第一部 世界征服を目指す物語
第七章 うしお爆誕 Part1

ここはデスリー秘密基地。
山間の中に隠された秘密の通路や、ヘリポートを有する天然の要塞だ。
しかし、中へ入ってみるとその中は相当広い。
高さはゆうにビル12階分、地下深くまで拡張されたこの基地は正に悪のパンデモニウムと言えるだろう。
そんなデスリー秘密基地、タキオン研究所から今回の物語は始まる。



シャーク将軍
 「タキオン、ドクタータキオンは居るか?」

ドクタータキオンの管轄する研究所に現れたのは、2メートル近い巨躯を誇る偉丈夫、怪人部隊総司令のシャーク将軍だった。
シャーク将軍の手には書類が握られており、その強面の顔からは想像も出来ないほど、書類は優しく握られていた。
そもそも、人相極悪、狂暴な口元等、その見た目から恐れられる事の多いシャーク将軍だが、実態はかなり異なる。
表社会での名前は鮫島牛尾(さめじまうしお)、一人暮らしの独身男性であり、毎日家の前の清掃や、ご近所付き合い等、意外な程表の顔は几帳面であるのだ。

シャーク将軍
 「むぅ、誰もいないのか?」

研究所には普段から常駐するジバボーグの姿もない。
タキオンの事だから、基地内を放浪しているとも考えられるが、不用心な物だった。
研究所内は特に機密情報が多い。
ここで開発された怪人や組織のための技術は一般に出回る技術を優に上回る。
組織内の人間でも、一定以上の権限を持つ者以外、立ち入ることは許されない程、ここはセキュリティの大切な場所だった。

シャーク将軍
 「全く、不用心な……。折角予算承認の件で話があったのに」

秘密結社デスリーの次なる目標のため、新たな怪人枠の予算承認をシャーク将軍は取り付けた。
後はタキオンに指令書を渡し仕事をさせるだけなのだが……。

シャーク将軍
 「この時間帯だと総統はまだ学校か」

シャーク将軍は右腕に巻いた腕時計を見た。
アンティークな腕時計には今は15時と表示されている、そろそろ上乃子当夜も下校する頃だろう。

シャーク将軍
 「デスリー総統はまだ学生の身分、やはりまだ作戦に移るには時期尚早なのではないか?」

シャーク将軍は適当な場所に腰を下ろすと、溜息を吐いた。
デスリーの世界征服計画は遅々として進まない。
その原因の一旦になっているのがゲノセクトエースの存在だ。
現状デスリーは、あのゲノセクトエースを倒せる怪人の作成にやっきになっている。
これ以上、ゲノセクトエースのような存在に世界征服を阻まれる訳にはいかないのだ。

圧倒的な力無くして支配はない。
しかし今のデスリーにそのような力はまだない。
今のデスリーはその問題を当夜やシャーク将軍に丸投げしていると言えた。

シャーク将軍
 「いかん、いかんな……。歳を取るとどうして考えがこう、悪い方向に行ってしまうのか?」

武闘派のシャーク将軍も既に35歳、若々しさは久しい。
衰える肉体を必死に維持する毎日は必然的にシャーク将軍の現役期間を予感させた。

シャーク将軍
 「はぁ、しかし暑いな? エアコンが壊れたのか?」

気がつけばシャーク将軍は汗をかいていた。
その日最高気温38度の猛暑日、空調により空気を循環させている秘密基地は、エアコンの故障が致命傷になりえた。

シャーク将軍
 「ち、技術部に後で文句を言わねば」

歳を取ると愚痴も多くなると言うか、シャーク将軍は羽織っている外套を剥がした。
忍耐力は人一倍ある、シャーク将軍は根性で乗り切る気だ。
しかしふと、シャーク将軍は眼の前のテーブルに置かれたペットボトルに目を向ける。

シャーク将軍
 「……タキオンの私物か?」

シャーク将軍はおもむろに、少し怪しい色をしたペットボトルを手にとった。
ラベルが貼られていない、形状は市販の飲料水の物だ。
中の液体はやや白っぽい、市販のスポーツ飲料に良く見る色合いだ。
シャーク将軍はそれを、少なくとも危険な物とは認識していなかった。

