作り中を覗いた。
すると、僕はその人を見つけ、心拍数を高鳴らせた。

紫穂
 「お姉様、ご気分は如何ですか?」

山田さんの目の前、随分大きく威圧感のある装置の中で一人の女性が座っている。
女性にはバイザーのような物が取り付けられており、そのバイザーには無数のケーブルが接続されていた。
まるで茨の檻だ、異形の怪物に囚われたその女性は。

美陽
 「ええ、悪くないわ紫穂」

当夜
 (美陽さん!?)

間違いない美陽さんだ。
山田さんはそれを見て笑顔を浮かべた。
美陽さんはバイザーを外すと、ゆっくりと立ち上がる。

紫穂
 「ああ、お姉様! やっとデスリーの呪縛から解かれたのですね!?」

美陽
 「……そうですね、お父さんの意思、それを理解できました」

僕は震えた、淡々とした鉄面皮、隙のない動き……どれをとっても僕のよく知る美陽さんだ。
でも……僕の中で何かが警告する、今の美陽さんはおかしいと。
そんな、嬉しさと困惑が綯い交ぜになった僕はある致命的ミスを犯した。

ガラ。

僕は扉を僅かだが勢いよく開いてしまう。
その音にこの二人が気づかない訳がない。

紫穂
 「誰!?」

美陽
 「紫穂後ろに!」

美陽さんは庇う、まるで僕の時と同じように。
僕は観念して、彼女たちの前で姿を表した。

当夜
 「美陽さん……会いたかった」

それを見て二人は驚いた。
特に山田さんは。

紫穂
 「貴方当夜君!? どうしてここに!?」

美陽
 「と、当夜、さ、ま……あぐ!?」

突然美陽さんが頭を抱える。

紫穂
 「お姉様!? まだ矯正は完全では!?」

当夜
 「美陽さん!? 教えて! 僕は美陽さんにとってただの少年ですか!?」

美陽さんは頭を抱えながら震えた。
矯正、その言葉の意味、僕は不完全な理解をしながら、それでも美陽さんを信じたかった。

美陽
 「あ、ぐぐう!? だ、黙れ……そ、その声は嫌に、響、く!?」

紫穂
 「くっ!?」

突然山田さんが飛び出してきた。
僕は反応できず、山田さんのタックルに押し倒される。

紫穂
 「邪魔をしないで!? 貴方はお姉様のノイズなの! お姉様は今デスリーの洗脳解除している途中なのよ!」

当夜
 「くう……!? じゃ、じゃあ何故美陽さんは苦しんでいるんですか!? 貴方達は美陽さんに何をしたー!?」

僕は啖呵を切って吠えた。
美陽さんは僕をまだ当夜様って言ってくれた。
でも、何故それに苦しまないといけない?
あれは、あれじゃまるで!?

当夜
 「洗脳をしているんじゃないのか!? 貴方達に都合の良いよう!?」

山田さんは怯んだ。
やっぱり、僕の悪い予感は当たっていた。
美陽さんはデスリーによって洗脳教育を受けている。
そこに感情操作や記憶操作が含まれていた。
僕は先代がそうした理由は分からない。
それが必要な事だったと説明されても、それが正しかったのか判断できなかった。
でも、それを家族と言える者が、同じことをして都合の良いよう美陽さんを弄るのか!?

紫穂
 「貴方に何が分かるの!? 家族を引き離されて! 私はお姉様にゆっくりでもいいから、家族を取り戻して欲しいのよ! 普通に表で生きてきた少年が口を挟まないで!?」

当夜
 「普通……僕が普通に見えますか?」

僕はその時どんな顔をしただろう?
ただ、逆ギレした紫穂さんは、僕の顔を見て一歩後ろへ引いた。

当夜
 「僕はずっと呪われていた、この女の子のような姿も、虚弱な身体も……挙句父親はデスリー総統、そんな両親もあっけなく僕の前から消えた……分かるんですよ、家族を失った気持ちなんて始めっから……!」

