突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語


小説トップ
突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語
第23話 ユウ様とお出かけ



悠気
 「……」

みなも
 「ふんふんふ〜ん♪」

日曜日、俺はたまたま下の階で洗濯物を干しているみなもさんを観察している。
みなもさんは毎日楽しそうに家事をしているよな。
でも毎日肉体労働で辛いとか思わないんだろうか?

悠気
 「みなもさーん、手伝おうか?」

みなも
 「ユウさま、私のお仕事を奪わないで下さい。私はこれ位でしか感謝を表せませんから」

悠気
 (これだもんな……)

みなもさんが来る前は俺は母さんがいないと一人だったから、家事は全部やってた。
それ以前に母さんはずっと女手一つで俺を育ててくれたからこそ、俺は母さんを手伝うようになった。
そのお陰料理の腕は上がったし、家庭的な事をするのに苦を覚えなくなった。
しかし今はなんでもみなもさんがやっちゃうから、俺は暇で仕方がない。
まぁ普段ならお隣さんがウザイ程絡んで来るから、それ程暇にはならないんだが、今日に限って月代は午前中はバイトである。

よーするに暇なのだ。
そのためみなもさんを見ているしかない。

悠気
 (……なにか作ろうかな?)

俺は立ち上がると、冷蔵庫に向かう。
すっかり普通の料理はみなもさんが毎日熟すから、俺が作るのは専らお菓子メインだ。
まぁ最悪小麦粉と卵と砂糖があれば何かしら作れるからな。
暇つぶしにも丁度良いし、月代や瑞香も喜ぶから、俺もちょくちょく作っている。
いっそ将来の進路はパティシエでも目指そうか。

悠気
 「ふむ……よし!」

俺は冷蔵庫の中身を確認すると、脳内で作れるお菓子を吟味する。
今回はこれでいこうか!



***



みなも
 「ふんふんふ〜ん♪ あら? この匂い……」

私は洗濯物を干していると、家の中から良い匂いがしたのを感じ取った。
家の中を覗くと、ユウさまがキッチンに立っている。
ユウさま、どうやらお菓子作りしているようです。

みなも
 (ユウさま、お菓子作りお上手ですからね)

ユウさまはどちらかというとインドア派で、家庭的な事を好む。
育美様の教育の賜物なのか、料理の腕はプロ級だ。
とはいえ本人はいつも改善あるのみと、精進している。
ここ最近は色んな調理法を試しており、試行錯誤を繰り返していた。

みなも
 「ふふ、少し楽しみです♪」

私はユウさまに見惚れるのも程々に、洗濯を再開した。
ここ最近ユウさまのお菓子を食べさせて頂いている性か、少し体重が増えた気がするのがネックですけど。
時々月代様が無邪気に食べているのに太らないのに嫉妬してしまいます。
やっぱり家事だけでは脂肪を消費出来ないのでしょうか?
このままぶくぶく太って、ユウさまに失望されるのが怖いです。

みなも
 (ああ〜でも、ユウさまの作った物をお残しする訳にはいきませんし……)

もどかしい、けれどこの良い匂いを嗅げば、誘惑に釣られてしまう。



***



悠気
 「さてと……」

みなも
 「あの……ユウさま?」

俺は早速新作のお菓子を制作すると、洗濯を終えたみなもさんが現れた。
その顔は嬉しそうな困ったような顔だ。
その目線はテーブルに向いている。

悠気
 「パンケーキ、嫌いだったっけ?」

今は時期も合うためカボチャを使ったパンケーキだが、みなもさんは嫌いだったろうか?
少なくとも甘い物は好きだったと記憶しているが。

みなも
 「そ、その……あ、有り難く頂きますっ!」

悠気
 「み、みなもさん!? なにか不味い事があるんなら言ってください!」

みなもさんは少々意固地な所がある。
何かは分からないが、兎に角みなもさんは無理をしている。
それが俺にも分かる。

みなも
 「うう……その……じゅうが」

悠気
 「え?」

みなも
 「体重が……」

たいじゅう?
ああ、体重の事か。
俺はみなもさんの全身像を見るが、胸以外は寧ろ健康的で良いと思う。
とはいえ女性は誰しも乙女と言うし、みなもさんも気にしているのか。

