突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語


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突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語
第14話 海で遊ぶ少年少女



瑞香
 「はぁ〜、やっと旅館に着いたわ〜、もう疲れたんだけど〜?」

悠気
 「まぁ2泊3日のプランだから、少し休んでもいいだろう」

瑞香
 「……いえ、駄目よ! 海はそういつまでも待っちゃくれないんだから!」

そう言って、結局両手で握り拳を作る瑞香。
なんつーか、全力で人生楽しんでるよな。

悠気
 「すいません9名で予約した若葉ですが」

俺は旅館のフロントで予約の話をすると、コンシェルジュは直ぐに確認を取って和やかに応対をしてくれる。

コンシェルジュ
 「ようこそいらっしゃいました、こちらルームキーになります」

悠気
 「ありがとうございます」

コンシェルジュ
 「荷物はこちらで運びますので」

貰ったルームキーは2つ、まぁ女子部屋と男子部屋の分けだ。
仲居さんは荷物を持つと、俺たちは宿泊する部屋に向かう。


 「ん? すまない電話だ」

悠気
 「光先輩?」


 「後で行く!」

光先輩はスマートフォンを取り出すと、俺たちとは逆の方向へと走って行った。



***




 「星(ひかり)からだと……急にどうしたんだ?」

俺は皆から離れるとスマホに表示された名前に訝しむ。
そいつの名前は七竃星(ななかまどひかり)、俺たちの学園の生徒会長様だ。
同時に幼少からの俺の幼馴染みでもある。
今回の旅行の話はアイツには伝えた筈だが、一体なんの用事だ?


 「もしもし星、何の用だ?」


 『光、後3時間位でそっちにつくから♪』


 「はっ!? 来るって旅館分かるのか!?」


 『その旅館? ああ、ウチの系列だから♪』

俺は唖然とした。
この電話の相手、七竈は神王(しんおう)財閥のご令嬢で、日本でも有数のお金持ちだと言える。
その高貴な家柄もあり、実にお嬢様なのだが、困ったことに俺はアイツの許嫁だったりする。
学園では流石に隠しているが、卒業と同時に結婚という話まで親たちの間で出ている。


 『とりあえず私も参加するから皆に説明しといてね♪』


 「ちょっとまて!? お前が来たら下級生は萎縮するぞ!」

何せ奴は天下の生徒会長だ。
しかも歴代でも屈指に力のある生徒会長で、教師ですら口出しできない。


 『なーに、流石に同じ部屋に泊まろうって訳じゃないし、修学旅行じゃないんだから♪』


 「俺が言ってるのはそう言うことじゃなく!」


 『じゃ、よろしく〜』

プツン!

電話は強引に向こうから切られた。
俺はもはや頭を抱えるしかない。
星は学園では聖人君子で知られているが、その実プライベートではかなり癖のある奴だ。
兎に角、アイツをどうやって説明すれば良いか、もうやけっぱちになるしかないか……。



***



瑞香
 「はーい皆! いっせーの!」

全員
 「「「海だーっ!」」」

俺たちは更衣室を出ると一斉に砂浜に飛び出した!
時刻は昼前だから、まだ海水浴場の混雑率はマシと行ったところ。
とはいえ、直ぐに混み出す可能性も高く、俺たちは海へと駆け込んでいく。

瑞香
 「よっしゃ−! 泳ぐわよー!」


 「いっきまーす!」

早速の海へと飛び込んでいくのは瑞香と月代。

幸太郎
 「まずは準備運動だぞ?」


 「はいです! 幸太郎兄さん!」

一方でまずは入念なら準備運動をしているのはコウタと常葉。
どうやら顔見知りらしく、二人並ぶと兄弟みたいだな。

琴音
 「柚香ちゃん、えい!」

柚香
 「きゃっ!? 琴音さん!」

ユズちゃんと大城は浅瀬で海の水を掛け合う。
この様も非常に映えて美しいな。

悠気
 (なんていうか……改めてウチの面子レベル高いな!)