そうだ、だからこそ僕は逡巡したんだ。
僕はもう天地が逆さまになろうとも、死んで死体すら見つからなかった家族とは二度と会えない。
でも美陽さんは家族が生きている、それならそっとするべきじゃないかって。
でも、これはなんだ?
僕は美陽さんが記憶を取り戻して、家族のもとにいたいって言ってくれるなら、喜んでこの作戦を失敗で終わらせる気だった。
でも、今美陽さんはまたも都合の良いよう振り回されている。
僕は段々それが怒りへと変わっていった。

当夜
 「お前たちにわかるのか!? こっちは二度と家族の声も聞けない! お前たちはその痛みを知っているのか!? そんな美陽さんを道具のように振り回しやがって!!」

紫穂
 「だ、黙れ黙れ黙れ!? お父様! そう、お父様がそうするの! お父様が全て正しいんだから!?」

僕はスマートウォッチのバックルに触れた。
その姿をデスリー総統に変身させる。
一方山田紫穂もゲノセクトエースへと変身した。

当夜
 「お父さんお父さんって! 自分では何も考えられないのかー!?」

僕はゲノセクトエースに突進した。
ゲノセクトエースは僕のタックルを受けると、後ろに吹き飛ぶ。

ゲノセクトエース
 「く!? 自分で考えて失敗して失敗して失敗して! 分かってる! でも不安なのよ!? 自分の正義が本当に正しいのか分からないなんて!?」

ゲノセクトエースは頭を振った。
恐らく美陽さんの扱いを分かっている。
きっとそのお父さんを盾に自己正当化しているんだ。

なんて……なんて弱いヒーローなんだろう。

当夜
 「貴方は……そんなに弱い女性だったんですね」

ゲノセクトエース
 「そうよ!? 正義のヒーローゲノセクトエースなんて、所詮偶像! これが本当の私よ!?」

正義のヒーローゲノセクトエースが何故仮面を被るのか。
それはあまりにヒーローとしては弱く情けない内面を隠す為だった。
力があれば、正義のヒーローになれるのか、それは逆説的な問いだった。
僕は思う……ヒーローって、力の有る無いじゃないんだ。
自分を犠牲にしてでも、正しい事が出来る人なんだ。


 『ゲノセクトエース! 何をしている!? 侵入者を倒せ!』

ゲノセクトエース
 「お、お父様!? で、でも私分からない!? 本当に彼は倒すべき悪なんですか!?」

突然部屋に男性の声が木霊した。
恐らくスピーカーが設置されているのだろう。
ゲノセクトエースは立ち上がるも、その意思に反抗していた。
そして僕は知る。

当夜
 「お前が山田裕次郎!?」

父さんと親交もあった、元デスリーの天才科学者。
何故父さんを裏切ったのか、そして何故こんな真似をするのか?

裕次郎
 『ゲノセクトエース、あと少しで幸せな家庭は手に入るのだぞ!? それをみすみす逃すのか!?』

ゲノセクトエース
 「い、いやだ……! 嫌だ! お姉様!? 私はお姉様がいるのっ!!」

ゲノセクトエースは半狂乱だった。
だが、鍛え抜かれた技で僕に襲いかかってくる。

ゲノセクトエース
 「うわあああ!?」

ゲノセクトエースは両腕に何らかのエネルギーを放った。
それはシザークロスだ、僕は咄嗟にガードする、しかしゲノセクトエースの力は強大だ。
僕は激痛を覚えながら吹き飛ばされた!

当夜
 「うわああああ!?」

意識が飛びそうだ、呼吸が荒れる。
僕は腕を切断されたような錯覚を覚えた。
ゲノセクトエースの技はそれだけ凶悪だ。
僕は両腕の感触を確かめると、ちゃんと動く。
スーツには……傷一つない。
大丈夫、戦える……!

