突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語


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突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語
第26話 変則野球勝負!




 「終わったぁ〜!」

ついに中間テストが終わった。
それは月代だけでなく、多くの生徒たちが開放感に喜んだ。
とはいえ、まだ最後に期末テストもあるし、油断は出来ないんだがな。


 「んふふ〜、見なさいよ悠気! この点数を」

悠気
 「ほぉ、赤点無しか、月代にしてはよく頑張ったじゃないか」

月代はよっぽど罰ゲームが嫌だったのだろう。
これまでの期間、彼女はずっと教科書とにらみ合いをしていた。
律儀なことに月代は家でも一切俺に頼らず、ルールを遵守する真面目さを発揮した。
良い意味で見れば、他人に頼らなくてもなんとか出来るようなったという事だ。

それに自信をつけたのか月代は解答用紙を持って、瑞香の元へと向かう。
賭けの確認だろう、今回は月代も大健闘したし、罰ゲームは分からなくなったな。


 「瑞香! テストの結果は!?」

瑞香
 「……ん? はい」

本来なら一番騒ぎ出す筈の瑞香は大人しかった。
何やら上の空で、解答用紙を取り出すと机に並べた。


 「……えーと……ッ!?」

月代が衝撃に固まった。
一体何があったのか……俺は気になって覗き込むと。

瑞香
 「えーと、最低62点、最高は86点。文句ないわよね?」

悠気
 「なにっ!?」

文句なしに赤点0だ、それどころか平均50の月代を大きく離しただと!?


 「瑞香……カンニングとかしてないよね?」

瑞香
 「してたらもっと良い点採れてるでしょ!」

悠気
 (おいおいマジか……月代と五十歩百歩の瑞香に何があったってんだよ?)

正直今回は俺も月代の勝ちだと思っていたが、結果は瑞香の圧勝だった。
それにボロ泣きしたのは月代の方だった。
死ぬほど嫌がった罰ゲームが確定したのだから、当然の反応だが。


 「うわーん! 罰ゲームヤダー!?」

瑞香
 「ああ、それなんだけどさ……やっぱり止めるわ」

件の罰ゲーム、瑞香はその内容を引き下げた。
露骨に表情を変えて喜ぶ月代だが、瑞香は代わりの条件を持ち上げた。

瑞香
 「罰料理は食べなくてもいいからさ、その代わり付き合って欲しい事があるのよ」


 「ふえ? なにに?」

瑞香
 「それは……」



***



野球部員
 「野球対決!?」

放課後、グラウンドの隅っこで今日も練習する野球部員たちを見つけた瑞香はとんでもない事を言いやがった。
それが、野球対決だ。

瑞香
 「そうよ? ただしルールは3人でやる! それと3回までね!」


 「野球やった事ないんだけど〜?」

野球部員
 「全員素人じゃないか! 舐めるのも程々にしろよ!」

そう、全員素人だ。
だが瑞香は自信満々に言う。

瑞香
 「じゃあアンタたちはそんな素人に負けたら、それ以下って事よ?」

野球部員
 「ぐっ!? 良いだろう、後で吠え面かくなよ!」

悠気
 「……凄く今更なんだが、どうして俺まで巻き込まれてるんだろうな」


 「えっ? 手伝ってくれないの?」

瑞香
 「この人でなし! 冷血漢!」

悠気
 「……突っ込まんぞ」

しれっと俺まで3人目に含まれているが、瑞香は当然にしても月代まで疑ってなかったらしい。
俺も大概のお人好しだな……。



***



グラウンドの片隅、通常の野球とは何もかも違うが、その変則野球は始まった。
塁は3塁が三角で、これは人数不足のため。
守備はピッチャーとキャッチャー、そして外野のみ。
こんなんでやれるのか? そう言われても俺には分からん。
ただ瑞香は自信満々にピッチャーマウンドに立つと、俺にアイコンタクトを送る。
因みに俺はキャッチャーだ。

瑞香
 (全力でいくわよ!)

悠気
 (こいつ、そもそも正確に投げられるのか?)

対して最初にバッターボックスに立ったのは二年ショート小金。
三年はすでに卒業を控えて引退しているため、これでも来年のエースだろう。
小金はバットを構えると、瑞香は腕を振りあげた。

瑞香
 「いっくわよー!」

かけ声をあげて、瑞香は思いっきり正面に投げる!