シャーク将軍
 「の、喉が乾いて仕方がない……むう、部下の私物に手を付けるのは上司として最低だが……」

今日パワハラが引き起こすトラブルはシャーク将軍にも充分周知している。
秘密結社と言えど、コンプライアンスの遵守は義務付けられているのだ。

シャーク将軍
 「ぬうう」

しかし、シャーク将軍は逡巡する。
奇しくも水タイプであるシャーク将軍の水への渇望は凄まじい。
煩悩との鬩ぎ合い、シャーク将軍はついに、ペットボトルの蓋に手を掛けた。

シャーク将軍
 「ままよ! すまんタキオン博士、後で新品買い直す!」

シャーク将軍は蓋を取り外すと、そのままペットボトルに口をつけた。
だが、シャーク将軍はその味に目を見開く。

シャーク将軍
 「苦い!? な、なんだこれは!?」

それでもシャーク将軍は中身の半分程を飲んでしまった。
おおよそスポーツ飲料の味ではなく、なにか薬品味があるのだ。

薬品……? その時シャーク将軍はまさかと思った。
このラベルの貼られていないペットボトル、まさかドクタータキオンの使用予定の薬品ではないのか!?

シャーク将軍
 「ぐ、あ……な、なんだ!? あ、熱いぞ!?」

シャーク将軍は、全身から汗を発汗させた。
もしかしたらこれは命に関わるのではないか?
そんな死の危険がシャーク将軍の脳裏を過ぎった。
やがて、シャーク将軍は全身に痒みを感じた。
身体は燃えるように熱く、そして全身が痒い。
シャーク将軍は自分の身体を掻き毟った。

身体の異変は10分程続いた。
だが、突然身体の熱は急激に冷める。
エアコンが復旧したのか、汗塗れのシャーク将軍は心地良い風を感じていた。

シャーク将軍
 「はぁ、はぁ……助かった……ん?」

その時、シャーク将軍はヘリウムガスでも注入したかのような、甲高い自分の声に気がついた。



突然始まるポケモン娘と世界征服を目指す物語

第7章 うしお爆誕



キーンコーンカーンコーン。

今日も一日の授業が終わった。
終業のベルが鳴り、放課後が始まる。
部活動をする生徒達は、皆一斉に部活動に向かい、バイトする生徒もまたバイトに急ぐだろう。

当夜
 「ふう」

その一方、帰宅部の僕は気楽といえば気楽だ。
最も裏の顔のデスリー総統としては微妙なんだけど。

光輝
 「よーし! 部活動だー!」

光輝君は今日も元気に走って教室を出ていった。
杏先生の「廊下を走るな新央ー!!」という叫びが教室にまで響いてくるが、雑踏はあっという間に増していく。

当夜
 「光輝君元気だねー」

里奈
 「新央君はサッカー一筋だからね」

帰る準備を進める常葉さんはそう言った。
もう3年生だから、次の全国大会が終わったら、部活動は出来ないだろう。

当夜
 「受験生って感じがまるでしないよね」

里奈
 「そう言う上乃子君はどうなの?」

え? 思わず振り返った。
受験か……正直僕は決めかねていた。
このまま学生気分のままでいていいのか?
デスリー総統として本格的に活動する事を僕は望まれているのだろう。
正直僕自らが何かを成功させたりとか、組織的な事なんて出来ていない。
その焦りが僕を追い詰めているのだろうか。

里奈
 「まだ悩んでいるみたいね、私達に時間はあまり残されてはいないけれど、悔いのない選択をしないとね?」

当夜
 「う、うん」

常葉さんは、既に進路を定めている。
光輝君はプロサッカー選手を目指しているし、常葉さんは製菓学校を卒業して、パティシエとして製菓店の開業を目指している。
皆大なり小なり進路を決めている。
僕はやっぱり中途半端で宙ぶらりんだった。