瑞香や宵だって、性格を除けば充分美少女だ。
大城やユズちゃんなんて性格含めて満点の美少女だし、もう常葉とかみなもさんなんてボンキュッボンすぎて、こっちが目を合わせられないレベル!
野郎で見ても光先輩は間違いなくイケメンだし、幸太郎も顔は良いからな。
……て、あれ?

悠気
 (俺浮いてない?)

よくよく考えたら俺は取り立てて顔も良くないし、コウタほど身体も鍛えてない。
考えるとすっごい浮いてるよなぁ。

みなも
 「悠気さん、泳がないんですか?」

悠気
 「ああ、うん。みなもさんは?」

みなも
 「私は泳ぐのは得意ですけど……」

うん? みなもさんは何故か困惑しているがどうしたのか?

悠気
 「一緒に泳ぎましょう」

みなも
 「あっ、ユウさま……悠気さん!」

俺はみなもさんの手を取ると、みなもさんもテンパったのか地が出たな。
因みにみなもさんはシンプルな真っ白いビキニだ。
96のバストに合わせて、大きめの水着で彼女の控えめな感性を感じ取れる。
とはいえこれでも充分みなもさんは眩しすぎる美人だ、一緒に買いに行った水着だから耐性があるが、初見ならこれでも充分悩殺物だ。

俺は海に飛び込むと、同様にみなもさんも飛び込む。

悠気
 「そういやみなもさんって水タイプだけど泳ぐのは?」

みなも
 「随分久し振りです……ので」

悠気
 「ので?」

みなも
 「もう我慢できません〜!」

そう言うと、みなもさんは一気に潜水した。
そして物凄いスピードで水中を泳ぐ!

悠気
 「速っ!?」

みなもさんの足にはヒレがあり、水中ではフィンの役割を持つ。
そこから出される水を蹴る力はマジモンのアシカのようなスピードを見せる。
当然そのスピードは人間なんて置いてけぼりだった。

悠気
 「みなもさん……血が騒ぐのかな?」

俺は半ば呆れながら、遠洋へと泳いで行くみなもさんを呆然と見送った。
みなもさんは第一世代だから、やっぱり原種に近い特性が発揮されているのだろう。
アレでも能力制限された状態なんだから水中では無敵だよなぁ。


 「ヘイ! ユウ!」

悠気
 「え? ぶっ!?」

俺は後ろから先輩の声に反応して振り返ると、水鉄砲を喰らった。
それは光先輩が持ち込んだかなり本格的なウォーターガンだった。

悠気
 「しょっぱ!? ちょっと光先輩!?」


 「ふははは! くらうがいい!」

そう言って海水を詰めたウオーターガンを連射してくる。
射程はゆうに20メートルは届く奴なので、至近距離での威力は普通に目を開けられないレベルだった。

悠気
 「ちょっ!? なんで俺ばっかり!? 光先輩何かあったんすか!?」


 「何かあったんじゃない! なにかあるんだよ! はっはっは!?」

なんか海に来てから物凄くハイテンションだな光先輩!?
先輩はその後も、ひとしきり満足するまで暴れると、次のターゲットを求めてどこかに行くのだった。



***




 「瑞香速ーい!」

瑞香
 「ふふ、でも宵も結構頑張るじゃない!」

月代たちは海で早速競争をしたようだ。
その勝負は瑞香の勝利で、宵は少し残念そうだが、楽しく笑っていた。

悠気
 「月代の羽って海じゃ邪魔にならないのか?」

月代の腰から下に向けて生える光の羽。
それは水中でも幻想的に輝いていた。
しかし月代の羽は実際のところ、身体から直接生えてる訳ではなく、独立して月代の傍を離れないのだ。
因みに物体を通過するらしく、光の羽は結構得体が知れない。