悠気
 「それじゃ、半分にしましょうか」

俺はそう言うと半分にパンケーキを切り分けると、ラップに包んで冷蔵庫に入れる。
これは宵にでも夜食として提供すれば良いだろう。

みなも
 「も、申し訳ございませんユウさま……」

悠気
 「いや、俺の方こそ配慮に欠けていた。パシティエを目指すなら配する人のことも考えないとな」

改めて、料理の腕だけじゃ俺はまだまだだと実感する。
みなもさんがいつもの美味しそうに食べてくれるから、勘違いしていたがみなもさんだって体重を気にする年頃なんだな。
そう言った配慮も覚えなければ、プロにはなれないだろう。
やはり改善、改善あるのみだな。

悠気
 「それにしてもみなもさん、プロポーションは最高に良い方だと思うけど、気にしてたんだ」

みなも
 「だ、だって……ユウさまに嫌われたくありませんもの……」

成る程、それがみなもさんの見栄か。
みなもさんとしては最高の自分を見て貰いたい。
どこにでもいる普通の見栄だな。
案外俺もみなもさんを特別視していたのかも知れないが、みなもさんも普通の女性なんだな。

悠気
 「男目線で言えば、みなもさんはどんな姿でも綺麗だよ」

みなも
 「うぅ〜、ユウさま、そんな甘やかされては駄目になります、ですから……」

悠気
 「中々難しいな」

俺が太ったみなもさんを許容しても、みなもさんがそれを許さない。
こういう点で俺は女性の扱いを分かっていないという事だろうな。
最も宵も瑞香も、みなもさんと違って気兼ねなく付き合いやすい奴らだから、それとみなもさんを比較するのが間違っているのだろう。

悠気
 「とりあえずパンケーキ……どうする?」

みなも
 「あ、頂きます」

みなもさんはナイフとフォークをを手に取ると、お手製だが心を込めて作ったパンケーキを食べてくれた。
本物のパンケーキと比べると膨らませる手間を省いているため、食感はホットケーキに近い。
その分生地にカボチャを練り込んでおり、旬の甘みを楽しんで貰えるはずだ。
それ以外は、野いちごを煮込んでシロップにして、クリームを添え完成だ。
本格的なスイーツカフェのパンケーキには劣るが、みなもさんに楽しんで貰えるだろうか。

みなも
 「はむっ、美味しい……♪」

みなもさんはフォークで一口サイズに切り分けたパンケーキを口に運ぶと、顔を綻ばせた。
俺はその屈託のない笑顔を見て、安堵する。

悠気
 「なにか、変な部分はない?」

みなも
 「程よい生地の甘み、そして酸味の強い野いちごのシロップ……食感も柔らかく、良い物だと思います♪」

悠気
 「何分、みなもさんの洗濯終わりに間に合わせるように、急いだから、至らない所もあると思うんだけど……」

みなも
 「ふふ、謙遜ですね、ユウさまらしいですけど」

どうやらみなもさんはこれで良いと言うようだ。
俺としては時間が許せば、もっと良い物が出せたと思うんだがな。

みなも
 「あの……でしたら少しお出かけしませんか?」

悠気
 「お出かけ?」

みなも
 「少し……普段とは違う所にでも……」



***



パンケーキの片付けを終えた後、私達は少し遠出をする事になった。
ユウさまは快諾してくれて、私達は目的地も定めずに出かける。

みなも
 「ユウさま、街まで行ってみてもよろしいでしょうか?」

悠気
 「構わないよ、でも今日はどうしたの?」

ユウさまは私がいつもより積極的になっている事に驚いているようだ。
今まで私は、本当に小さな世界に引き籠もっていた。
だけど、ふと月代様を見て、それが羨ましいと思ってしまった。
月代様はどんどん前に進んで自分の世界を広げている一方で、私は怠惰でさえある。
同時に私も欲望が出てしまったのだ。
もっとユウさまと色んな事をしたい。
これは自分の欲望だ、今までずっとユウさまに尽くす事が生き甲斐だったけど、今はユウさまに甘えたい。