里奈
 「もうすぐ夏休み、上乃子君は何か予定はある?」

当夜
 「え? ないけど……常葉さんは?」

里奈
 「殆どバイトかな? 多分家族と一緒に旅行には行くと思うけど」

常葉さんのご家庭は毎年夏休みには旅行に行く習慣があるらしい。
常葉さんも家族サービスには躊躇いもないのか、賛成のようだった。
常葉さん、反抗期なんてなさそうだよねぇ。

里奈
 「さて、そろそろいかないと、上乃子君、またマリアンルージュに来てね♪」

夏場は売上が激減するためか、宣伝まで言って常葉さんは出ていった。
甘い物が大好物な僕としては寄るのは吝かじゃないけど。

当夜
 「ペレさんも待っているだろうし、早く校門に行こう」

僕は鞄を手に持つと、いつも通り校門前を目指した。
雑踏を抜け、校門が目に入ると、いつものように鉄面皮の女性がそこに立っていた。
山田美陽さん、この平凡な名前の女性こそ、デスリーの怪人バクフーンのペレなのだ。

当夜
 「美陽さん、お待たせ」

僕は美陽さんの前まで行くとそう言った。
美陽さんは首を振ると。

美陽
 「いえ、待っていません。今来たところですから」

美陽さんは真顔でそう言うと、僕はクスリと笑った。

当夜
 「ろとぼん、本当の所は?」

ろとぼん
 「ポーン、正確には美陽様は学校周辺を常に徘徊しておりました」

透明化を解除して、すぐ近くを滞空するロトボットVer2は正確な美陽さんの行動を教えてくれた。
予想通りだけど、美陽さんが嘘を言うなんて珍しいな。
僕はニコニコ笑顔で問い詰める。

当夜
 「ねぇ、美陽さんはどうしてそんな分かりやすい嘘をついたの?」

勿論これは嘘を責める意味はない。
ただ、美陽さんが可愛らしい嘘を付く理由を知りたいだけだ。

美陽
 「嘘でもそう言うのがマナーだと聞きました」

美陽さんはこれまた、鉄面皮でそんな事を言い出す。
それってデートとかの話だよね?

美陽
 「因みに風子さんの話です」

話の出処は風子さんか、あの人夢見がちだから平気で言いそうだな。
睦美さんなら、間違いなく非効率と断じるだろう。
それどころか平気で遅刻してくる気さえする。

ろとぼん
 「ポーン、ドクターから連絡です」

当夜
 「え? あ……」

ろとぼんはメールなんかが来るとこうやって連絡してくれる。
僕はスマートフォンを取り出すと、たしかに睦美さん、いやドクタータキオンからのメールを着信していた。

当夜
 「え? 至急デスリー本部に来て?」

それは妙な連絡だった。
いつもなら美陽さん経由でくるのに、今日に限って僕に。
本部でなにかあったんだろうか?

当夜
 「美陽さん、すぐドクタータキオンの元に向かうよ!」

美陽
 「任務了解しました、至急お車の手配を」

僕は真剣な顔をすると走り出す。
美陽さんは先行して走り出した。
一体本部で何があったのだろう?
僕は不可解な気分になりながら、秘密結社デスリーの秘密基地に向かうのだった。



***



デスリー戦闘員
 「「「デスリー総統に敬礼!」」」

当夜
 「あれ?」

いつものように秘密の通路から、秘密基地に入った僕は、デスリー総統の姿に変身すると中を見渡した。
しかし、秘密基地は今日も平常運転。
僕に丁寧な敬礼をする戦闘員の皆さんを見ても、特におかしな点は見当たらない。

ジバボーグ
 「あ、デスリー総統、お待ちしておりました!」

出迎えに来てくれたのはドクタータキオンの助手兼戦闘用怪人のジバボーグさんだった。
ジバボーグさんは僕をずっと待っていたのかソワソワしており、彼女だけを見れば、なにかあったんだろうなとは予感する。