 「うーん、羽は浮遊するための推進装置だし、水の抵抗はあんまり無いかな〜?」

瑞香
 「寧ろ胸の方が抵抗あるんじゃない!?」

そう言って茶化すと月代は胸を隠す。
月代は可愛らしい上下の一体化したおへその出るタイプの水着で、水中での抵抗は良さそうだが、その胸は瑞香と比べると少し大きい。
これは瑞香が貧乳という訳ではないが、単に月代は平均より少し大きいだけだ。


 「う〜、見るな悠気!」

胸を隠して、そう言うと宵は水をかけてきた。
それを見た瑞香は調子に乗ってそれに加勢する。

瑞香
 「ふははは! 覚悟ぉ!」

悠気
 「なにが覚悟だ!? ちょ、二人がかりはずるい!?」


 「あはは♪ 琴音も手伝って〜♪」

琴音
 「え? わ、分かったわ!」


 「わーい! 加勢しまーす♪」

月代の呼びかけに更に人数は増える。
周囲でそれぞれ遊んでいた大城や常葉まで加わり俺は四方八方から水飛沫を浴びる。
遊びだが、これでは流石に身動きが取れない!

みなも
 「皆さん!」

バッシャァン!!

それは小さな津波だった。
その様子に怒ったみなもさんが足を人魚のように使って、何十リットルもの海水を巻き上げて周囲にぶつけたのだ!


 「うひゃぁ!?」

圧倒的水量差に押し負ける月代軍。
津波の力は凄く、大城が俺の方に倒れ込むと、俺はそれを受け止めた。

琴音
 「あっ……その」

悠気
 「だ、大丈夫か?」

ほぼ不可抗力だが、俺は彼女を受けとめ、大城は顔を紅くした。
俺も流石に距離が近すぎて、顔を紅くして顔を逸らす。

みなも
 「う〜……」

みなもさんは静かに怒った顔をすると、流石の瑞香たちも反省した。
俺と大城はその間に、どちらが先か距離を離して背中を向ける。

悠気
 「み、みなもさん助かったよ」

みなも
 「……寄ってたかって苛めるのは許せません……」

そう言うとみなもさんは水の中に潜ってしまう。
どうやら本気で俺がリンチされていると思ったみたいだな。
まぁ流石に四人は寄ってたかってやり過ぎだったが、みなもさんが怒ったのは初めて見たかも。



***



琴音
 「はぁ……疲れたぁ」

幸太郎
 「よっ、少しラッキーだったな」

私は砂浜に上がると、百代君が腕を組んでそう言ってくる。

琴音
 「ラッキーって?」

私は良くわからず首を傾げると百代君は微笑を浮かべつつ。

幸太郎
 「悠気とラッキータッチ出来たじゃないか」

琴音
 「あ、アレはアクシデントだから!?」

私は百代君の言に顔を真っ赤にしてしまった。
多少開放的になっているとはいえ、まさかああいうアクシデントは予期してなかった。
なんだか空気も気まずかったし……寧ろアンラッキーだよ……。

幸太郎
 「一つ忠告だ、悠気を物にしたいなら遠目で眺めるばかりじゃなくもう少し積極的になった方が良い」

琴音
 「ええっ!? わ、若葉君を物にって!?」

幸太郎
 「俺の見立てでは大城にも充分チャンスはあると思うぞ?」

百代君はよく見ている。
今も海の方を見ると、瑞香さんが若葉君の腕に抱きついて振り回し、宵さんもその横で笑っている。
それに比べて私はただ遠目で見ているだけかもしれない。

幸太郎
 「待っているだけでは恋は実らんよ、同じ事は柚香ちゃんにも言えるがな」

琴音
 「柚香ちゃん?」

百代君は目線を浜辺に移すと、砂のお城を作る命ちゃんと柚香ちゃんがいた。
命ちゃんはノリノリで頭にスコップを刺してシロデスナを完成させ、ご満悦の様子だが、一緒に作る柚香ちゃんは時折姉たちの方に目線を移していた。

琴音
 (確かに柚香ちゃんと私って同じなのかも……でも、柚香ちゃんってあんなに消極的だったかな?)

