突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語


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突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語
第31話 クリスマス計画



瑞香
 「もうすぐクリスマスかぁ」


 「瑞香はその日どうするの?」

瑞香
 「どうするのってそりゃ……、フライドチキンでも寂しく頬張ってるわよ……」

悠気
 「……」

この時期、やはり学校内での話題と言えばクリスマスだった。
終業式でもあり、この日を特別な日にしたいと思う人間は一人や二人じゃないだろう。
なぜなら頻繁に瑞香や大城がこっちを見ていること……流石に気付いてしまったからな。

琴音
 「ね、ねぇ若葉君? 若葉君ってクリスマスはどうしてるの?」

悠気
 「さぁな、とりあえずケーキを作るのは確定か」

目の前の席に座る大城は予想通り予定を聞いてくるが、こっちだって誰かと過ごす予定なんてない。
いつも通り、家で細やかなクリスマスパーティを開催することだろう。

琴音
 「そうなんだ、ウチも少し晩ご飯を豪華にしたい程度かな〜?」

目線が泳いでいるな。
まぁ大城が誘ってくれるなら、考えんでもないが……性格から言って有り得んだろうな。
俺としたら、静かに過ごしたいんだがな。


 「ねぇねぇ悠気! クリスマスって何を食べるの!?」

一方で今日も食い意地の張った月代さんはもうクリスマスの晩ご飯が待ちきれないようだ。
大凡高校生とは思えない顔で、目をキラキラとさせた。

悠気
 「そんな豪華な食事は出さんぞ、ウチは裕福じゃないからな」


 「でも楽しみ〜、美味しいもの、いっぱい食べられるんでしょう!?」

悠気
 「幸せな奴……」

だが、月代らしくて笑ってしまう。
この馬鹿みたいに無邪気で脳天気な奴が、月代らしい。
しょうがないから、少しくらいは奮発してやるか。

悠気
 「ブッシュドノエルという物を知っているか?」

俺はあるクリスマスに定番なお菓子を言うと、宵は更に目を輝かせた。
そして机を叩くように身を乗り上げると。


 「なにそれ!?」

瑞香
 「アレよね? 木の年輪に見立てたケーキ」


 「ケーキ!? 食べたい!」

琴音
 「宵さん、太るよ?」


 「うぐ!?」

太る、最近この言葉を気にしてるよな。
俺からしたら月代は健康的で良いと思うだが、乙女心はそうではないらしい。
だが、思い悩む結果、結局は食べるからな、コイツは。


 「ガキ共〜! 楽しい先生の授業だぞ〜♪」

キンコンカンコーン。

瑞香
 「先生チャイム前に来るのはやる気出しすぎです!」

突然入ってくる御影先生に生徒達は大慌てで席に着く。
だが、御影先生は教壇を叩くと。


 「どいつもこいつもクリスマスはイチャラブばかり! 私は今年も友達と飲むわよ、コンチキショー!?」

琴音
 「こ、今年もなんだ……」

思わず大城も苦笑するが、ある意味この先生は名物だからな。
美人なのになぜか縁談が上手く行かない先生と言われており、毎年お陰で仕事に打ち込めると自虐を繰り返している。
美人で優秀な先生なのだが、致命的に恋愛運がないんだろうな。


