突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語


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突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語
第22話 みなものミス



みなも
 「……困りました」

私はみなも、訳あって姓名はなく、若葉家で住み込みながら家政婦をさせていただいております。
そんな私ですが、今少しピンチです。

みなも
 「冷蔵庫の中身が空っぽです」

今育美様は討希様の下にいますので、ユウさまのお世話は私が完璧に熟さなければなりません。
私は壁に掛けられた時計を見る。

みなも
 「時刻は15時……大ピンチです」

ユウさまは基本寄り道をしないお方ですので、真っ直ぐ帰ってくると推測できます。
となると帰宅時間は15時40分と仮定します。
後40分で買い物を終わらせる……。

みなも
 「無理そうです……」

残念ながら、最寄りのスーパーを考慮しても40分で買い物を終わらせて帰ってくるのは難しい。
ユウさまのお世話をする者としては大変歯痒いですが、これも私の落ち度でしょう。

みなも
 「えと、メッセージでユウさまにご連絡を……あら?」

気が付くと、スマートフォンにユウさまから連絡が来ていた。
今日は少し帰りが遅くなる……とのこと。

みなも
 「……猶予時間が延びました」

私はスマートフォンを懐に仕舞うと、急いで家を飛び出した。



***



最寄りのスーパーは徒歩20分。
まだ馴れない頃ユウさまに街を案内して貰った時から、ここの常連だ。
店内では陽気なバックミュージックが流れおり、お肉のブースではウインナーの試食を行っていた。

店員のおばさん
 「あら、みなもちゃん! この時間帯に珍しいね!」

店内では40代頃のパートのおばさんが気軽に話しかけてくる。
私は掻い摘まんで説明をした。

店員のおばさん
 「成るほど、今日は忙しくて冷蔵庫をよく確認してなかったと」

みなも
 「不覚です……」

育美様がいない時は、家で出来ることはなるべく全てやるようにしている。
ユウさまに快適に過ごして貰うため、余念なく行っていたのですが、今回は裏目に出てしまいました。

店員のおばさん
 「それならこのウインナーはどうだい? 新商品なんだけど?」

みなも
 「ウインナーですか」

おばさんが爪楊枝に刺した試食用ウインナーを差し出す。
私は受け取って吟味してみると、口内に肉汁が程よく染み出す。

みなも
 「成るほど、煮込み料理には使えるでしょうか?」

店員のおばさん
 「焼きもボイルもオーケーだよ!」

みなも
 (ではポトフにでも致しましょうか)

ユウさまは肉じゃがが大好物だ。
それ故に私はついつい嬉しくて和食が多くなってしまっているが、本来和洋中全てマスターしています。
まだ育美様のレシピに従っている段階ですが、今日は洋食と致しましょう。

みなも
 「このウインナー下さいな」

店員のおばさん
 「あいよ!」

おばさんの横に大量に陳列されたウインナーは2袋で1個の物だ。
お値段は取り立てて高くもなければ、安くもない。
とりあえず1つ頂くと、脳内に必要な物をシュミレートして、最短で買い物を続けた。

みなも
 「キャベツ、2分の一で198円……高いです」

琴音
 「出海さん?」

みなも
 「貴方は……確か海で……!」

振り返るとそこにいたのはユウさまのご学友の大城琴音女子だった。

琴音
 「やっぱり出海さん! 関西の方にお住みとお聞きしていましたけど、もしかしてこっちに?」

困りました……まさかあの時のメンバーに会ってしまうとは。
私の正体を知っているのはユウさまと月代様だけ。
それ以外には架空のPKM出海みなもを演じていたのだ。

みなも
 「そ、その……い、今は、その、若葉家に……」

琴音
 「若葉君の家に下宿しているんですね!」

私はコクコクと首を縦に振った。
と、とりあえずこれで誤魔化せたかな?
激しく挙動不審になってしまい、それを怪しまれていなければ良いのだけれど。

琴音
 「ウインナーにキャベツですか」

大城さんは私の買い物籠を見ると、そう呟いた。
大城さんの籠を見ると、随分色々買い込んでいるみたいだった。

みなも
 「お、大城さんは学生ですよね? もしかしてお料理も?」

琴音
 「ええ、ウチ父子家庭ですから、お父さん帰りも遅いし私が全部」

そう言う大城さんは、私と同じくらい大変そうなのに笑っていた。
きっと私と同様大城さんもそれで喜んで貰えることが嬉しいのだろう。

琴音
 「あ、買い物を止めてすいません! もう行きますね!」

みなも
 「は、はい、ごきげんよう」

大城さんはそう言うと重たい買い物籠を両手で持って店の奥へと消えた。
それにしても予期せぬ所で会ってしまうとは。
大城さん学生服だったから多分学校から直接よね?
この時間帯に利用するのは少し危険、でしょうか。

みなも
 (大城さんはまだご理解の速いお方で良かったけれど、他の人と遭遇したら誤魔化しきれませんよね……)

私は改めて今の身分の不便さを実感しながら、買い物を進めるのだった。



***



10月、着々と日没時間は速まっている。
私は薄暗くなった町を足早に帰る。
買い物はなるべく少なく済ませたけれど、予定よりも遅れており、なるべく急いだ。

みなも
 (急ぎませんと、晩ご飯が遅れてしまいます)

荷物は最小限、それでも両手に袋を持っており、それなりに重量が嵩張る。
やがて、電灯が点灯されていく中、急速に空は暗くなった。
私は足早に道を進むと、家の前であの方を発見する。