気のせいか、今日は全然若葉君の元に行ってない気がする。
まるで姉に遠慮しているかのようで、少しらしくないと思った。
それにしても百代君って本当によく見てるなぁ。

幸太郎
 「言ってて馬鹿らしいが、命ちゃん以外全員悠気狙いだから、本気で好きなら妥協せんことだ」

そう言うと百代君はどこかへ歩き出した。

琴音
 「命ちゃん以外?」

私は若葉君の後ろでは顔だけ海から出す出海さんを見る。
その顔は少しムッとしており、もしかして嫉妬している?

琴音
 (え? もしかして出海さんまで!?)



***




 「よおちびっ子! 見事な砂の城ではないか!」


 「まだです! まだ私の城は完成してないぜ!?」

柚香
 「ええっ? まだ積むの!?」

私は命ちゃんと遊んでいると葛樹先輩がそれを見に来た。
命ちゃんは超ノリノリで砂浜に大きな城を建てようとしている。


 「パルキア城完成まではまだ序の口なのです!」


 「それはシロデスナではなく白那デスナ」


 「上手い! 実はマイクラ部でお城作ってたりするんだよねぇ」

命ちゃんはEスポーツ部に所属している。
そのため競技性の高いゲームがメインだけど、それとは別にサンドボックス系のゲームも遊んでいるようだ。
あれって気が遠くなるブロック数いるよね?


 「ユッカ―は作らんのか?」

柚香
 「わ、私芸術センス皆無だから……」

それよりユッカーってなんだろう?
時々葛樹先輩は分からない。
私はそっと海の方を向くと、今もお姉ちゃんが悠気さんと遊んでいた。
私は内心複雑になりながらも、想いを飲み込んで目線を城に戻す。


 「はははっ、芸術か……遊びにそんな物は必要ないんじゃないか?」

そう言うと葛樹先輩はバケツに砂をギュウギュウまで詰めると、それを逆さまにして倒す。
そうしてバケツを真上に抜くと。


 「プリン! もしくは富士山!」


 「ぷっ!?」

葛樹先輩の作品名に命ちゃんが吹いた。
どうやらツボに嵌まったらしく、腹を抱えて笑った。


 「どうだ? 四角ければ豆腐だぜ!?」


 「く、葛樹先輩最高です! 私そういうの好き……♪」

よっぽど面白かったんだ……命ちゃんも結構不思議な子だよねぇ。


 「さて、そろそろか……はぁ」

葛樹先輩は立ち上がると、憂鬱そうに溜息を吐いた。

柚香
 「ど、どうしたんですか葛樹先輩?」


 「いや、そろそろ昼メシだから集まろう」


 「そう言えばお腹空いたなぁ」

確かに気が付けば時刻は12時を迎えていた。
葛樹先輩は海辺に走り込むと、皆を集合させた。



***



瑞香
 「海の家って混まない?」


 「混むな、混雑率300%といった所か」

俺たちは昼飯のために一旦集まるが、海辺の海の店は超混雑していた。
席が全部埋まっているのは勿論、オーダーさえ長者の列で中々取れそうにない。

悠気
 「ホテルまで戻る?」

ホテルなら、レストランもあったはずだ。
だが、問題はイチイチ着替えないといけないということ。
それにまず難色を示したのは瑞香だ。

瑞香
 「着替えるの面倒〜、どうせ食べた後戻るんだしさ〜?」

うーん、皆がどうしたものか困っていると、あの男が手をあげた。

幸太郎
 「……実は近くに飲食できる店があるのだが」


 「えっ? どこなの?」

皆コウタに注目すると、コウタはかなり悩んだようで手を額に当てて静かに言った。

幸太郎
 「……それはだな?」



***


ニャビー娘
 「お帰りなさいませご主人様♪ ポケにゃん夏季出張店にようこそにゃ♪」

幸太郎
 「きゅ、9名です」


 「ぴゃ〜……」

琴音
 「ここって……」

悠気
 「メイド喫茶?」

そこは夏場限定で開かれているメイド喫茶ポケにゃんの出張店だった。
海の家に比べると圧倒的に空いており、更に水着で来店オーケーであった。
のだが……女子勢がコウタを複雑な目で見たのは言うまでもない……。