 「あーもう! 今年最後の授業を始めるわよ!?」

やや、やけっぱちながら非常にやる気をだす御影先生の授業は始まる。



***



放課後は自由時間だ。
この時期じゃ部活も行われていないし、先生方も忙しそうだ。
そんな中、女達が集まっていた。

瑞香
 「ねぇ琴音、ちょっといい?」

琴音
 「なに? 瑞香ちゃん?」

瑞香
 「琴音、貴方も悠気狙いでしょ?」

琴音
 「えっ!?」

瑞香
 「だけど、私達じゃ宵には勝てないと思わない? 手を組みましょう!」

クリスマス、それは誰にとっても特別な日だ。
そしてこの女子達にとっても、それは死活問題なのだ。

一方で露知らずな悠気はと言うと……。



***



みなも
 「そうですか、帰ってこれないのですね?」

私は今日もいつものように家事を熟して過ごしていた。
すると育美様から電話が掛かり、私はその応対をしていた。

育美
 『ええ、申し訳ないけど貴方から悠気に伝えてくれる?』

みなも
 「畏まりました、良いお年を」

育美
 『ええ、それじゃ悠気をお願いね!』

そう言って電話は向こうから切られる。
クリスマス、その日育美様は帰ってこれないらしい。
気のせいかも知れないが、最近育美様が殆ど日本にいない気がする。
しかもこれまた気のせいか、意図的にユウさまを避けているようにも思えていた。
流石にあの育美様が理由もなく家を放っておくとは、到底思えないがユウさまはどうなったんでしょうかと思うでしょう?

みなも
 (たしか、育美様は6月の時は月2〜3日程度討希様の下に行っていた気がする……いつからかしら、こんなに長い出張は?)

思い出されるとしたら9月位……いや10月から?
急に家にいない時期が増えた気がする。
それに飲酒量が増えていたようにも思え、あの頃になにかあったんだろうかと不安になる。

みなも
 「やはりユウさまに相談するべきかしら? ユウさまなら理由も分かるかも知れないし……」

そうこうしていると、突然玄関の扉が開かれた。
そう、ユウさまが帰ってきたのだ。

悠気
 「ただいまー」

みなも
 「ユウさま、お帰りなさいませ」

私は玄関に向かうと恭しく頭を下げる。
その後いつものように荷物を受け取ろうとすると、ユウさまは何やら大荷物であった。

みなも
 「買い物されたのですか?」

悠気
 「ああ、まぁパーティグッズだけどね」

みなも
 「パーティグッズ?」

ユウさまはそう言うと2階へと登っていった。

みなも
 「クリスマス用でしょうか?」

私は思わず小首を傾げた。
ユウさまは行事に無頓着な人だ。
それがどうして、本格的なパーティグッズを用意するのだろう?

みなも
 (自分の誕生日でも着飾りませんのに……)

ユウさまは良くも悪くも質素なお方だ。
改善をモットーに日々精進を心がける様は、ストイックでさえある。
どうにも不思議な感覚だった。



***



瑞香
 「いい? 間違いなく悠気は宵を選ぶわ。溺愛していると言っても過言じゃない!」

私達は悠気とクリスマスを過ごしたいと思う同盟たちは、ファミレスに来て作戦会議を行っていた。
集まったのは妹柚香、琴音に高雄先輩だった。

琴音
 「最初の頃は犬猿の仲みたいだったのにね……」

柚香
 「一体どうすれば付け入れられるでしょうか……」

萌衣
 「はっきり言って分が悪いわね……」

はぁ……と溜息が零れる。
それだけ悠気と宵は親しく近い。
私達がその間に入るには過酷で狭いのだ。

瑞香
 「積極的にクリスマスを一緒に過ごしましょうって誘ってみる?」

琴音
 「む、無理だよ……そんな勇気無いし、きっと断られるよ……」

萌衣
 「そうね、どう考えても悠気は選んで一人でしょう?」

柚香
 「1対1だと敵いませんね……」

瑞香
 「む〜、どうしたものか」

私達は当然悠気を狙っている。
この全員だってライバルだと言って過言ではない。
だけど、今は強大な敵を相手に手を組まなければいけないのだ。
私達全員とクリスマス会、それは険しいハードルだった。