ゲノセクトエース
 「はぁ、はぁ! うあああああ!?」

今度は炎を纏って突っ込んできた。
僕は咄嗟に横に飛んで、回避する。
恐らくはニトロチャージ、今までゲノセクトエースの戦闘記録では見たことのない技のオンパレードだ。

ゲノセクトエース
 「あああ!」

しかし、半端な回避だった。
ゲノセクトエースは直様技を切り替え、回転するように蹴りを放って来る。
僕は回避が間に合わず、その蹴りを受けてしまう。

当夜
 「ぐは!?」

僕は身体をくの字に曲げると吹き飛んだ。
やっぱりゲノセクトエースは強い、いつもの冷静な立ち回りじゃないけど、その獣のような動きでも、僕にはついていけそうにない。
僕は転がりながら、研究室の中まで吹き飛ばされる。
謎の異形の装置に激突し、僕は前のめりに倒れながらも、意識だけは保ち続ける。

当夜
 「く!」

僕は顔を上げた。
すると、蹲る美陽さんがいた。

美陽
 「あ、あ……!」

美陽さんは子供のように震えている。
洗脳されて今は僕が誰かも分かっていないのだろう。
きっと今の美陽さんは僕の味方じゃない、でも僕はヘルメットのバイザーを開くと美陽さんに笑いかける。

当夜
 「安心して美陽さん、僕はもう弱くない……今度は僕が、美陽さんを護るから!」

僕はそう言って立ち上がる。
正直言えば痩せ我慢だった、身体は全身が痛くて辛い、それでも僕は歯を食いしばる。
ゲノセクトエースは強い、僕なんかじゃ一撃も返せやしない。
それでもここで逃げたら、僕は絶対立ち直れない。
一生後悔し、絶望するだろう。

ゲノセクトエース
 「いい加減に倒れろー!?」

ゲノセクトエースが突進する。
僕は精神を鎮め、冷静に見極めた。
格闘技の素人の僕に出来る事は限られている。
それでも僕はその一瞬に火事場のクソ力を発揮させる!

ゲノセクトエース
 「ああああ!」

ゲノセクトエースは拳を握った。
そのスペックは厚さ30センチのコンクリートでさえ、一撃で粉砕する威力!
僕はその一瞬に全神経を集中させる。
ただ、僕はゲノセクトエースの拳に触れた。

パァン!

ゲノセクトエースは驚愕した。
突然ゲノセクトエースの拳が振り上がった。
そう、僕は拳が触れる一瞬で、スーツの出力を最大にし、弾いたのだ!

当夜
 「はぁ、はぁ……このチャンス!」

僕は絶好のチャンスを手にした!
ゲノセクトエースが見せた数少ない隙、針の穴を通すような作業だった。

僕は拳を握る。
できる事なら僕はこの力を暴力に使いたくはない。
それでも、ゲノセクトエースを倒さなければ美陽さんは取り返せない!

当夜
 「うわああああああ!?」

僕は拳を振り被った。
がら空きの胴に向かって、やけくその正拳を放つ。
正拳はゲノセクトエースの胸に突き刺さった。

ゲノセクトエース
 「が、は……!?」

ゲノセクトエースは前のめりに倒れた。
それは僕に覆いかぶさるように、僕はそんなゲノセクトエースを優しく抱き止めた。

ゲノセクトエース
 「ど、どうしてそんなに頑張れるの……ただの人間の貴方が?」

人がPKMに、まして改造人間と戦うなんてギャンブルでしかない。
ゲノセクトエースは不思議だろう、ただ戦闘スーツを着ただけの戦いの素人が、どうしてこうも頑張れるのか。

当夜
 「ゲノセクトエースさんも分かる筈です、貴方が本当に自分を信じられるなら」

それは当たり前の原動力だった。
僕は自分を間違っているなんて全く思っていない。
正義のヒーローゲノセクトエースも同じ筈だ、正義の為に自分を犠牲にする彼女は、恐らく迷ってなどいなかった。
凛々しくて格好良いとさえ思える程だった。