ニャオニクス娘
 「あ、コウタ君、出張店に来てくれて嬉しいにゃ♪」

店の奥から現れたのは店で圧倒的な貫禄を持つニャオニクスの女性だった。
ホール担当ではないのか、エプロンを着けていた。

幸太郎
 「団子(だんご)さん、出張店の店長なんですね?」

団子
 「そうにゃ♪ 希望(のぞみ)の方が良かったかにゃ?」

瑞香
 「百代の奴、知り合いみたいね……」

柚香
 「う、うん……ビックリだね」

ビックリなんてもんじゃねぇよ。
この時ばかりはコウタの大きな背中も小さく見えた。

ニャビー娘
 「ご主人様たち、お席へご案内しま〜すにゃ♪」

店員のニャビー娘はメイド服だが、それは殆ど水着と変わらなかった。
メイド服っぽい改造水着なのか、水着っぽい改造メイド服なのか謎だが、胸元の名札にはトラとある。
俺たちは流石に人数が人数なので、席は二つに分かれた。

トラ
 「ご注文が決まりましたら、お手元のボタンでお呼びくださいにゃ♪ それではご主人様、ごゆっくりどうぞにゃ♪」

瑞香
 「メイド喫茶なんて初めてよ……」

悠気
 「俺もだ、つうか軽食以上って頼めるのか?」

席分けは俺の方に瑞香宵みなもさん大城と、なんだか見慣れたメンバーが座り、隣のテーブルにはコウタ光先輩ユズちゃん常葉と、なんかメンバーに意図的な物を感じるぞ。

悠気
 「コウタ、オススメは?」

幸太郎
 「お、オムライス……」

俺はメニュー表を見ると、オムライスを見つけた。
値段は1000円……結構高いなぁ。
と思いつつも、他のメニューはしばしば意味不明な物もあり、値段で見てもまともなのはオムライス位か?

悠気
 「皆どうする?」

瑞香
 「あっ、焼きそばあるじゃん! これで!」

よく見ると、確かに焼きそばがあった。
その値段800円、やっぱり今高いなぁ……。
とはいえ背に腹はかえられないので、俺たちは皆の総意もあって焼きそばに決定した。
全く、自分で優位したら1人前100円以下で用意出来るというのに。



***



トラ
 「お待たせしましたにゃ、ご主人様!」

ドンっと、人数分の焼きそばが大皿で運ばれてきた。
焼きそばはシンプルなソース焼きそばで、トッピングもシンプルだ。

みなも
 「これ、青のりでハートマーク?」

悠気
 「……焼きそばまでメイド喫茶仕様?」

それは確かに焼きそばだったが、具材の青のりでハートマークがあり、紅ショウガもよく見るとハートに刻まれていた。
結果見事に海の家で買える焼きそばとはまるで違っていた。

みなも
 「味は、問題ありません」

まずみなもさんが毒味するように最初に食べると、みなもさんも美味しいと頷いた。
それから俺たちも食べ始めると、確かに味は及第点だった。
ただ、人件費が分からんが、自前ならこの四分の一の値段で作れるよなぁ……。
そういう不満が出たのはコウタには内緒だ。



***



悠気
 「それでコウタ君はメイド喫茶の常連なのかな?」

コウタ
 「急に余所余所しくするなっ! たまたまだ! 常連と言うほどは利用してない!?」

昼飯の後、俺たちは店を出ると、冷ややかにコウタを見た。
全く気にしてなかったのは常葉位で、他は大なり小なり衝撃を覚えた。
コウタはそれに対して全力で擁護意見を出すが、それが却って怪しいのは言うまでも無い。

悠気
 「お前がみなもさんが好みと言った理由が分かったよ……」

幸太郎
 「どういう意味だっ!?」

コウタは知るまいが、みなもさんはウチのメイドさんだしな。
まぁ俺の許嫁だったりもするんだけな!