みなも
 「ユウさま……」

私はそっと、ユウさまの手を握った。
ユウさまは驚いた顔をしながらも、握り返してくる。

悠気
 「デートか、成る程……了解」

ユウさまはなにか、納得されると私をリードして下さった。
私は顔を紅く染め、ユウさまに寄り添う。

みなも
 「ユウさま、私もっと甘えても良いですか?」

正直ここまで歯の浮いた事を言っている自分に驚いている。
だけどそれも本音だ。
ユウさまが大好きで、ユウさまを愛している。
だからこそ甘えたい。

悠気
 「いいよ、みなもさん」

ユウさまは笑ってお許しになってくれると、私は肩に抱きついた。
こんなに積極的になれるのはきっと今日が最後だろう。
今の私たちはどんな風に見えるのだろうか?
中の良い姉弟? 中睦まじい若い夫婦?
それとも恋人同士……だろうか。

悠気
 「そうだ、街に出たらカフェに行ってみようか?」

みなも
 「ユウさま? 私はどこまでもユウさまに付いて行きます」

ユウさまにとって私はどんな存在だろう?
やっぱり、ただの家政婦に過ぎないのだろうか?
それともユウさまも私を恋人のように思ってくれるのだろうか?



***



街に着くと、私達はユウさまに案内されて、ある有名なカフェに入店した。
スイーツ系が専門のカフェらしく、連日女性たちで賑わうお店だった。
私は普段生活圏が身近のスーパーマーケットまでで、街の中心には行った事もない。
ここは雑誌などでも紹介された人気店らしく、海外でも実績を持つ有名パティシエがいるらしい。

ユウさまはとりあえずパンケーキを注文する。

悠気
 「一度、本物とどう違うのか知りたくてね」

みなも
 「ユウさまは本当に勉強熱心ですね」

私としてはデートする場所はどこでも良かった。
なんならぶらりと散歩するだけでも構わなかった位だ。
勿論ユウさまが望むならこのままラブホテルに行っても構わないが、ユウさまはあくまで研究が目的のようだ。
それには流石に苦笑してしまう。

みなも
 (真面目で、努力家……少し頭が堅い位ですけど、それがユウさまなんですね)

やがて、のんびりと待っていると、パンケーキが運ばれてくる。
甘くて良い匂い、流石プロのお店ですね。

悠気
 「それじゃ、二人で食べてみようか?」

みなも
 「はい、ユウさま」

私はまずパンケーキを軽く頬張る。
ふんわりとした生地は、パウンドケーキ程柔らかくもないけど、口の中が軽い。
甘さも良く、プロの技が繊細だと分かる……けれど。

みなも
 「私はこれを美味しいと思います、きっと10人中10人が美味しいと答えると思います。そう、80点の味です」

悠気
 「80点か」

ユウさまも顎に手を当てて吟味しているようだ。
きっとユウさまの事だから、既にレシピが頭の中で閃いているのだろう。

みなも
 「ですが私はユウさまの方が上だとハッキリお答えします。ユウさまのパンケーキは10人中2人が否定するかもしれませんが、私は100点だとお答えします」

私はこのパンケーキを食べて理解した事は、明確な差を産み出していた。
多分ユウさまには分からない、私だから答えられる。

みなも
 「このパンケーキはとても万人受けしますが、多分多くの方に100点は与えられないでしょう、一方でユウさまは私個人に向けて作ってくれました、それは私の嗜好を理解しており、私にとって文句の無い物だったんです」

悠気
 「……成る程、確かにプロの条件は万人受けだな、でも俺自身宵やみなもさんが相手なら、俺はこれを出さない」

ユウさまもまた、プロのレベルを認めつつも、自分の料理としては否定したようだ。
ユウさまはとても気立てが良い。
相手のことをいつも見ており、皆の笑顔をいつも導き出す。
プロに求められるのはそんなユウさまの料理とは真逆で、全ての人に美味しいと言って貰わなければならない。
人の味覚は、それこそ人それぞれで、相手と向き合って料理することは、ここのような人気店では不可能だ。
ユウさまはその違いをどうお考えなのだろう?