ゲノセクトエース
 「そう、か……私自分を信じられず……」

当夜
 「ごめんなさいゲノセクトエースさん」

ゲノセクトエース
 「何故、謝る、の?」

当夜
 「そうしなければならないと思ったから」

僕はそう言うと、ゲノセクトエースさんは微笑んだ気がした。
バイザーの奥の顔はやっぱり分からないけど、その声を聞いているとそう思うのだ。

ゲノセクトエース
 「やっぱり貴方は悪なんかじゃない……」

当夜
 「いいえ、悪です。だって大切な家族を奪うんですから」

僕はゲノセクトエースさんをそっと床に寝かせた。
ゲノセクトエースさんは動かない、恐らく気絶した。
そして僕は美陽さんに振り返る。
僕は変身を解くと、にこやかに笑った。

当夜
 「美陽さん、行こう? 皆待ってるよ?」

美陽
 「あ、う……ち、違う、私はお父さんの……うぅ!? 頭が痛い!?」

当夜
 「美陽さん!?」

美陽さんは今も洗脳の後遺症に苦しんでいる。
僕にはどうしようもないのか、僕は美陽さんを抱きしめた。



***



美陽
 「はう!? と、当夜様」

その時私は当夜様の笑顔が脳裏を過ぎった。
でも分からない、私は山田美陽、かつてデスリーの為に生み出され、デスリーに奉仕してきた。
だけど、それは記憶をいじられていたから。
私は記憶を取り戻した、紫穂の事やお父さんの事。
お父さんと紫穂と一緒にデスリーを脱走したあの夜、私は怖くなってしまった。
涙が止まらず私の炎は感情に揺さぶられて、夜の闇を照らしてしまう。
それは危険すぎた、やがて私の手はお父さんの手を離してしまった。
組織からの脱走を許さない追っては目の前で、お父さんは紫穂を連れて走り去った。
でも……それで良かった。
私は足手まといになる、そう、私はお父さんが無事であればそれで良かった。

デスリーに捕まり、再教育された私は紫穂やお父さんの事を忘れ怪人ペレとして育った。
そこで色んな人に物事を教えて貰い、やがて私は運命の人に出会ってしまった。
それが当夜様だ、どれだけ洗脳を繰り返そう、都合の良いよう脳を弄くられようと、当夜様への愛は変わらない。

そう、その愛が私を今苦しめている。

美陽
 「お父さん私!? 私!?」

当夜
 「美陽さん、気をしっかり持って! 僕がついてるから!」

違う、私は当夜様を否定したくない。
でも否定しなければお父さんの愛を否定してしまう。
何故、どうしてこんなにも苦しいの!?
どうして、お父さんは私をこんな風にしたのか!?

美陽
 「ああっ! あああああ!?」

私は仰け反った、背中から炎が噴き出す。

当夜
 「くうう!?」

当夜様が怯んだ。
このままでは当夜様が焼け死んでしまう。
私は自分を止められなかった。
そう、私は感情の制御が苦手、故に持て余した力を度々暴走させてしまった。
今回もそうだ、このままでは私が当夜様に危害を加えてしまう!

裕次郎
 「はぁ、はぁ! 美陽!?」

お父さんだ、直上の司令室から階段を使って降りてきたのか、息を切らしていた。
その顔は必死だった、私を求めて必死なんだ。

当夜
 「あ、貴方が山田裕次郎ですか!?」

裕次郎
 「そ、そうだ……しかし君は? 美陽は何故現実を拒む!?」

当夜
 「美陽さん、どうか落ち着いて!」

美陽
 「と、当夜様こそ、離れて……!? 制御が、効かない!?」

私はどんどん熱量を上げた。
もはや制御不能だった。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!?
このままじゃ当夜様もお父さんも危ない!?