ズバァン!

ボールは正面、小金はボールを見送った。

小金
 (150はあるか? 素人とは思えん玉投げやがって!)

小金の顔色が変わったぞ。
俺は瑞香を見るが、まだ瑞香は笑っている。
再び、第2球目……投げた!

ブォン!

ボールは外角低め、小金は思いっきり空振りする。

悠気
 「ストライクツー、で良いんだよな?」

審判がいないため、判定が出来ない。
これは野球と言うより野球もどきだから、個人で納得できればいいのかもしれないが。

その後も瑞香は鋭いコースを攻めながら、まずアウトを1つ取る。
続いて二年キャッチャーの丹波、野球部の中では一番体格が良い。

瑞香
 (外角高め、ちゃんと取ってよ!?)

瑞香の目線は上か。
アイツ、勝負する気だな。
というか、打たれたら守っているのが月代だけに踏ん張って貰わんと。

瑞香
 「せーの!」

瑞香のストレート!
丹波は大きく振る!
しかし球はバットをより僅かに上を通り抜けた!

悠気
 (おいおい! 1発目から合わされてるじゃねぇか!)

瑞香
 「こんの……」


 「瑞香、頑張ってー!」

外野から月代が瑞香を応援する。

悠気
 「瑞香、思いっ切りこい!」

俺も構えると、瑞香に声を掛ける。
瑞香の奴、結構熱くなりやすいから、見ていてやらんと危なっかしい。

瑞香
 「せーの!」

瑞香は覚悟を決めると投げた!
今度は正面!? しかし!

丹波
 「カーブだとぉ!?」

それはストレートじゃない。
正確な球種は分からないが、変化球だったのは確かだ。
いきなり緩急をつけられた丹波は読み切れずバットは空を切った。

丹波
 (山吹の奴、マジで野球初心者か!? 嵌められてんじゃないのか!?)

そのまま丹波も討ち取られ、最後に出てきたのは二年ピッチャーの浅木だ。
浅木もやはり、瑞香を一回で仕留めることは出来ず、三者凡退となる。



***



悠気
 「打順は?」

瑞香
 「宵悠気私の順で!」


 「う〜ん、バットなんて初めて持ったよ〜」

見よう見まねで打席に立つ月代。
正直言って打てるとは到底思えんが。

浅木
 「PKMたって、制御装置が効いてんなら!」


 「きゃ!?」

月代はバットを振るが、バットは空回りした。
そもそもへっぴり腰の月代では当たった所で、飛ぶのか怪しいが、とりあえず怪我だけはしないでほしい。
その後も月代は只管バットを振るが、全く当たることもなく、あっさり凡退。
続いて俺も打席には立つが。

悠気
 (俺も見るのはともかく、やるのは初めてだからな)

とりあえず宵よりはマシだと思うが……。

浅木
 「リア充は滅びろ!」

ズバァン!

物凄く私怨の篭もった球は真っ直ぐ伸びて、キャッチャーに吸い込まれる。

悠気
 (スピードだけなら瑞香より下じゃないか?)

だからといって打てるかは全くの別問題だが。
とりあえず俺は二球目を待つ。

浅木
 「アベックは滅びろ!」

悠気
 「……」

二球目もストレート、俺は見送った結果2ストライクに追い込まれた。
とはいえ2球見させて貰えば充分だ。


 「悠気頑張れー!」

瑞香
 「かっ飛ばせー!」

浅木
 「リア充は死ねーっ!」

大凡黄色い声援なんて聞いたこともないであろうピッチャーは完全に俺を舐めていた。
3球連続でど真ん中にストレート。
俺はイメージ通りバットを振る。

カキーン!

浅木
 「な!?」

悠気
 「3度も同じコースなら、俺でも打てるさ」

守備は小金のみ。
ボールは小金の頭上を越え、長打になる。
そのまま俺は3塁に移動して、打席には瑞香が立った。

浅木
 「くそ……なんでだよ、俺じゃ駄目なのか……」

瑞香
 「こらー! さっさと投げるー!」

ピッチャーは正直言えば2流だ。
まぁそうでなければウチの学校の野球部には入らないだろうし、ここは現実的な非情さだな。

浅木
 「くっそー!」

ピッチャーはやけくそになりながら投げた!
瑞香は鋭いコンパクトな振りで初球を打つ!