ペレ
 「ジバボーグさん、タキオンは?」

ジバボーグ
 「研究所です! ついてきてください!」

ジバボーグさんはやや足早に研究所へと向かう。
僕たちも急いでその後を追うのだった。



***



タキオン
 「やあやあやあ! 待っていたよ、デスリー総統!」

研究所に入ると、一番に出迎えてくれたのはドクタータキオンだった。
僕は挨拶も適当に研究所を見渡すが、研究所におかしな点は見当たらない。

当夜
 「タキオンさん、一体僕を呼んだ理由はなんですか?」

タキオン
 「ふむ、これはなるべく内密にして頂きたいのだが……」

ペレ
 「内密に? 組織の人間に対してさえ、か?」

タキオンさんはコクリと頷いた。
い、一体どんな秘密があるんだろう?
僕はゴクリと喉を鳴らす。


 「そこからは私が話そう……」

突然タキオンさんの後ろから見慣れないポケモン娘が現れた。
そのポケモン娘は身長は170センチ位、鍛えられた身体をしており凄い爆乳で、なぜかサイズの合わない白い外套を纏っていた。
目つきは紅く鋭く、口元はギザギザの牙。
サメハダーのポケモン娘だった。

当夜
 「え? あの……貴方は?」

僕は一瞬、そのサメハダー娘がシャーク将軍に思えた。
でもありえない、シャーク将軍は男性だ。
とすると娘だろうか? 結構そっくりな娘さんだな。

サメハダー娘
 「……信じられんかもしれませんが、私はシャーク将軍です」

サメハダー娘は腕組みをすると、苦々しい顔でそう言った。
僕は数秒固まってしまう、しかしジバボーグさんは首を振ると。

ジバボーグ
 「話は本当です、あの女性はシャーク将軍なんです」

ペレ
 「……タキオン、何をやらかした?」

ペレさんは凄い剣幕でタキオンさんを睨みつけた。
そういえばペレさんにとってシャーク将軍は恩師なんだっけ。
珍しくペレさんが怒っている?

シャーク?
 「ち、違うのだ! あれはむしろ私が悪いというか……!」

それはシャーク将軍の独白だ。
一体シャーク将軍に何があったのか、その女性の口から語られる。



***



シャーク
 「はぁ、はぁ……助かった、……ん?」

シャーク将軍が不用意にもラベルの貼っていないペットボトル飲料を口にした後、将軍は熱に魘され呼吸を乱した。
全てが収まると、汗塗れのシャーク将軍は己の声に違和感を覚えた。

シャーク
 「な、なんだ? 声が高いぞ? これが俺の声……ん!?」

次に違和感に気づいたのは手だ。
シャーク将軍のカサカサに乾燥した手に、潤いが戻っており、それだけでなくなんだか小さく感じた。
違和感はそれだけじゃない、シャーク将軍は己の身に何かが起きたのを確信する。

シャーク
 「な、ななな……なんじゃこりゃー!?」

シャーク将軍はボサボサの服をだらしなくズラし、否、体格差からズレてしまう。
その絶叫も黄色く、シャーク将軍は愕然とした。

シャーク
 「こ、この声……この胸……お、俺は一体……!?」

ドタドタドタ!

シャーク将軍の絶叫を聞いて誰かが走ってきた。
ドクタータキオンだ。
相変わらず身嗜みは最悪で、白衣に皺をつけてだらしなく走るインテリ娘。
違和感を感じる、目線が同じくらいなのだ。
普段198センチから見ていた視界は今や、170そこそこに。