私は訳がわからなかった。
私は何故この二人を大切だと思っているのに、どちらか選ばないといけないと思っているのか。
これが洗脳の賜物なのか、だとすればなんて残酷なのだろう。

タキオン
 『なんてザマだい? ペレ君?』

美陽
 (え? 誰、だっけ……?)

突然聞き覚えのある声が聞こえた。
でも思い出せない、なぜか断片的な顔が頭に浮かぶだけ。
だけど声は言う。

タキオン
 『私は君を信じているつもりだぞ? 少なくとも当夜君を裏切るのか?』

美陽
 (ち、違う……!? 当夜様は護る!)

タキオン
 『そう、それでいい……それとだ、君のご飯待っているよ?』

ご飯?
ああ、そうだ……なんてことだ、当夜様のお弁当、用意してない。

美陽
 (え? あ、れ? これって?)

私は急に今まで見えなかった何かが見えだした。
それは私の出した料理を美味しそうに食べてくれる人たちだった。

美陽
 「そう、だ……私の帰る場所は……!」

私はその瞬間、炎を消した。
自分の力を自然と制御していた。

当夜
 「美陽さん……?」

美陽
 「当夜様……」

私は泣いていた。
感情は制御できている、あくまで私としては。
心に響いた声は満足そうに遠ざかった。
そうだ、思い出した……やつはタキオンだ、ドクタータキオン。
脳波をブロックしなければ、簡単に思念を覗いてくる厄介な女史だ。

裕次郎
 「美陽、私だ……分かるか?」

私はお父様を見た。
大丈夫だ、記憶より大分老けているが、忘れる筈がない。
私は何かを取り戻していた。
それは消されていた記憶であり、私が一番嬉しくて楽しかった時代の記憶。

美陽
 「はい、わかります、お父さん」

裕次郎
 「おお、美陽……良かった無事で」

美陽
 「お父さん、私はお父さんに言っておかなければならない事があります」

裕次郎
 「な、何がだい?」

私はゆっくりと立ち上がった。
当夜様の身体を労り、当夜様を抱きながらお父さんに言う。

美陽
 「私の居場所はここじゃありません、さぁ当夜様、帰りましょう」

当夜
 「え? 美陽さん?」

当夜様はキョトンとされた。
まるで意味が分かっていないみたいだ。

美陽
 「私の居場所は当夜様の下だけです、あの賑やかで優しい家族ごっこを続けましょう」

私はそう言うと、当夜様をお姫様抱っこのように抱いた。

裕次郎
 「な!? 待て!? 何故だ!? 私や紫穂はずっと待ち望んでいたのに!?」

私は当夜様を抱っこしながら、お父さんの脇を通り過ぎた。
そして私は去り際に言う。

美陽
 「私の当夜様の忠誠心は造られたものではありませんでした、愛情は造れません」

私はそれだけいうと、当夜様を抱えたまま、その場から去った。



***



当夜
 「ちょ、ちょっと!? なんかこれ恥ずかしいんですけど!?」

僕はお姫様抱っこされたまま、美陽さんに運ばれていた。
しかし美陽さんは鉄面皮を崩さずに言う。

美陽
 「申し訳ございません、でもわがまま言わせてください、私はもう二度と貴方を離したくない……!」

僕は驚いた。
美陽さんは感情の起伏が今まで凄く小さくて、そしてわがままを言わない人だった。
でも今は違う、鉄面皮は相変わらずだけど僕は彼女の感情が、ヒシヒシと伝わった。