悠気
 「みなもさん!」

みなも
 「あう〜、も、申し訳御座いません……」

私はユウさまの前まで赴くと頭を深々と下げた。
しかしユウさまは私の荷物を奪うと。

悠気
 「晩ご飯、少し遅くなりそうだけど、たまには良いでしょう」

なんと、ユウさまは私の不始末を不問としました。
私はユウさまの優しさに身を震わせた。
しかし、ユウさまは苦笑して、ドアの解錠を促す。

みなも
 「も、申し訳ございません!」

私は直ぐに懐から鍵を取り出し玄関を開く。
そして直ぐにユウさまを家に迎え入れた。

悠気
 「ただいま、みなもさん」

みなも
 「あ、お帰りなさいませ、ユウさま!」

今日の私は本当に失敗だらけです。
いつもなら、このようなミスはしないのですが、今日は何もかも駄目ですね……。

悠気
 「……」

みなも
 「? ユウさま、どうかされましたか?」

私は袋から荷物を別けて行くと、なぜかユウさまは私をじっと見ている。
私はどうすればいいのか分からず、戸惑ってしまう。
そのようなユウさまの反応は私の経験にはなく、一体ユウさまが何を求めているのかが分からない。

悠気
 「今日のみなもさん、可愛いね」

みなも
 「……」

私はその言葉に固まってしまった。
だが直ぐに羞恥心は顔を赤く染め上げてしまう。

みなも
 「ぴぃやぁ!? かかか、可愛い!? 私が!?」

悠気
 「みなもさん、反応が遅い、遅いよ!」

うぅ……育美様に褒められてもこんな事無いのに、ユウさまに可愛いと言われるだけでこれ程の破壊力があるとは……。

悠気
 「はは、とりあえず部屋に上がってます」

みなも
 「……はい、誠心誠意込めて、ご用意致します」

ユウさまはそう言うと階段を登っていく。
私は荷物を分別し終えると、晩ご飯の用意を急ぐのだった。



***




 「お〜、何これ〜?」

悠気
 「ポトフだな、初めてか?」


 「うん」

みなも
 「皆さん、たまには良いかと思い、洋食に致しましたが如何でしょう?」

少し遅くなったご夕飯。
すっかり集まるのが定番となった月代様は、お腹をペコペコにしていた。


 「それじゃ、いただきま〜す♪」

悠気
 「いただきます」

お二方は、早速晩ご飯を食べていく。
ユウさまはゆっくりと、月代様はガツガツと。
私はそれを微笑ましく眺める。


 「美味しい〜♪ みなもさん料理上手で羨ましいなぁ〜」

みなも
 「そんな……それより月代様、今はアルバイトをされているとお聞きしましたが?」

悠気
 「こいつ、喫茶店でね」


 「えへへ♪ 瑞香ちゃんが紹介してくれたんだ〜♪」

そう言って笑う月代様は本当に幸せそうです。
ここ最近月代様は本当に人生充実してますね。
最初は少し頼りない女性だったのですが、今はユウさまが月代様に構う機会も減ったように思えます。

みなも
 「月代様、アルバイトは楽しいですか?」


 「う〜ん、楽しいかと言えば、それもちょっと違うけど〜」

月代様はそう言うとスプーンを口に当てた。
何やら考えているようだが、月代様の答えは殊の外シンプルだった。


 「私、随分世間知らずだったからね、少しづつ知っていきたいんだ。人生は改善、改善あるのみってね♪」

みなも
 (……世間知らず、それは私もでしょうか)

思えば私は月代様と真逆に思える。
月代様はあれもこれも自分に吸収して、凄い勢いで成長している。
一方で私はずっとここで停滞だ。
私は奴隷として人生の大半を過ごした結果、知っている事は物凄く偏っている。
幸い生来器用な方だったようで、家事は問題なく熟せたので、直ぐに私は育美様と討希様にこの家へと送られた。
私自身はこのままでも構わないと思っていたが、月代様を見ていたら少しだけ悔しい気がした。


 「ご馳走様ー!」

気が付けば月代様はもう食べ終えていた。
月代様は立ち上がると。


 「それじゃ勉強も頑張んないとね!」

悠気
 「ちゃんと風呂にも入れよ?」


 「覗いちゃ駄目、なんだから♪」

それはまるで覗けと言わんばかりの態度ですね。
流石にユウさまはそんな不誠実な方と思いませんが。
月代様は言い終えると玄関を出て行った。

みなも
 「ユウさま、私なら本番までオーケーです」

悠気
 「みなもさん、変なところで月代に対抗しないで!?」

流石に避妊はしないといけないと思いますが、ユウさまなら膣出しでも全然良いのですが、皆目ユウさまは全く手を出してくれません。
というか、最近育美様も結婚とか孫が見たいとか言ってきて、私も困り果てている。
ユウさまは肝心な所で決断力がありませんからね。

悠気
 「はぁ、ご馳走様」

みなも
 「お風呂ご用意致しますので、後でお呼びしますね」

悠気
 「ん、とりあえず部屋で月代に勉強教えてるから」

ユウさまはそう言うと食器を洗い台に出して、上に行った。

みなも
 「さて、食べ終えたら、お風呂の用意ですね」



『突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語』


第22話 みなものミス 完

第23話に続く。


KaZuKiNa ( 2021/06/04(金) 18:33 )