 「皆……俺から連絡がある」


 「葛樹先輩大丈夫ですか? とっても元気がないです!」

よく見ると、光先輩は頻りにスマートフォンで時間を確認して様子はおかしかったが、ついにその訳を話す気のようだ。
話題性はコウタはより先輩らしく、全員そっちに注目する。


 「実はこの旅行……もう一人飛び入り参加する事になった」

琴音
 「飛び入りですか? 葛樹先輩の紹介なら3年生ですか?」


 「ああ、出海さん以外なら知っているだろう……」


 「え? 誰のこと?」


 「……七竃星、生徒会長殿だ!」

瑞香
 「え……? えええええええっ!?」

それは瑞香だけでなく、あの学園の物なら誰もが知っている名前だった……。



***




 「さ〜て着いたわね〜♪」


 「星、こっちだ」


 (「ねぇ? あの人リムジンから降りてきたけど、誰?」)

悠気
 (「アレが七竃星、ウチの学園のオーナーの孫娘だよ」)

ホテルの前に止まった黒い高級リムジンから出たのは、美しい女性だった。
七竃星は入学したときから話題の中心だった。
何せ学園のオーナーの孫娘と来れば、教師でも頭の上がらない存在だ。
色んな意味で家柄が凄く、その上聡明で学園では教師の信頼も厚い聖人君子なんて言われてるんだからどれ程か月代でも分かるだろう。


 「ふ〜ん? オ〜ハロ〜♪ よろしくね〜♪」

瑞香
 「は、はいっ! お手柔らかにお願いしますっ!」

黒いリムジンで旅館の前までやってきた七竃は3年生という事を含めても、間近で見ると美女だった。
朱色の髪が腰まで伸び、その髪質は上質で艶やかだ。
そしてその頭には燃える炎のように枝分かれした耳がキツネのように付いている。
目つきは女性にしては鋭いが、笑顔は愛らしくもある。
胸はみなもさん程ではないが、月代より巨乳だ。
身長も高く175センチはあるだろうか、物凄く大きな尻尾もあり、その右腕には白い腕輪、制御装置があった。
マフォクシーの第二世代PKMだった。

向こうは随分フレンドリーに手を振っているが、生徒会の要注意リスト入りしている瑞香は、もうそれ所じゃない。
まぁその誰もが、その圧倒的オーラに面食らってるんだが。


 「あんまり歓迎されてない?」


 「だから言ったろう? 下級生は萎縮すると!」


 「えーん、寂しいよ〜」

そう言って全く泣いていないが、泣くような仕草をする七竃先輩。
それにしても生徒会はトカゲの如く光先輩を嫌っているのに、やけに二人は仲が良さそうだな。


 「あの〜、先輩方仲が良いみたいですけど〜?」

誰もが気にしていたが、誰も聞けなかったことを月代がズバッと言った!
七竃先輩は嬉しそうにパンと手を叩いて目を細めると。


 「貴方確か2年A組に編入された月代宵さんね♪ そうなの♪ 光とは結婚を前提に付き合ってるの♪」


 「勘違いするな!? 許嫁だ! 親同士の約束に過ぎん!」

みなも
 「まぁ、許嫁……」

今時許嫁なんてウチ位かと思ったら、良家だとまだ残ってたりするんだなぁ……。
みなもさんも同じ立場だけに、なにか共感でも得たのか目を見開いて口を手で塞いだ。
最もみなもさんと俺の許嫁なんて、母さんがそうなれば良いなって言ってるだけなんだが。


 「もう光ったら、照れちゃって♪ まぁいいわ、七竃星です、皆よろしくね♪」

そう言ってアイドルっぽくウィンクしてポーズをとる七竃先輩。
果たしてこの夏の小旅行……一体どこを目指してるんだろう?



『突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語』

第14話 海で遊ぶ少年少女

第15話に続く。


KaZuKiNa ( 2021/04/10(土) 20:14 )