当夜
 「え、えと……それじゃあさ? 手、繋ごう?」

僕は照れ隠しをしながら、そう言った。
すると美陽さんは。

美陽
 「はい、喜んで♪」



***



先端科学ミュージアムを出る五人の男女の姿があった。
手を繋ぐ当夜と美陽、外ではろとぼんと風子が待っていた。
睦美とうしおは美陽の姿を見て、満足げに笑っていた。

睦美
 「全く世話をかける」

美陽
 「申し訳ございません」

うしお
 「ふん! お前の事は信用していたからな!」

美陽
 「当然です、私は完璧ですから、多分」

美陽はすっかりいつもの調子だ。
だが皆少しだけ美陽には違和感を覚えていた。

ろとぼん
 「ポーン、なんだか美陽さんの様子が変では?」

風子
 「変というより、自然になったという感じでしょうか?」

そう、美陽は感情制御を外されて、今は自力で感情制御している状態だ。
洗脳状態は解かれ、記憶障害もなく、あるがままを受け入れた。
それは辛い記憶も……でもそれ以上に嬉しい記憶だった。
今更子供のような反応など出来ないのか、美陽の表情は無表情だったが、少しだけ笑っているように思えた。

当夜
 「ふふ、これで作戦成功、だね?」

美陽
 「あばよ、とっつぁ〜ん、ですか?」

うしお
 「ま、奪ったのは心どこから人一人だがな!」

ペレ奪還作戦はこうして成功を収めた。
美陽の心は確かにここにある。
美陽はそう思うと左手を胸に当てた。
当夜への想い、愛情は忠誠心以上だった。
裕次郎は美陽が忠誠心を強制的に植え付けられた物だと思っていたが、それは違っていた。
美陽はデスリーへの忠誠心ではない、当夜への忠誠心を自然と育んでいたのだ。



***



裕次郎
 「美陽……どうして」

裕次郎はオフィスでビルの外に出ていく美陽を呆然と見届けていた。
彼女を止める事ができなかった、彼女は自主的に出て行ったのだ。
それは予想外のサプライズであり、娘の嫁入りを見送る親の気分であった。

紫穂
 「お父様、お姉様は自分の意思でここを出て行ったんです」

紫穂はあの後裕次郎に介抱されると、目を覚ました。
紫穂の顔はスッキリしていた。
紫穂にとって姉は大切な存在だ。
裕次郎が愛した美陽、しかし美陽が愛したのは当夜だった。
紫穂にとって、仕方がないとはいえ美陽を洗脳するような真似は心が苦しかった。
でも、美陽は全てを解き放った上で当夜を選んだのだ。
そんな姉が紫穂は羨ましくて仕方がなかった。

紫穂
 「私も、当夜君のような素敵な人に会えたらコロっといっちゃうのかな?」

紫穂の何気ない一言に、顔を青くしたのは裕次郎だった。

裕次郎
 「な、なんだと!? 紫穂、お前好きな男が出来たのか!?」

その言葉に紫穂は顔を真っ赤にした。

紫穂
 「な、そ、そんな人いませんっ!」

紫穂はそう言うと裕次郎からそっぽを向いた。
裕次郎は親バカを見せながら、この娘も大切に想っているのだ。



***



デスリー秘密基地深層部。
それは当夜も踏み入れた事のない場所、デスリーを運営する6人の幹部陣だけがこの場所に入ることが許される。

幹部A
 「当夜様の状況、よろしいとみて?」

幹部B
 「イレギュラーを挟んだが、概ねスケジュールに変更はない」

ゴポ……。

深層部は赤く明滅する程度の薄暗い空間だ。
しかし星の海のような輝きの中に何かが浮いていた。
幹部陣はその何かに注目する。


 『緋扇討夜(ひおうぎとうや)……良い調子だ、フェーズ2に移行せよ』

正体不明の液体の中で何かが言った。
しかしデスリー幹部6人は、その言葉に全員平伏する。
それは当夜もシャーク将軍でも知りはしないデスリーの深層。

幹部陣
 「「「仰せのままに、デスリー」」」



突然始まるポケモン娘と世界征服を目指す物語

第一部最終章 貴方の事を愛してます 完

第二部 星海の声編に続く。


KaZuKiNa ( 2022/03/08(火) 18:00 )