タキオン
 「なんの声だ!? ん? 君は誰だね?」

シャーク
 「ど、ドクタータキオン!? 私だ! シャーク将軍だ!」

シャーク将軍は必死に自分はシャーク将軍だと説明した。
しかしタキオンは鼻で笑う。

タキオン
 「シャーク将軍の娘さん? それとも妹さんかな? 冗談は休み休みにしたまえ、シャーク将軍はそれこそゴリラみたいな男だぞ? 君のように可憐ではない」

シャーク
 「か、可憐!? ふ、ふざけるな! 俺は本当にシャーク将軍! 本名鮫島牛尾! 年齢35歳!」

タキオン
 「……ふむ、シャーク将軍のプロフィールと一致するな」

シャーク将軍は顔を真っ赤にして、必死に説明した。
タキオンはふと、足元に落ちたペットボトルに気がついた。

タキオン
 「ん? このペットボトルは?」

シャーク
 「あ!? そ、それだ! その中身を飲んだら、突然こうなったんだ!?」

シャーク将軍はそう言うと、女になったその身体を曝け出した。
タキオンは初めてその意味を理解した。

タキオン
 「ま、まさか!? 女体化だと!? そ、そんなデータは!?」

シャーク
 「そ、そもそもなんだったんだこのペットボトルは?」

タキオンは頭の回転をブーストさせると、直ぐにシャーク将軍の身に起きた事を分析する。

タキオン
 「それはホルモンを反転させる薬だ、デスリー総統が男らしくなりたいと常日頃ぼやいているから、生理学の目線からデスリー総統を男らしくしようとしたのだ!」

タキオンの計画はこうだ。
純粋に女性ホルモンが多いと考えられる当夜を男らしくするなら、男性ホルモンの注入が妥当だ。
しかし、問題は当夜は特別女性ホルモンが多いという事実は無かったのだ。
ならば、肉体のホルモンバランスを弄る事で男らしくなれるのではないかと研究中、ホルモンバランスを反転させる薬に行き立った。
しかし、臨床実験もまだの新薬を大切な当夜に服用できる訳もなく、モルモットを探しながら研究所に放置していたのだ。
それがすれ違いを生み、シャーク将軍は出来たての新薬を飲んでしまった。

タキオン
 「むむむ? 身長は目算で30センチの低下、女性的な肉付きに、気になったのだが男性器はついたままか?」

シャーク
 「な!? い、いきなり何を!?」

タキオン
 「そこが重要なんだ! なぜこの薬で女体化したのか!? 理論的にありえない! 私はそれを研究しなければならない!」

シャーク将軍は顔を真っ赤にするが、タキオンは熱に浮かれるように饒舌に語りだす。
シャーク将軍は恐る恐る股関を見た。

タキオン
 「で? あるのか? 無いのか?」

シャーク将軍は最初顔を青くした後、その後涙目になった。

シャーク
 「な、ない……無くなった……」

シャーク将軍はか細い声で、震えながらそう言った。
シャーク将軍の立派なそれは姿形もないのだ。
男の尊厳を失った事は、相当にショックであり泣きたくなった。

シャーク
 「お、おい!? ドクタータキオン!? この薬、もう一つないのか!? ホルモンバランスの反転なら、もう一回飲めば戻れるんじゃ!?」

シャーク将軍は速やかに元の姿に戻らなければならなかった。
女性の姿のまま、部下達や幹部陣に姿を見せられるわけが無い。
まして鮫島牛尾は独身であり、ご近所付き合いもあるのだ。
しかし、それを聞いたタキオンは顔を顰めた。

タキオン
 「大変言い難いのだが、その新薬は偶然開発出来たのだ、コンピュータでシュミレートしたものの、同じ薬を服用したとして戻れる保証はない」

シャーク
 「な、なんだと!?」

タキオン
 「まして、シャーク将軍はどれだけの量を服薬したかも分からなければ、元に戻す新薬の開発は難しい」

シャーク将軍は絶望に突き落とされた。
タキオンは度を越えた天才だ。
その天才がシャーク将軍の身に起きたこの現象を、不可解な実験結果と捉えていた。
薬が起こした作用を解析し、その対策を講じるには一朝一夕では不可能なのだ。
タキオンは冗談は言うが、嘘を言う女ではない。
だからこそ、シャーク将軍は絶望した。

タキオン
 「兎に角デスリー総統には連絡した方がいいな」

シャーク
 「ま、待て!? こ、この事は内密に!?」

タキオンはシャーク将軍を見た。
年齢まで若返ったのか、瑞々しい肌のシャーク将軍はもはや、ピチピチのギャルだった。
これから起きる騒動、果たしてシャーク将軍はどうなってしまうのか?



第七章 Part2に続く。


KaZuKiNa ( 2021/12/07(火) 18:00 )