 「ふっふっふ、秘策を授けようかしら? 貴方達?」

萌衣
 「え!? 誰!?」

突然こちらの話を聞き耳立てていたのは朱色の耳を生やした七竃星先輩だった。
先輩は隣の席から身を乗り出すと、興奮気味に捲したてる。


 「いいわよ貴方達! 正に恋する乙女! でも純真なだけでは男は堕とせない! 時には肉食系になって男を喰うのよ! そうビッチになりなさい!」

瑞香
 「頬を上気させてまでアンタ何言ってんだーっ!?」

琴音
 「に、肉食系……私が、若葉君を? はう……!」

妄想した結果、琴音が顔を真っ赤にして倒れた。
一方でさっきから無反応な高雄先輩はというと。

萌衣
 「……」

あまりの衝撃にフリーズしていた。

柚香
 「それでは聖夜が性夜になってしまいます!」

瑞香
 「上手いこと言ったつもりか、ユズ!?」


 「なんなら良いラブホ紹介してあげるわよ♪」

瑞香
 「犯罪だから!」

このトンチキ先輩は発想がぶっ飛んでいる。
どうせラブホテルと言っても、自分の持ち会社とかそう言うのでしょう?
て言うか、肝心の七竃先輩はどうなんだ?

瑞香
 「そういう先輩は葛樹先輩と過ごすんですか?」

柚香
 「肉欲に溺れて?」

瑞香
 「ユズ、お口チャック」

いい加減頭ラリってるのか、言動の怪しいユズの口を物理的に抑える。
七竃先輩は、頬を少し赤らめ、恥じらいを見せると。


 「ふふ、それは乙女のヒミツよ♪」

瑞香
 「ビッチになれと言った女の台詞じゃない……」

萌衣
 「で、でも……最終手段よね……」

いつの間にか復活していた高雄先輩は顔を真っ赤にしながらそう言った。
色々と突っ込みどころはあるけど、私ら後1年学校ある訳で、孕んだら卒業出来ないでしょうに。
先輩方はその辺気楽でいいか。

瑞香
 「とりあえず却下! もっと健全な策で行くの!」

私はそう言うと、七竃先輩を押し返す。
それにしても財閥のご令嬢がなんで庶民的なファミレスに居るのよ……。

萌衣
 「とりあえず、明日悠気に聞いてみましょう?」

柚香
 「そう、ですね。可能性は試していかないと」

瑞香
 「目下最大の難敵は月代宵……!」



***




 「へっぷし!」

私は突然くしゃみをした。
今はバイト中で、お客さんはいなかったが、慌てて鼻を拭く。

マスター
 「風邪かい?」

何処にでも居そうな喫茶店のマスターはカウンターで心配してくれた。
私は照れ笑いしながら。


 「どうなんでしょう? 噂かも?」

マスター
 「噂か、そう言えば月代君はクリスマスはどうするんだい?」


 「どうって言われても予定なんてないですよ?」

マスター
 「月代君くらい美人なら、引く手数多だろうに」


 「えっ? そうかなっ?」

えへへ、私は素直に喜んだ。
でも考えてみればクリスマスって何をすれば良いのかな?
晩ご飯はいつも通り悠気たちといただくとして、その日は終業式、バイトも入ってない。


 「ねぇマスター、クリスマスってどう過ごせば良いんですか?」

マスター
 「えっ? そりゃ恋人同士で過ごすっていうのが鉄板だろうけど……時々月代君は不意に普通の事を聞いてくるよね? 過去にクリスマスはどういう風に過ごしてたの?」


 「えっ?」

それは……私は口を澱んでしまった。
なぜか記憶にない。


 (そうだ、そもそも私はクリスマスを今までどう過ごしてきた?)

そんな誰もが当たり前に過ごしてきた記憶……なぜか私から抜け落ちていた。
私、そう言えば空っぽだった?
思い起こせば、悠気と初めて遭遇する以前の記憶さえ曖昧だった。


 「……っ!?」

マスター
 「ちょ!? 大丈夫かい月代君!?」

不意に私はぐらついた。
カウンターにいるマスターが慌てて、手を伸ばすが間に合わない。
私は気を持ち直し、なんとか倒れる前に踏みとどまった。


 「ま、マスター……私」

マスター
 「気分が優れないみたいだね、今日はもういい、早退していいよ」


 「……すいま、せん」



『当然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語』


第31話 クリスマス計画 完

第32話に続く。


KaZuKiNa ( 2021/08/06(金) 18:01 )