みなも
 「ユウさまはどう思います?」

悠気
 「例えば料理コンテストをしたとして、俺が勝てるかと言ったらノーだな、それ位同じ物でも使われている技術や繊細な技が表現されている……俺にはここまでの気配りは無理だろう」

みなも
 「ユウさま、私はユウさまだから出来る気配りもあると思います。本気でパティシエを目指すのであれば迎合などせず、自分の在り方を忘れないで頂きたい」

もしも、ユウさまが製菓学校に入学されて、残り1年と専門学校の4年、合わせて5年をその技術の向上の捧げれば、きっと私や育美様を越える凄い料理人になれるだろう。
まだユウさまは高校2年生であり、この先の可能性は無限大だろう。
でも、その結果少数を無視して大多数に歓迎される料理人にはなって欲しくない。
ユウさまは作る相手を考えて、お菓子を作るのはとても素晴らしい事だ。
だからこそ、その在り方のまま、プロとして技術を磨いて欲しい。
きっとそれは誰かに100点の笑顔を届ける立派な才能だから。

悠気
 「……ん、参考になった。とりあえず俺は母さんが偉大だと再認識したわ」

みなも
 「ふふ、冗談抜きに育美様はプロですからね」

育美様は私の師匠でもあり、和洋中あらゆる料理をマスターした完璧超人だ。
未だ私も育美様を越えるには至らない。
そこはユウさまも劣等感があるらしく、おそらくプロと料理対決をさせても育美様は勝つだろう。
育美様は家庭料理のプロフェッショナルだが、だからといって繊細なコース料理などが出来ないわけじゃないから凄い。
討希様と一緒に世界を巡る傍ら、それらの知識を習得しているそうだ。

悠気
 「……それじゃ、代金を払って行こうか」

みなも
 「はい、ユウさま♪」



***



店を出ると、私達は当てもなく散策する。
だけど私はここまで遠出したことがないので、新鮮で楽しかった。

みなも
 「大きな建物、あのビル全てお店なんですか?」

悠気
 「そうだよ、商業ビル。もっと奥に行けばデパートもあるけどね」

みなも
 「デパート、でもお高いんでしょう?」

悠気
 「貧乏人には辛いな!」

デパートには行ったことがないが、どんなお店かは知っている。
とりあえずとてもお高いお店らしく、私もスーパーしか利用した事がないので分からない。
そう言えば月代様はこの辺りで働いているのでしたっけ?

みなも
 「ユウさま、月代様はどこで働いているのでしょうか?」

悠気
 「ん? 月代が働いている喫茶店ならもう少し離れた所だぞ……そう言えばそろそろ月代もバイト終わりか」

気が付けば、お昼を越えており月代様もバイトが終わるらしい。
ユウさまは携帯端末を取り出すと。

悠気
 「とりあえず月代も誘って三人で昼飯にでもする?」

その言葉に私はムッとしたことだろう。
こういうところでユウさまは女心を分かっていないと自覚してないらしい。
博愛も素晴らしいですけれど、それは時に不満です。
特に今の私はユウさまを独占したいのです!

みなも
 「ユウさま!」

悠気
 「は、はい?」

私はユウさまの腕に思いっきり抱きつくと、ユウさまが戸惑う。

みなも
 「ここからは私が年上としてリード致します!」

悠気
 「あのー、怒ってます?」

本当に、ユウさまは分かってないらしい。
自分自身嫉妬心は理解している。
もう既に充分ユウさまを堪能したんだから月代様を加えても良いと。
だけど私は納得してなかったのだ。
だから私は頬を膨らませて、ユウさまを睨む。

みなも
 「ユウさま、アッチに行きましょう!」

悠気
 「え? そっち歓楽街だけど!?」

私は無理矢理ユウさまを引っ張ると、月代様との合流を拒否する。
月代様の事は好きですけど、それとこれは別なのです!
私はきっと嫉妬心が強い方でしょう。
だからこそユウさまを愛おしく想い、そして焦がれてしまう。

そんなこんなで私はユウさまとのデートを楽しむのだった。



『突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語』


第23話 ユウさまとお出かけ 完

第24話に続く。



KaZuKiNa ( 2021/06/11(金) 20:41 )