カツーン!

瑞香
 「ああっ! あちゃ〜!」

しかし打球は高く浮き上がり、小金がフライを取って瑞香はアウト。
そのまま月代の第二打席も、あっさり凡退になり一回は両者無得点で終わった。



***



勝負は3回まで。
これは瑞香の体力も考慮して決められたルールだ。
お互いは3回まで得点を得ることが出来ず、ついに迎えた最終回。
瑞香も少しだけ球威が落ちていた。

瑞香
 「……く」

瑞香の運動神経の良さは評価に値するが、体力は女子相応である。
まして付け焼き刃のピッチャーでよくも3回までこれた物だと言える。
だが、それだけに大ピンチだ。
まずは小金。
取り立てて優秀ではないが、野球に対する情熱は瑞香の比ではないだろう。

小金
 「……こい!」

瑞香
 「言われなくたって!」

瑞香のストレート!
しかし小金はそれにバットを合わせる!

カーン!

瑞香
 「やば!?」

ボールは高く打ち上がった。問題は捕球するのが月代という事だ。
小金はその隙に走る、健脚のようでこのままだとランニングホームランもあり得るぞ!?


 「大丈夫っ、オーライ、オーライ」

月代は自分を鼓舞すると、グローブを構えた。
月代は鈍くさいが、やれば出来る子だ。
そのままボールは……月代のグローブにすっぽりと入り、小金はアウトとなった。


 「えへへ〜♪ 取れた♪」

月代は初めて取れた事に無邪気に喜んでいるようだが、一方で瑞香は疲れに苦しんでいる。
そして次の相手はスラッガーだ。

瑞香
 (確実にアウト取らないと……)

丹波
 「……!」

丹波がバットを握りしめる。
瑞香が選んだ球種は……カーブ!
丹波はこれを見送った。
これは不味いな……瑞香の奴焦ってるな。

悠気
 「瑞香! クールになれ!」

瑞香
 「悠気……!」

瑞香の気性は良くも悪くも、格闘技の方が向いているだろう。
彼女が自分に対する挑戦である陸上を選んだのも、気性に向いているからだろう。
だからこういう直接勝負では、瑞香の短気さはデメリットになりやすい。

瑞香
 「……オッケー」

瑞香汗を拭うと、深呼吸をする。
そして瑞香は構えた。
そこから投げられたのはストレート!

ブォン!

強烈なスイング音が響いたが、バットがボールを捉えることはなかった。
内角低め、ギリギリのコースを狙って丹波に打たせない。

丹波
 (くっ! 冷静さを取り戻しやがったか!)

瑞香
 「いくわよ! 今必殺の! とぉりゃぁぁ!」

瑞香のストレート、ただし今度は上だ!
丹波もおもいっきり振り上げる!
しかし、ボールにはかすりともせず、三振だった。

最後の相手浅木も、なんとか奮闘するが結果は内野ゴロ。
三者凡退で野球部の攻撃は終了した。



***



問題は最終回後半だ。
必然的に俺たちは逆転サヨナラを目指すわけだが。
さすがに相手は本職、3回程度ではへこたれないし、流石に初回のようなヘマもしなくなると、俺や月代にどうにか出来るわけもなく、2アウトを重ねる。
そして迎えたのは最終打席瑞香だ。

浅木
 「山吹……お前それだけの才能隠してやがったんだな」

瑞香
 「正直自分でも驚きね」

本職の浅木は当初瑞香に劣等感を抱いていた節があった。
だが今は純粋に瑞香の実力を認めているようだ。

浅木
 「ならば受けるがいい! 人類最速よりマイナス21キロストレートを!」

瑞香
 「150以下かい!?」

ブォン!

早速空振り。
因みに人類最速は時速169kmな。
PKMならその上を行くが、高校野球で160出せたらプロ野球いけるだろう。

浅木
 「もう一度行くぞ!」

浅木はボールを投げた!
瑞香はあえてそれを見送る!

瑞香
 「集中……集中よ、クールにやろう私!」

浅木
 「……いくぞ!」

そして3球目!
その結果は―――。



『突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語』


第26話 変則野球勝負!

第27話に続く。


KaZuKiNa ( 2021/07/02(金) 20:00 )